プロトスフィラエナ
プロトスフィラエナ (Protosphyraena) は白亜紀後期(コニアシアン-マストリヒシアン)に生息した条鰭類である。ヨーロッパ・アジアからも化石は見つかるが、カンザスのニオブララ層に含まれるスモーキーヒル白亜層(コニアシアン後期-カンパニアン前期)のものが最もよく知られる。大型の魚類で、全長2-3 mに達する。
プロトスフィラエナ | |||||||||||||||||||||
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ニオブララ層より産出した頭骨
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分類 | |||||||||||||||||||||
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学名 | |||||||||||||||||||||
Protosphyraena Leidy, 1857 |
Protosphyraena はギリシャ語の protos("原始的な")、Sphyraena(カマス属)に由来する。これは初期に本属がカマスの祖先と間違えられたためであるが、現在ではカマス・カジキとは近縁でなく、絶滅したパキコルムス類に属すると考えられている。
発見・分類
編集19世紀に発見された他の化石と同じように、分類にはかなりの混乱があった。胸鰭の鰭条は1822年、ギデオン・マンテルによってイギリスで発見されていたが、この化石を記載したのは米国のジョゼフ・ライディで、1857年のことであった。この時の命名が Protosphyraena ferox であり、本属のタイプ種となる。ライディはこれ以前にも、ニュージャージーのナベシンク層(マストリヒシアン)から本種の歯を発見していたのだが、これは恐竜のものと誤同定されていた。
1870年代、化石収集家のベンジャミン・フランクリン・マッジは、カンザスのルークス郡・エリス郡に広がるニオブララ層の露頭から多くの化石を発見し、古生物学者のエドワード・ドリンカー・コープとオスニエル・チャールズ・マーシュの元へ送った。1873-1877年、コープはマッジの標本に基づき、Erisichte nitida ・"Portheus" gladius ・"Pelecopterus" pernicciosus の3種を命名した。現在ではこれらは全て本属とされている。1895-1903年、 アーサー・スミス・ウッドワード (1895), F. B. Loomis (1900), Oliver Perry Hay (1903) などの英米の古生物学者によって研究が進められた。
現在では、ニオブララ層のプロトスフィラエナ属は2種 (P. nitida ,P. perniciosa) に分けられている。また、P. bentonianum は Greenhorn Limestone(セノマニアン後期)より産出し、1898年にAlbin Stewart によって命名された。北米最古の化石は、カンザス、ダコタ砂岩の上部(セノマニアン中期)より得られたものである(Everhart, 2005; p. 91)。
形態
編集全体的には現代のバショウカジキに似るが、全長・吻が短く、体型も洗練されていなかった。また、成体には大型の歯があった。全身骨格は珍しいが、歯・吻・胸鰭などは、ニオブララ層・アラバマのMooreville白亜層などから比較的よく見つかる。多くの場合、頭部と胴部は分離した状態で見つかるが、これは骨格の石灰化が弱かったため、化石化する前に切り離されたものと考えられる(Everhart, 2005; p. 93)。他の白亜紀魚類と共に中生代の終わりに絶滅したため、カジキとの類似は収斂進化によるものと考えられる。
参考文献
編集- Cope, E. D. (1873). “[On an extinct genus of saurodont fishes]”. Proceedings of the Academy of Natural Sciences of Philadelphia 24: 280–281.
- Cope, E. D. 1873. On two new species of Saurodontidae. Proceedings of the Academy of Natural Sciences of Philadelphia 25:337-339.
- Cope, E. D. 1874. Review of the vertebrata of the Cretaceous period found west of the Mississippi River. U. S. Geolological Survey of the Territories, Bulletin 1(2):3-48.
- Cope, E. D. 1875. The Vertebrata of the Cretaceous Formations of the Wes t. Report of the U. S. Geological Survey of the Territories. 2 (Washington, D.C.: Government Printing Office):302 pp.
- Everhart, M. J. 2005. Oceans of Kansas: A Natural History of the Western Interior Sea. Indiana University Press: 323 pp.
- Hay, O. P. (1903). “On certain genera and species of North American Cretaceous Actinopterous Fishes”. Bulletin of the American Museum of Natural History 19: 1–95.
- Leidy, J. (1857). “Remarks on Saurocephalus and its allies”. Transactions of the American Philosophical Society 11: 91–95. doi:10.2307/3231930. JSTOR 3231930.
- Loomis, F. B. (1900). “Die anatomie und die verwandtschaft der Ganoid-und Knochen-fische aus der Kreide-Formation von Kansas, U.S.A”. Palaeontographica 46: 213–283.
- Mantell, G. 1822. The fossils of the South Downs; or illustrations of the geology of Sussex. London: Lupton Relfe. xiv + 327 pp.
- Stewart, A. (1900). “Teleosts of the Upper Cretaceous”. The University Geological Survey of Kansas 6: 257–403.
- Woodward, A. S. 1895. Catalogue of the fossil fishes in the British Museum. Part 3. British Museum of Natural History, London. pp. i-xliii, 1-544.
関連項目
編集外部リンク
編集- Protosphyraena: A Late Cretaceous "Swordfish" at the Oceans of Kansas website. Includes detailed taxonomic history, life restorations, bibliography, many photos of fossil remains.
- The most complete skeleton of Protosphyraena pernicosa yet found, on display at the Rocky Mountain Dinosaur Resource Center.
- プロトスフィラエナ | ナショナル ジオグラフィック日本版サイト
- プロトスフィラエナ・川崎悟司イラスト集 - ウェイバックマシン(2009年9月29日アーカイブ分)