ガンヘッド』(GUNHED) は、1989年にハドソンより発売されたPCエンジン用縦スクロールシューティングゲーム(SHT)。日本国外では『ブレイジングレーザーズ』 (BLAZING LAZERS) のタイトルで発売された。1989年に行われた第5回ハドソン全国キャラバンの公式ソフトでもある。

ガンヘッド
GUNHED
ブレイジングレーザーズ
BLAZING LAZERS
ジャンル 縦スクロールシューティング
対応機種 PCエンジン (PCE)
開発元 コンパイル
ハドソン
発売元 日本 ハドソン
アメリカ合衆国 NEC-HE
プロデューサー 遠藤英俊
青山英治
ディレクター 植山幹郎
川田忠之
仁井谷正充
デザイナー 寺本耕二
末吉公道
中島和之
プログラマー 広野隆行
中森朋俊
音楽 宮本昌知
J.T.S
塚本雅信
井上志純
OZONO
竹内啓史
人数 1人
メディア 3メガビットHuCARD[1]
発売日 日本 198907071989年7月7日
アメリカ合衆国 1989111989年11月
対象年齢 日本 CEROA(全年齢対象)
アメリカ合衆国 ESRBE(6歳以上)
ヨーロッパ PEGI3
コンテンツアイコン アメリカ合衆国 Mild Fantasy Violence
その他 型式:日本 HC89019
アメリカ合衆国 TGX030010
テンプレートを表示

同年夏に東宝より配給されたSF映画『ガンヘッド』のゲーム化作品。開発には『ザナック』(1986年)を制作した仁井谷正充が関与している。

現在はPlaystation系ゲーム機やWii Uなどの配信ソフトとしてプレイ可能だが、版権の都合からか、いずれも日本国外版「ブレイジングレーザーズ」としてリリースされている(ただし、タイトル以外は日本版とほぼ同内容)。より詳細なデータは「#移植版」を参照。

概要

編集

SF映画『ガンヘッド』と同名を冠し、タイトル画面には「1989 ©️ TOHO SUNRISE」という映画に関する権利表記があるものの、世界観としての繋がりや関連性はほとんど無い。ただし、テレビCMには映画内のシーンが使用され、同作品の登場人物も出演している。また、ストーリーはカイロン5との戦いから55年後となっており、自機はガンヘッド507‐2を宇宙戦闘用に強化した機体である。ただし、ストーリーは説明書に記載されておらず、当時のチラシや広告で確認する必要があった。

当時のPCエンジン作品において主流だった「トップビュー」(上から見おろし)縦スクロール型の2Dグラフィック系SHT。4種のメイントショットおよび4種のサブウエポン、ボムを駆使しながら敵を倒していく。全9面で構成され、1周クリアでエンド。派手で多彩なパワーアップや撃ちまくる爽快感は、発売当時のゲーム雑誌から高い評価を受けた[2]。ゲーム誌『ファミコン通信』の「クロスレビュー」では、シルバー殿堂入りを獲得している。

国内版『ガンヘッド』のコンティニューは無制限だが、海外版『ブレイジングレーザーズ』では4回までのコンティニュー制限がある。

「第5回ハドソン全国キャラバン」(本作の3面をベースにしたスペシャルステージのハイスコアを競うリアルイベント。義務ではないが事前に公式ソフトである本作の製品版を購入して練習すればいくぶん有利となる)用として、キャラバンで使用されたバージョンとほぼ同内容となる『ガンヘッド Special Version』が存在する。これはキャラバン入賞者への賞品や各種プレゼント企画(PCエンジン本体購入キャンペーン、ブロディアのクイズ・パスワードキャンペーンなど)にて景品として贈呈された非売品である。当時は2万本程度配布されたが現存数は極めて少ないとされ、現在は高値で取引きされている。

ゲーム内容

編集

アイテム

編集

アイテムキャリアーおよび地上物を破壊すると出現。メイン武器はI-IVの数字、サブ武器はS・M・F・Hのアルファベットで表示され、それぞれ同じアイテムを取得し続けることにより1段階ずつ強化されていく。

いずれのメイン武器も2段階以上で自機にシールドが装備され、敵や敵弾を防ぐことができる。ただし、サブ武器のS以外を装備した状態で被弾すると自機の装備がレベルダウンする(レベルダウンは敵の攻撃によって異なる)。また、自機のメインショットは紫色のジェルを一定数または同じ番号のメイン武器アイテムを取得するごとにパワーアップする(同じ番号のメイン武器アイテムを取得した場合は1個でパワーアップする)。

メイン武器

編集
I フォトンプラクター
自機の標準装備。撃破された場合はこの装備になる。最大5方向に弾を発射でき、他装備では一度に4発のホーミングミサイルが8発まで発射できる。
II ディスラプト・ウェーブ
前方に三日月状のウェーブ弾を発射。パワーアップすると斜め前方にも弾を撃ち最大3方向に発射される。自機の移動と連動し、発射角度をある程度操作可能が、あまり連射はできない。
III フィールドサンダー
敵を貫通するレーザーを放つ。パワーアップにともない一度に発射されるレーザーの本数が増え、軌跡がより複雑となる。最強時には画面全体を覆う。
IV リング・プラスター
自機のショットが脆弱となるが(Iの2段階目に固定される)、機体周囲を回転する球体バリアは、耐久力の無い敵機を破壊し、ほぼすべての敵弾を防ぐことができる。パワーアップするとバリア数や回転速度が増す。(最大4つまで)

サブ武器

編集
F フル・ファイヤー
装備中のメインショットを特殊武器へと強化する。フォトンプラクター装備時は火炎放射器のような炸裂弾が直進攻撃して耐久力の高い敵に当たると前方5方向の通常弾となる。ディスラプト・ウェーブ装備時はウェーブ弾が増加。フィールドサンダー装備時は追尾式のグリーンのレーザーが1本発射される(武器レベルが高い場合は2本)。リング・プラスター装備時はリングが高速回転ショットとなる。
H ホーミング・ミサイル
誘導弾。パワーアップにともない追尾性能が高くなる。4段階目の小爆発では短時間ながら継続的にダメージを与えられる。フィールドサンダーの誘導はスコアより下の敵に限定されるが、ミサイルは画面全体に誘導効果がある。
M マルチ・ボディ
自機の動きをトレースするオプションが最大2個まで装備され、援護射撃を行う。パワーアップすると緑色となり、敵機や敵弾を防ぐことができるが時間経過で効果は消滅する。
S シールド
標準装備のもの(上記参照)を上回る強力な防御性能を持ったシールドを装備。被弾しても耐久力が続く限り武器はパワーダウンしない。被弾の有無にかかわらず時間経過により耐久力が減っていき、少なくなると赤と緑に明滅する。

隠し装備

編集
8方向ショット
IおよびIVのメインショットを最強までパワーアップさせ、ボムのストックを0個にする。その後、ジェルのみ30個連続で取得すると緑色のアイテムキャリアーから自機と同形のアイテムが出現。取得することでフォトン・プラクターとリング・ブラスターに限り8方向にショットが撃てるようになる。製品版未収録のスコアアタックモードでは、10000点を獲得できる。出現条件を満たせば何度でも取得可能。被弾によるパワーダウンは前方ショットのみ。また、8方向ショット使用中にメイン武器をIIおよびIIIに切り替えるとキャンセルされる(サブ武器の切り替えは影響なし)。

移植版

編集
  • すべて海外版「ブレイジングレーザーズ」としての移植。
  • 現在、新規に購入可能な機種版の販売元は、ハドソンを吸収合併し、同社の著作権をすべて保有・管理するコナミデジタルエンタテインメント (KDE) 名義となっている。
No. タイトル 発売日 対応機種 開発元 発売元 メディア 型式 備考
1 Blazing Lazers   200705212007年5月21日
  200705252007年5月25日
  200806172008年6月17日
Wii コンパイル ハドソン ダウンロード
バーチャルコンソール
- 2019年1月31日配信・販売終了
2 Blazing Lazers   201006212010年6月21日
PlayStation Portable
PlayStation 3
(PlayStation Network)
コンパイル ハドソン
※現在はKDE
ダウンロード
PCエンジンアーカイブス
-
3 Blazing Lazers   2014年6月11日[3]
  201705182017年5月18日
Wii U コンパイル KDE ダウンロード
(バーチャルコンソール)
-
4 Blazing Lazers   202003192020年3月19日
  202003192020年3月19日
  202003192020年3月19日
  PCエンジン mini
  TurboGrafx-16 mini
  PC Engine CoreGrafx mini
M2
※移植開発担当
KDE プリインストール - 本体にあらかじめ収録されている
約50作品の中の一つとして収録。

開発

編集

タイトルは『ガンヘッド』となっているが、タイトルロゴ以外に映画との関連性はほとんどない。これは、当初「スーパースターソルジャー」ということで開発し、中盤になって同映画の版権が取れたためタイアップが決まったことによる。ハドソンは、1985年から毎年シューティングゲームを用いたゲーム大会で全国行脚する「ハドソン全国キャラバン」を行っていた。本作を用いた大会の前年(1988年)は従来のシューティングではなく野球ゲームの『パワーリーグ』を採用したことで参加者数が激減。そのため、1989年の大会は映画『ガンヘッド』とのタイアップにより再度盛り上げようという意図があった[4]

なお、翌1990年の公式ソフトには『スーパースターソルジャー』が採用されている。

スタッフ

編集
  • プログラマー:JEMINI HIRONO(広野隆行)、POCHI NAKAMORI(中森朋俊)
  • デザイナー:JANUS TERAMOTO(寺本耕二)、ZASH.PRI.PRI(末吉公道)、NAKASHIMA PUPPY(中島和之)
  • コンポーザー:MIYAMO(宮本昌知)、J.T.S、MATS(塚本雅信)、SYDON(井上志純)、OZONO、TAKEUCHI(竹内啓史)
  • ディレクター:植山幹郎、川田忠之、MOO NIITANI(仁井谷正充
  • プロデューサー:遠藤英俊、青山英治
  • スペシャル・サンクス:BEST FRIENDS IN SAPPORO、ジョン・グレイナー、ライス・グランズ、MIZUTAN(水田浩司)、HEALTHY TOYAMA(外山雄一

評価

編集
評価
レビュー結果
媒体結果
オールゲーム      (PCE)[5]
Computer and Video Games96% (PCE)[6]
ドラゴン      (PCE)[7]
エレクトロニック・ゲーミング・マンスリー7/6/9/9点 (PCE)[8]
Eurogamer6/10点 (Wii)[9]
ファミ通30/40点 (PCE)[10]
(シルバー殿堂)
GameSpot7.0/10点 (Wii)[11]
IGN8.0/10点 (Wii)[12]
NintendoLife           (Wii)[9]
マル勝PCエンジン33/40点 (PCE)
PC Engine FAN24.10/30点 (PCE)[1]
(総合38位)
Aktueller Software Markt11.4/12点 (PCE)[13]
Zero91% (PCE)[13]

ゲーム誌『ファミコン通信』の「クロスレビュー」では7・8・8・7の合計30点(満40点)でシルバー殿堂入りを獲得[10]。『マル勝PCエンジン』では8・7・8・10の合計33点(満40点)。『PC Engine FAN』の読者投票による「ゲーム通信簿」での評価は以下の通りで24.10点(満30点)となった[1]。また、この得点はPCエンジン全ソフトにおいて38位(485本中、1993年時点)[1]

項目 キャラクタ 音楽 操作性 熱中度 お買得度 オリジナリティ 総合
得点 4.04 4.10 4.18 4.10 3.89 3.79 24.10

脚注

編集
  1. ^ a b c d 「10月号特別付録 PCエンジンオールカタログ'93」『PC Engine FAN』第6巻第10号、徳間書店、1993年10月1日、73頁。 
  2. ^ ファミコン通信オールゲームカタログ1991[要ページ番号]月刊PCエンジン編集部コメント[要ページ番号]
  3. ^ Wii Uバーチャルコンソール6月11日配信タイトル ― 『ブレイジングレーザーズ』国内では『ガンヘッド』のタイトルでおなじみ”. iNSIDE. イード (2014年6月4日). 2019年6月10日閲覧。
  4. ^ ガンヘッド高橋名人オフィシャルブログ 16連射のつぶやき 2019年7月29日.
  5. ^ Weiss, Brett Alan. “Blazing Lazers – Overview”. Allgame. December 10, 2014時点のオリジナルよりアーカイブ。2016年10月22日閲覧。
  6. ^ Glancey, Paul (September 1989). “Gunhed”. Computer and Video Games (94): p. 100 
  7. ^ Lesser, Hartley; Lesser, Patricia; Lesser, Kirk (May 1991). “The Role of Computers”. Dragon (169): 61–65. 
  8. ^ Harris, Steve; Semrad, Ed; Nauert, Donn; Alessi, Martin (December 1989). “Turbo Champ – Blazing Lazers”. Electronic Gaming Monthly (5): 52. 
  9. ^ a b Blazing Lazers for Wii (2007)” (英語). Moby Games. Blue Flame Labs. 2018年4月22日閲覧。
  10. ^ a b ガンヘッド(VC版タイトル:ブレイジングレーザーズ) まとめ [PCエンジン]” (日本語). ファミ通.com. KADOKAWA CORPORATION. 2015年5月17日閲覧。
  11. ^ Provo, Frank (2011年12月23日). “Blazing Lazers for Wii Review”. GameSpot. 2008年6月25日閲覧。
  12. ^ Thomas, Lucas M. (2007年5月29日). “Blazing Lazers (Virtual Console) Review”. IGN. 2008年6月24日閲覧。
  13. ^ a b Blazing Lazers for TurboGrafx-16 (1989)” (英語). Moby Games. Blue Flame Labs. 2018年4月22日閲覧。

外部リンク

編集