ネコザメ目
ネコザメ目 Heterodontiformes はサメの目の一つ。1科1属10種の現生種を含む。太平洋とインド洋の熱帯から温帯の沿岸海域に分布し、日本近海ではネコザメとシマネコザメが見られる。大西洋には分布しない。
ネコザメ目 | |||||||||||||||||||||
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分類 | |||||||||||||||||||||
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形態
編集鰓裂は5対。2基の背鰭をもち、その前縁に棘を備える。臀鰭をもつ。
ネコザメ目の最大種はポートジャクソンネコザメで、全長165センチメートルに達する。その他は最大全長1 - 1.2メートル程度で、1メートルを超えない種もいる。
生態
編集水温21度以上の暖かい海の海底に生息する。潮間帯から水深275メートルの深さまで見られるが、普通は水深100メートルより浅い場所で生活する。動きはゆっくりで、夜行性である。岩場や海中林、砂泥質の海底などを好む。
主に底生性の無脊椎動物を捕食する。臼歯状の硬い歯でウニやサザエなどの殻を砕いて食べる。他にも甲殻類や貝類などを幅広く捕食する。
繁殖形態は全て卵生である。らせん状のひだをもつ独特な形状の卵を産む。
画像
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ネコザメの卵殻
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カリフォルニアネコザメ。ネコザメ類の多くは岩場に生息するため、ゴツゴツとした循鱗が体を保護する。
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オーストラリア産のオデコネコザメでは、眼上隆起が特に顕著である。
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ネコザメ。特徴的な豚鼻と髭はネコザメ類に共通する形質。
分類
編集ネコザメ目はネコザメ科の1科のみ。1793年に記載されたポートジャクソンネコザメが、ネコザメ類としては最初に発見された種である。はじめは Squalus portus jacksoni として Squalus 属に分類されたが、19世紀に入ると独立の属としてネコザメ属 Heterodontus が認められた。19世紀中頃のGray (1851) によりSqualidae 科の下位分類群としてHeterodontina 族 (tribe) が提唱され、これが後にネコザメ科 Heterodontidae に格上げされた。さらに1885年にはGarmanがネコザメ科を他のいずれの科とも結びつかない独立したグループ (Heterodonti) とみなす考えを発表。20世紀前半にはネコザメ目 Heterodontiformes が設定され、定着した。
ネコザメ目は、ネズミザメ目、メジロザメ目、テンジクザメ目と近縁であり、この3つのグループと姉妹群関係にあるとされる。
現生種
編集ネコザメ属 Heterodontus に10種が属する[1][2]。
- Heterodontus francisci (Girard, 1855) カリフォルニアネコザメ Horn shark
- Heterodontus galeatus (Günther, 1870) オデコネコザメ Crested bullhead shark
- Heterodontus japonicus (Maclay & Macleay, 1884) ネコザメ Japanese bullhead shark
- Heterodontus marshallae White, Mollen, O'Neill, Yang & Naylor, 2023 Painted hornshark
- Heterodontus mexicanus Taylor & Castro-Aguirre, 1972 メキシコネコザメ Mexican bullhead shark
- Heterodontus omanensis Baldwin, 2005 Oman bullhead shark
- Heterodontus portusjacksoni (Meyer, 1793) ポートジャクソンネコザメ Port Jackson shark
- Heterodontus quoyi (Fréminville, 1840) ガラパゴスネコザメ Galapagos bullhead shark
- Heterodontus ramalheira (Smith, 1949) Whitespotted bullhead shark
- Heterodontus zebra (Gray, 1831) シマネコザメ Zebra bullhead shark
系統
編集ネコザメ属 |
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化石種
編集化石種を含めると、ネコザメ科 Heterodontidae には次の3属が属した。その内2属はジュラ紀に絶滅している[4]。
- †Proheterodontus - 1種、イギリス、ジュラ紀中期。ネコザメ属が持つような臼歯状の歯は発見されていない[5]。
- †Paracestracion - 4種、ヨーロッパ、ジュラ紀中-後期。全身骨格が発見されており、腹鰭が第一背鰭の直下に位置すること、胸鰭が頭骨の直下にまで前方に移動していることが特徴である。臼歯状の歯を持っていたが、幼体では石灰化が不完全だった[5]。
- ネコザメ属 Heterodontus - 上2属と同様、ジュラ紀頃から出現する。中生代の層では主にヨーロッパから、新生代では主にアジア・オーストラリア・アメリカから産出する[6]。
参考文献
編集- ^ 仲谷一宏 (2011). サメ―海の王者たち―. ブックマン社. pp. 212-215
- ^ a b Species in Disguise: A New Species of Hornshark from Northern Australia (Heterodontiformes: Heterodontidae)
- ^ Elasmobranch Phylogeny
- ^ Heterodontidae in the Paleobiology Database
- ^ a b Kriwet, Juergen. (2008). “A new species of extinct bullhead sharks, Paracestracion viohli sp. nov.(Neoselachii, Heterodontiformes), from the Upper Jurassic of South Germany."”. Acta Geologica Polonica 58 (2): 235-241.
- ^ Heterodontus in the Paleobiology Database
- Leonard J. V. Compagno (2002) "Sharks of the world: An annotated and illustrated catalogue of shark species known to date" Volume 2, Food and Agriculture Organization of the United States.