バットマン リターンズ
『バットマン リターンズ』(BATMAN RETURNS)は、1992年のアメリカ合衆国のスーパーヒーロー映画。1989年の映画『バットマン』の続編。
バットマン リターンズ | |
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BATMAN RETURNS | |
監督 | ティム・バートン |
脚本 | ダニエル・ウォーターズ |
原案 |
ダニエル・ウォーターズ サム・ハム |
原作 | ボブ・ケイン |
製作 |
デニーズ・ディ・ノヴィ ティム・バートン ラリー・J・フランコ |
製作総指揮 |
ベンジャミン・メルニカー マイケル・ウスラン ジョン・ピーターズ ピーター・グーバー |
出演者 |
マイケル・キートン ミシェル・ファイファー ダニー・デヴィート クリストファー・ウォーケン マイケル・ガフ パット・ヒングル マイケル・マーフィー |
音楽 | ダニー・エルフマン |
主題歌 |
スージー・アンド・ザ・バンシーズ 「Face To Face」 |
撮影 | ステファン・チャプスキー |
編集 |
クリス・レベンゾン ボブ・バダミ |
製作会社 | ワーナー・ブラザース |
配給 | ワーナー・ブラザース |
公開 |
1992年6月19日 1992年7月11日 |
上映時間 | 126分 |
製作国 | アメリカ合衆国 |
言語 | 英語 |
製作費 | $80,000,000[1] |
興行収入 |
$266,822,354[1] $162,831,698[1] 14億円[2] |
配給収入 | 7億円[3] |
前作 | バットマン |
次作 | バットマン フォーエヴァー |
ティム・バートン監督ならではの世界観が前作以上に表れており、悪役の描写に比重が置かれ、バットマンが狂言回しとなっている。
第65回アカデミー賞メイクアップ賞、視覚効果賞ノミネート。
ティム・バートンは本作の続編も監督する予定だったが降板し、1995年公開の映画『バットマン フォーエヴァー』ではキャスト・スタッフが一新された。
2021年、本作の続編となるコミック『BATMAN '89』が刊行された[4][5]。このコミックには、本作とその幻の続編にロビン役で出演予定があったマーロン・ウェイアンズをモデルとしたロビン(ドレイク・ウィンストン)や、第一作『バットマン』にハービー・デント役で出演したビリー・ディー・ウィリアムズをモデルとしたトゥーフェイス(ハービー・デント)が登場している。
本作でブルース・ウェイン/バットマン役を務めたマイケル・キートンは、本作への出演から30年を経て、実写映画『ザ・フラッシュ』や実写映画『バットガール』で同役を再演する[6][7][8][9][10]。
あらすじ
編集ジョーカー亡き後のゴッサム・シティに跳梁跋扈するサーカスギャング団。畸形ゆえ捨てられた過去を持つ首魁ペンギンは、表の世界に乗り出すべく自作自演や狂言などで自らの商品価値を高めていく。それに協力するのは、野心溢れる実業家マックス・シュレック。彼は発電所に細工をし、市の生命線を握ろうとしていた。
そんな計画に気付いた内気な秘書セリーナをシュレックは口を封じるためにビルから突き落とす。猫の魔力で甦った彼女はキャットウーマンとして街に繰り出すようになる。ペンギンの企み、シュレックの野望を阻止する為に、そしてセリーナに惹かれながらキャットウーマンと争うべくバットマンは今宵も闇を走る。
クリスマスを舞台に怪人たちのサーカスは幕を開けた。
登場人物
編集- ブルース・ウェイン/バットマン
- 街に現れるヒーロー。正体はゴッサムシティの若き大富豪。
- セリーナ・カイル/キャットウーマン
- マックスの秘書。マックス曰く、コーヒーを入れることだけが取柄。元々はうだつの上がらない女性だった。
- オズワルド・コブルポット/ペンギン
- 街を恐怖に陥れようとする男。その正体はジョーカー亡き後の裏社会を跋扈するギャングのトップ。乳児であったころに奇形を疎んじた両親に捨てられた過去を持つ。
- マックス・シュレック
- ゴッサムシティの実業家。市民からの評価は高いものの本性は傲慢で卑劣な野心家であり、ゴッサムシティの完全掌握を目論み、オズワルドと手を組むことになる。
- タッカー・コブルポット卿
- オズワルドの父。物語の30年前のクリスマスに妻がオズワルドを出産するも、奇怪児であったために周囲の目も考えて捨てる事にした。
- チャールズ “チップ”・シュレック
- マックスの息子。
キャスト
編集役名 | 俳優 | 日本語吹替 | ||
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ソフト版[注釈 1] | テレビ朝日版[注釈 2] (吹替補完版[注釈 3]) | |||
ブルース・ウェイン/バットマン | マイケル・キートン | 渡辺裕之 | 山寺宏一 (山寺宏一) | |
セリーナ・カイル/キャットウーマン | ミシェル・ファイファー | 田島令子 | 藤田淑子 (山像かおり) | |
オズワルド・コブルポット/ペンギン | ダニー・デヴィート | 樋浦勉 | 石田太郎 (菅生隆之) | |
マックス・シュレック | クリストファー・ウォーケン | 小川真司 | 野沢那智 (中村秀利) | |
アルフレッド・ペニーワース | マイケル・ガフ | 松岡文雄 | 内田稔 (御友公喜) | |
ジェームズ・ゴードン総監 | パット・ヒングル | 円谷文彦 | 藤本譲 | |
ゴッサム市市長 | マイケル・マーフィー | 秋元羊介 | 羽佐間道夫 | |
チャールズ “チップ”・シュレック | アンドリュー・ブリニアースキー | 小室正幸 | 堀内賢雄 | |
手回しオルガン師 | ヴィンセント・スキャヴェリ | 小関一 | 広瀬正志 | |
アイスプリンセス | クリスティ・コナウェイ | 相沢恵子 | 井上喜久子 | |
ジェン | ジャン・フックス | (大塚さと) | ||
ピエロ | ブランスコム・リッチモンド | 山野史人 | ||
タッカー・コブルポット卿 | ポール・ルーベンス | 小島敏彦 | ||
コブルポット夫人 | ダイアン・サリンジャー | 藤木聖子 | ||
新聞の売り子 | ショーン・ウェーレン | 喜多川拓郎 | 鳥海勝美 | |
ペンギンの博士 | スチュアート・ランカスター | |||
皇帝ペンギン | フェリックス・シラ | |||
その他 | 天田益男 桜井敏治 辻つとむ 成田剣 叶木翔子 竹田愛理 寺瀬今日子 野島昭生 幹本雄之 |
稲葉実 大川透 島香裕 辻親八 宝亀克寿 田原アルノ 定岡小百合 沢海陽子 |
スタッフ
編集- 監督:ティム・バートン
- 音楽:ダニー・エルフマン
- 脚本:ダニエル・ウォーターズ
- 製作:デニーズ・ディ・ノヴィ&ティム・バートン
- キャラクター原案:ボブ・ケイン
- 視覚効果:ボス・フィルム、スタン・ウィンストン・スタジオ
日本語吹替製作
編集役職 | ソフト版[注釈 1] | テレビ朝日版[注釈 2] (吹替補完版[注釈 3]) |
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演出 | 松川陸 | 佐藤敏夫 |
翻訳 | 新村一成 | 平田勝茂 |
効果 | リレーション | |
録音・調整 | 金谷和美 土屋雅紀 |
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VTR編集 | 木村千恵 | |
プロデューサー | 小川政弘 (ワーナー・ホーム・ビデオ) |
福吉健[11] (テレビ朝日) |
音響制作 | 相原正之 中西真澄 (プロセンスタジオ) |
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制作 | ワーナー・ホーム・ビデオ プロセンスタジオ |
東北新社 (ブロードメディア) |
作品解説
編集当時は珍しかったCGが導入され、オープニングタイトルの三次元的変形、コウモリや武装ペンギンの大群、バットモービルのシールドモードやバットミサイルへの変形などに活用されている。
また、ドルビーの技術を用いた初の5.1チャンネルサラウンド(ドルビーデジタル)作品である。
配役
編集本作ではキャットウーマンとペンギンのダブル悪役が採用されており、以降のシリーズのスタンダードとなった。
キャットウーマン役にはアネット・ベニングが予定されていたが、妊娠の為に降板し、代わりにミシェル・ファイファーが選ばれた。ベニングは後に『マーズ・アタック!』でティム・バートン監督作品に再び出演している。
ペンギン役にはダスティン・ホフマン[注釈 4]やマーロン・ブランドなど数々の大物俳優たちが候補に挙がっていたが、最終的に個性派俳優のダニー・デヴィートが選ばれた。
当初の脚本ではバットマンの相棒であるロビンも登場する予定で、黒人俳優のマーロン・ウェイアンズがロビン役に決まっていた。しかし、脚本の変更などによってロビンの登場は次回作『バットマン フォーエヴァー』に持ち越されることとなった。この時点ではバートンは3作目も監督する予定であり、ウェイアンズも続投するはずだったのだが、バートンが監督を降板したことで話は流れてしまった。
地上波放送
編集(出典[11])
テレビ朝日初回放送当時プロデューサーだった福吉健によると、前作『バットマン』のTBSでの視聴率が芳しくなく、各局とも放送権の購入に二の足を踏んでいたという。日本語版制作の担当となった福吉は演出の佐藤敏夫に「とにかくバットマンは日本人にはそんなに爆発的に受けなかったが、知名度・認知度だけは抜群にある。この日本語版も一種のお祭りイベントとして、多少お金もかかっていいから豪華にしましょう!」と提案し、山寺宏一、石田太郎、藤田淑子、野沢那智といった豪華声優陣を多数起用した日本語吹き替え版を制作した。
ところが日本語版が完成し部内完成試写を行った際に福吉は先輩から「ミッキー(羽佐間道夫の愛称)が市長の役でこれだけしかセリフがないのに、キャスティングするなんて、贅沢すぎるだろ!勿体ない!」と怒られてしまった。ただ視聴率は目標の15%には届かなかったもののTBSの『バットマン』を凌ぐ結果となり、後に第1作も同じスタッフ・キャスト(プロデューサー:福吉健、演出:佐藤敏夫、主演:山寺宏一)で作り直されることになった。
ゲーム
編集1993年2月26日に、本作を題材としたスーパーファミコン用のベルトスクロールアクションゲーム『バットマン リターンズ』がコナミから発売されている。同年にはセガからも本作を題材にしたメガドライブ専用ソフト『バットマン・リターンズ』が発売されているがこちらはベルトスクロールアクションゲームではなく、オーソドックスな横スクロールアクションゲームとなっている。
脚注
編集注釈
編集出典
編集- ^ a b c “Batman Returns (1992)”. Box Office Mojo. Amazon.com. 2009年9月17日閲覧。
- ^ 日経エンタテイメント! 2012年4月号 No.181
- ^ 『キネマ旬報ベスト・テン85回全史 1924-2011』(キネマ旬報社、2012年)514頁
- ^ “The Movie Worlds of Superman '78 and Batman '89 Are Heading to Comics in Two All-New DC Digital First Series!” (英語). DC (2021年2月16日). 2021年2月20日閲覧。
- ^ (英語) Batman '89 and Superman '78: Classic DC Movie Universes Return as Comics - IGN 2021年2月20日閲覧。
- ^ Kit, Borys (2020年6月22日). “Michael Keaton in Talks to Return as Batman for ‘Flash’ Movie” (英語). The Hollywood Reporter. 2022年3月1日閲覧。
- ^ “Yes, Michael Keaton Really Is Playing Batman in 'The Flash'” (英語) (2021年4月19日). 2022年3月1日閲覧。
- ^ “Batman Returns! Michael Keaton in Talks to Play Bruce Wayne in 'The Flash' Movie (Exclusive)” (英語) (2020年6月22日). 2022年3月1日閲覧。
- ^ D'Alessandro, Anthony (2020年6月22日). “Michael Keaton In Early Talks To Reprise ‘Batman’ Role For DC Universe, Starting With ‘The Flash’” (英語). Deadline. 2022年3月1日閲覧。
- ^ Kit, Borys (December 22, 2021). “Michael Keaton Joining 'Batgirl'”. The Hollywood Reporter. December 22, 2021時点のオリジナルよりアーカイブ。December 30, 2021閲覧。
- ^ a b “第2回 吹替キャスティングが豪華すぎて、怒られた作品、『バットマン リターンズ』。”. "アンソニーの吹替え事件ファイル – ふきカエル大作戦 日本語吹替え専門". 2022年9月4日閲覧。