チャルーン・サティ
チャルーン・サティとは、タイの仏僧、ルアンポー・ティアン・チッタスポーによって編み出されたヴィパッサナー瞑想の手法である。チャルーン・サティとはタイ語で「気づきの瞑想/気づきの開発法」を意味する[1]。
坐行、歩く瞑想などのヴァリエーションがあるが、いかなる場合でも、さかんに体を動かして気づきを行う点に大きな特徴がある。このため、中国では動中禅と呼ばれている。
「手動瞑想」(ヨックムー・サーンチャンワ)
編集手動瞑想(ヨックムー・サーンチャンワ)はチャルーン・サティのうちの一つであり、ルアンポー・ティアン・チッタスポーにより開発された瞑想法である。現在ではタイ東北部を中心に150余りの寺で修習されている。手動瞑想での気づきの対象は意志的な腕の動きであるが、開いてあるがままに受け入れていく心と、能動的な意志とを両立させて気づきを開発していくと、自然に微細な身体感覚や感情、思考、心身の法則性への洞察に発展してゆく[1]。
坐って行う場合、目は開き、手を一定のパターンでリズミカルに動かして、気づきを伴わせる。
以下の通りに行う。
- 両方の手のひらを、ふとももの上に置く。
- 右の手のひらを垂直に立て、気づく。ゆっくりと行う。そして止まる。(この時、動作のラベリングは行なわない。動きに気づくだけでよい。)
- 右手をもち上げる。気づく。そして止まる。
- 右手を腹部あたりまでもって行く。気づく。そして止まる。
- 左の手のひらを垂直に立てる。気づく。そして止まる。
- 左手をもち上げる。気づく。そして止まる。
- 左手を腹部あたりまでもって行く。気づく。そして止まる。
- 右手を胸の辺りまでもって行く。気づく。そして止まる。
- 右の手のひらを開くようにして、腕がからだと垂直になるように動かす。(3の位置と同じ)気づく。そして止まる。
- 右手をふとももまで降ろし、手のひらを垂直に立てる。気づく。そして止まる。
- 右の手のひらをふとももの上でふせる。気づく。そして止まる。
- 左手を胸の辺りまでもって行く気づく。そして止まる。
- 左の手のひらを開くようにして、腕がからだと垂直になるように動かす。(6の位置と同じ)気づく。そして止まる。
- 左手をふとももまで降ろし、手のひらを垂直に立てる。気づく。そして止まる。
- 左の手のひらをふとももの上でふせる。気づく。そして止まる。
以下、2~15の動作を繰り返し行う。
実践上の注意
編集- 手のひらを立てる動作の後には、手のひらの感じ・存在する感覚を確認し、腕を移動させた後には腕の存在に気づくなど、一連の動作を終えた後、体にしっかりと気づく。
- 流れ作業的に連続させず、ひとつひとつのパートをできるだけ区切って、別の動きとして行う。
出典
編集- ^ a b プラユキ・ナラテボー『自由に生きる』 サンガ、2016年、323-327頁。
参考文献
編集- プラユキ・ナラテボー(著)『「気づきの瞑想」を生きる―タイで出家した日本人僧の物語 』, 佼成出版社, 2009年8月, ISBN 9784333023974
- カンポン・トーンブンヌム(著)、浦崎雅代(訳)『「気づきの瞑想」で得た苦しまない生き方』, 佼成出版社, 2007年11月, ISBN 9784333023042
- プラユキ・ナラテボー、篠浦伸禎『脳と瞑想』、サンガ、2014年
関連項目
編集外部リンク
編集- 実践ビデオ - Youtube
- 日本語解説 - Youtube
- Mahasati Meditation
- Manual of Self-Awareness - ティアン師による「気づきの瞑想」のマニュアル