ヒメドジョウ
ヒメドジョウ(姫泥鰌、学名:Lefua costata)は、コイ目ドジョウ科の淡水魚である。
ヒメドジョウ | ||||||||||||||||||||||||||||||
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分類 | ||||||||||||||||||||||||||||||
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学名 | ||||||||||||||||||||||||||||||
Lefua costata (Kessler, 1876) | ||||||||||||||||||||||||||||||
和名 | ||||||||||||||||||||||||||||||
ヒメドジョウ |
分布
編集朝鮮半島、中国北部、極東ロシア(沿海州を除く)、モンゴルに分布する[1]。日本では国外外来種として埼玉県、山梨県、静岡県、長野県、富山県、和歌山県などで定着している。
形態
編集体長は通常5-7cm。体形はドジョウより寸詰まりで、体の後半部はよく側偏する。体色は黄褐色で、体側には目の後ろから尾鰭前半部にかけて一本の細い縦帯が入る。背面と尾鰭には小黒斑が散在する(欠くこともある)。ヒゲは8本。[2]
生態
編集湖沼の浅場や水田の溝、流れの緩やかな用水路などに棲息し、個体数は多い。水中を数匹で連なってふらふらと遊泳するほか、水草に体を寄りかからせたり、水草の根元の土中に潜んでいることもある。早朝まではほとんどが物陰に隠れており、発見は難しいが、水温の上昇とともに泳ぎ出し、多数の個体を目視できるようになる。[3]
肉食性で、水生昆虫、ミミズ、ミズムシ(甲殻類)、ミジンコなどを貪欲に捕食する。飼育下ではよく人に慣れ、指先を水に入れると集団で吸い付いてくる。[4]
繁殖期は4-6月で、5月がピークである。早朝、物陰から泳ぎ出たメスの後ろを複数のオスが追尾する。メスはオスの一団を従えながら長距離(1-10m)を遊泳したのち、水深3-10cmの浅場に移動し、雌雄で激しく体を絡ませながら産卵する。卵は直径1mmで、弱い粘着性をもつ。[4]
性差
編集雌雄の判別は容易で、体側の縦帯がきわめて明瞭なのがオス、淡く不明瞭なのがメスである。また、メスは最大8-9cmに達するが、オスは最大でも7cmほどである。オスの方が各鰭が大きい傾向にある。[5]
近縁種
編集北海道に自然分布するエゾホトケドジョウは、体側に縦帯を備え、本種と酷似するが、エゾホトケドジョウのほうが鱗がやや大きく[6]、体形がやや太短い[7]。
また、本種のメスの中には模様のほとんど出現しない個体がおり、そうした個体はホトケドジョウに類似する[8]。
豆満江[9]以北の沿海州一帯には、本種に酷似したイチモジドジョウ L. pleskei が分布している。イチモジドジョウは本種よりやや細長い。
脚注
編集- ^ “Lefua costata (Kessler, 1876) Eightbarbel loach”. fishbase. 2022年1月28日閲覧。
- ^ 『朝鮮魚類誌』朝鮮総督府水産試験場、1939年、418‐421頁。
- ^ 『朝鮮魚類誌』朝鮮総督府水産試験場、1939年、421‐422頁。
- ^ a b 『朝鮮魚類誌』朝鮮総督府水産試験場、1939年、422頁 。
- ^ 『朝鮮魚類誌』朝鮮総督府水産試験場、1939年、421頁 。
- ^ 『朝鮮魚類誌』朝鮮総督府水産試験場、1939年、428頁 。
- ^ 『日本の淡水魚』山と渓谷社、2015年、190頁。
- ^ 『朝鮮魚類誌』朝鮮総督府水産試験場、1939年、427頁 。
- ^ Yongxia Chen, Min Wang, and Huimin Tan (2021). “中国北鳅属新纪录种及北鳅属鱼类系统发育关系”. Scientia Sinica Vitae 51 (9).