ブラシサウルス学名Blasisaurus)は、白亜紀後期に生息したランベオサウルス亜科に属するハドロサウルス科恐竜の属。スペインのマーストリヒチアン後期にあたる岩石で発見された頭骨と骨格から知られている[1]。模式種はブラシサウルス・カヌドイで、2010年にスペインの研究者チームにより記載された。

ブラシサウルス
生息年代: 白亜紀後期マーストリヒチアン, 66 Ma
頭骨
分類
ドメイン : 真核生物 Eukaryota
: 動物界 Animalia
: 脊索動物門 Chordata
亜門 : 脊椎動物亜門 Vertebrata
: 爬虫綱 Reptilia
亜綱 : 双弓亜綱 Diapsida
下綱 : 主竜形下綱 Archosauromorpha
上目 : 恐竜上目 Dinosauria
: 鳥盤目 Ornithischia
亜目 : 鳥脚亜目 Ornithopoda
上科 : ハドロサウルス上科
Hadrosauroidea
: ハドロサウルス科
Hadrosauridae
亜科 : ランベオサウルス亜科
Lambeosaurinae
: ブラシサウルス属
Blasisaurus
学名
Blasisaurus
Cruzado-Caballero et al.2010
  • B. canudoi Cruzado-Caballero et al.2010
    (模式種)

発見と命名

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ホロタイプ標本 MPZ99/667ウエスカにあり、6600万年前のマーストリヒチアン上部にあたる Arén 層で発見された[1]。ホロタイプ標本には断片的な下顎がついた頭骨からなる[1]。属名は化石が発見された場所である Blasi 1 にちなみ、種小名は古生物学者 José Ignacio Canudo を称えたもの[1]

記載

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ブラシサウルスは中型のエウオルニソポーダ類(オロドロメウスアギリサウルスなどの原始的なものを除く鳥脚類[2])であり、頬骨の後方の部位は上側の縁が鉤状となす[1]。同一の層から近縁なアレニサウルスが発見されており、彼らは同属ではなく、二次的な隆起が存在しないことや歯の形状から識別がなされている。ブラシサウルスは下顎の前縁が下方へ湾曲している点でパララブドドンとも異なる[1]

系統発生

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論文執筆者は系統解析を行ってブラシサウルスの系統学的位置を決定し、その結果としてブラシサウルスはアレニサウルスの姉妹群とされた[1]。両者はともにランベオサウルス亜科においてチンタオサウルスジャクサルトサウルスよりも派生した分類群を形成する。この分類群に最も近縁なアムロサウルスよりも派生的か否かは確定していない[1]。両者は姉妹群でないとする研究もあるが、支持されていない[3]。白亜紀においてアジアからヨーロッパにかけて様々なハドロサウルス科が生息したことは当時存在したはずの陸橋を通ってハドロサウルス科が移動したことを示している、という仮説がブラシサウルスの存在により確かにされている[1]。ランベオサウルス亜科の中でのブラシサウルスとアレニサウルスの位置付けには議論が交わされている。ランベオサウルス族とパラサウロロフス族が分岐した直後[1] のランベオサウルス族に含める説[4] と、パラサウロロフス族に含める説[3][5] がある。以下のクラドグラムは2013年に Penélope Cruzado-Caballero らが行った、ブラシサウルスとアレニサウルスを含む系統解析に基づく[5]

ハドロサウルス科

グリポサウルス

アラロサウルス

ランベオサウルス亜科

パララブドドン

チンタオサウルス

ジャクサルトサウルス

アムロサウルス

サハリヤニア

パラサウロロフス族

カロノサウルス

ブラシサウルス

アレニサウルス

パラサウロロフス

パラサウロロフス・キルトクリスタトゥス

パラサウロロフス・チュビセン

パラサウロロフス・ウォーケリー

ランベオサウルス族
ランベオサウルス

ランベオサウルス・マグニクリスタトゥス

ランベオサウルス・ランベイ

ヴェラフロンス

ヒパクロサウルス・アルティスピヌス

ヒパクロサウルス・ステビンゲリ

オロロティタン

コリトサウルス

出典

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  1. ^ a b c d e f g h i j Cruzado-Caballero, Penélope; Xabier Pereda-Suberbiola; José Ignacio Ruiz-Omeñaca (2010). Blasisaurus canudoi gen. et sp. nov., a new lambeosaurine dinosaur (Hadrosauridae) from the Latest Cretaceous of Arén (Huesca, Spain)”. Canadian Journal of Earth Sciences 47 (12): 1507–1517. doi:10.1139/E10-081. http://rparticle.web-p.cisti.nrc.ca/rparticle/AbstractTemplateServlet?calyLang=eng&journal=cjes&volume=47&year=0&issue=12&msno=e10-081. [リンク切れ]
  2. ^ 真鍋真監訳 編、藤原慎一・松本涼子 訳『恐竜学入門 - かたち・生態・絶滅』((原書第2版))東京科学同人、2015年。ISBN 978-4-8079-0856-1  p138
  3. ^ a b Cruzado-Caballero, P.; Canudo, J.I.; Moreno-Azanza, M.; Ruiz-Omeñaca, J.I. (22–23 September 2011). "The Complex Fauna of European Maastrichtian Hadrosaurids: Contributions of the Lambeosaurines of the Iberian Peninsula" (PDF). In Braman, D.R.; Eberth, D.A; Evans, D.C.; Taylor, W. (eds.). Hadrosaur Symposium 2011  – Abstract Volume (PDF). International Hadrosaur Symposium at the Royal Tyrrell Museum of Palaeontology. Drumheller, Alberta, Canada. pp. 33–37.
  4. ^ Prieto-Márquez, A.; Dalla Vecchia, F. M.; Gaete, R.; Galobart, À. (2013). Dodson, Peter. ed. “Diversity, Relationships, and Biogeography of the Lambeosaurine Dinosaurs from the European Archipelago, with Description of the New Aralosaurin Canardia garonnensis. PLoS ONE 8 (7): e69835. doi:10.1371/journal.pone.0069835. PMC 3724916. PMID 23922815. https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC3724916/. 
  5. ^ a b Cruzado-Caballero, P. L.; Canudo, J. I.; Moreno-Azanza, M.; Ruiz-Omeñaca, J. I. (2013). “New material and phylogenetic position of Arenysaurus ardevoli, a lambeosaurine dinosaur from the late Maastrichtian of Arén (northern Spain)”. Journal of Vertebrate Paleontology 33 (6): 1367–1384. doi:10.1080/02724634.2013.772061.