ジャレッド・ゴフ

アメリカンフットボール選手、クォーターバック (1994 - )

ジャレッド・トーマス・ゴフJared Thomas Goff, 1994年10月14日- )は、アメリカ合衆国カリフォルニア州ノバト出身のプロアメリカンフットボール選手。NFLデトロイト・ライオンズに所属している。ポジションはクォーターバック

ジャレッド・ゴフ
Jared Goff
refer to caption
デトロイト・ライオンズ #16
ポジション クォーターバック
生年月日 (1994-10-14) 1994年10月14日(30歳)
出身地 アメリカ合衆国の旗 アメリカ合衆国
カリフォルニア州ノバト
身長: 6' 4" =約193cm
体重: 217 lb =約98.4kg
経歴
高校 マリン・カトリック高等学校
大学 カリフォルニア大学
NFLドラフト 2016年 / 1巡目全体1位
所属歴
2016-2020 ロサンゼルス・ラムズ
2021- デトロイト・ライオンズ
受賞歴・記録
プロボウル選出(3回)
2017, 2018, 2022
その他受賞・記録
  • オールPac-12ファーストチーム (2015)
NFL 通算成績
(2023年終了時点)
パス試投数 4,135
パス成功数 2,675
パス成功確率 64.7%
TD-INT 186-83
パス獲得ヤード 30,646
QBレーティング 93.5
ラン獲得ヤード 502
ラッシングTD 12
Player stats at NFL.com
Player stats at PFR

経歴

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プロ入り前

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幼少期はサンフランシスコ・フォーティナイナーズのファンだった。

ケントフィールドマリン・カトリック高校卒業後の2013年1月、ゴフはボイシ州立大学やカリフォルニア州立大学フレズノ校などからの誘いを断り、カリフォルニア大学バークレー校に入学した。同年8月に先発に指名され、開幕先発QBとなった。レッドシャツ経験のない1年目QBが開幕先発を務めるのは同校史上初であった。

その後3年間に渡って先発QBを務め、通算パス獲得ヤード12,195や通算TD数96など計26の学校記録を打ち立てた。

ロサンゼルス・ラムズ

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ゴフが2016年ドラフトにエントリーを表明すると、多くのアナリストが1巡指名を予想した。

そして2016年4月28日、セントルイスから移転したばかりの地元ロサンゼルス・ラムズからドラフト全体1位指名を受けた[1]。なお、ラムズは全体1位指名権を有していたテネシー・タイタンズから指名権を譲り受けるために、翌年の指名権も合わせて計6個の指名権を譲渡した。

2016年6月9日、ラムズと4年2790万ドルの契約を締結した。背番号16は幼少期に憧れていた49ersのジョー・モンタナに因んでいる。

開幕から9試合は、ベテランQBケイス・キーナムのバックアップを務めたゴフであったが、チームの成績低迷などもあり、先発へ昇格した[2]。プロ初出場となったマイアミ・ドルフィンズ戦では、パス31回中17回成功、134ヤード、0TD、0INTの成績で、チームは10-14で敗れた。

2016年のゴフは7試合に出場し、パス205回中112回成功、1,089ヤード、5TD、7INTの成績に終わった。チームも4勝12敗で、地区3位に終わった。

2017年シーズンは新任HCのショーン・マクベイの下でプレーした。開幕戦のインディアナポリス・コルツ戦で46-9で大勝しマクベイHCの初陣を飾ると、第9週のニューヨーク・ジャイアンツ戦ではパスは22回中14回の成功、311ヤード、4タッチダウンを挙げ、週間MVPを受賞した[3]。チームも第16週のテネシー・タイタンズ戦に勝利したことで、2003年以来となる地区優勝を遂げた。キャリアで初めてのポストシーズンでは前年NFCチャンピオンチームのアトランタ・ファルコンズとワイルドカードで対戦したが、13-26で敗れた[4]。このシーズンは休養にあてた最終戦を除く15試合に先発し、パス3,804ヤード・28タッチダウンを記録し[5]、ブレイクを果たした。さらに成功したパスの平均12.9ヤードはリーグトップの成績であった[6]。またこの年初めてプロボウルに選出された[7]

2018年シーズン、第4週のミネソタ・バイキングス戦では465ヤードを投げパサーレイティングがパーフェクトとなる158.3を記録し、38-31の勝利に貢献した。さらに9月のNFC月間最優秀攻撃選手に選ばれた[8]。第11週のカンザスシティ・チーフス戦では54-51の乱戦を制したが、この試合でゴフはラムズ史上初となる複数回の400ヤード超え、4回以上のタッチダウンを記録したQBとなった[9]。このシーズンはキャリアハイとなるパス4,688ヤード獲得・32タッチダウンを記録し、2年連続でプロボウルに選出された[10]。チームは開幕8連勝を達成するなど13勝3敗の成績で地区連覇を果たし、さらに第2シードを獲得しワイルドカードゲームが免除された。

プレーオフではディビジョナルラウンドでダラス・カウボーイズ相手にパス186ヤードを記録して30-22で勝利し[11]、自身初のポストシーズン勝利となった。ニューオーリンズ・セインツと対戦したNFCチャンピオンシップゲームではパス297ヤードを記録し、26-23で勝利し、第53回スーパーボウルにチームを導いた[12]。迎えたスーパーボウルでは先発QBとして出場したが、ニューイングランド・ペイトリオッツ相手に3-13という史上最低タイのロースコアでひとつもタッチダウンを取れずに敗れた[13]

2019年シーズン開幕前に4年1億3,400万ドルの契約延長に合意した[14]。このシーズンはパス4,638ヤード獲得、22タッチダウンを記録したがインターセプトの数が16と増加した。チームも9勝7敗でプレーオフ進出を逃した[15][16]

 
ロサンゼルス・ラムズ時代(2020年)

2020年シーズンも開幕から先発出場を続けたが、第16週のシアトル・シーホークス戦で親指を骨折し[17]、プレーオフ出場がかかった翌週のアリゾナ・カージナルス戦を欠場し、控えQBのジョン・ウォルフォードに託すこととなった[18]。このシーズンは15試合に出場し、パス3,952ヤード、20タッチダウンを挙げた[19]。ラムズは10勝6敗でワイルドカードとしてポストシーズンに進出した。

シーホークスとのワイルドカードゲームでは前述の怪我の影響で先発をウォルフォードに譲ったが、ウォルフォードもジャマール・アダムズのタックルを受け負傷退場したためゴフが途中出場した。この試合では155ヤード、1タッチダウンを挙げ30-20で勝利を収めた[20]。しかし次戦のグリーンベイ・パッカーズとのディビジョナルラウンドでは18-32で敗れた[21]

デトロイト・ライオンズ

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2021年1月31日、マシュー・スタッフォードとのトレードで、複数のドラフト指名権と共にデトロイト・ライオンズに移籍した[22][23]NFLドラフト全体1位指名選手同士のトレードはNFL史上初の出来事であった[24]

開幕戦のサンフランシスコ・フォーティナイナーズ戦では3TDを挙げるも、インターセプトリターンタッチダウンを喫するなど33-41で敗れた[25]。第7週では古巣のラムズと対戦したが、19-28で敗れた。チームは引き分けを挟んで開幕10連敗を喫していたが第13週のミネソタ・バイキングス戦で41本中25本(61%)のパスを成功させ、296ヤードとタッチダウンを3回挙げ、チームも29-27で勝利を挙げた。この活躍で週間MVPを獲得した[26]

このシーズンは14試合に出場し、パス3,245ヤード獲得、19タッチダウン、8インターセプトを記録した。チームは3勝13敗1分で地区最下位であった。

2022年シーズン、第2週のワシントン・コマンダース戦ではパス256ヤード・タッチダウン4回を記録し、36-27で勝利を収めた。この試合でゴフは「ホームゲーム6戦連続でパスタッチダウンを2回以上記録」というフランチャイズレコードを樹立した[27]。第4週のシアトル・シーホークス戦では45-48で敗れたものの、タッチダウンパスを4回記録し、移籍後最高となる378パスヤードを獲得した。

このシーズンは全17試合に先発し、4,438ヤード、29タッチダウン、7インターセプトという成績であった。チームも最終週でプレーオフ進出の可能性が潰えたものの、9勝8敗で5年ぶりにシーズン勝ち越しに成功した。また、スーパーボウルに出場するジェイレン・ハーツの代替としてプロボウルに選出された[28]

2023年シーズンは、第16週でチームを30年ぶりの地区優勝に導いた。プレーオフ初戦では、3年前まで在籍しトレード相手のスタッフォードを擁してスーパーボウルを制覇したロサンゼルス・ラムズを破った。更にディビジョナル・プレーオフではタンパベイ・バッカニアーズにも勝利。しかし、NFCチャンピオンシップゲームサンフランシスコ・49ersに敗れた。

詳細情報

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年度別成績

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レギュラーシーズン

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年度 チーム

試合 パス ラン
出場 先発 成功
回数
試投
回数
成功
確率
獲得
ヤード
平均
獲得
ヤード
TD Int レイテ
ィング
試行
回数
獲得
ヤード
平均
獲得
ヤード
TD
2016 LA
LAR
16 7 7 112 205 54.6 1,089 5.3 5 7 63.6 8 16 2.0 1
2017 15 15 296 477 62.1 3,804 8.0 28 7 100.5 28 51 1.8 1
2018 16 16 364 561 64.9 4,688 8.4 32 12 101.1 43 108 2.5 2
2019 16 16 394 626 62.9 4,638 7.4 22 16 86.5 33 40 1.2 2
2020 15 15 370 552 67.0 3,952 7.2 20 13 90.0 51 99 1.9 4
2021 DET 14 14 332 494 67.2 3,245 6.5 19 8 91.5 17 87 5.1 0
2022 17 17 382 587 65.1 4,438 7.6 29 7 99.3 29 73 2.5 0
2023 17 17 407 605 67.3 4,575 7.6 30 12 97.9 32 21 0.7 2
NFL:8年 117 117 2,657 4,107 64.7 30,429 7.4 185 82 93.6 241 495 2.1 12
  • 2023年度シーズン終了時
  • 太字は自身最高記録
  • は各年度のリーグ最高記録

ポストシーズン

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年度 チーム 試合 パス ラン
出場 先発 成功
回数
試投
回数
成功
確率
獲得
ヤード
平均
獲得
ヤード
TD Int レイテ
ィング
試行
回数
獲得
ヤード
平均
獲得
ヤード
TD
2017 LAR 1 1 24 45 53.3 259 5.8 1 0 77.9 0 0 0.0 0
2018 3 3 59 106 55.7 712 6.7 1 2 71.7 9 22 2.4 0
2020 2 1 30 46 65.2 329 7.2 2 0 100.7 5 10 2.0 0
2023 DET 3 3 77 111 69.4 837 7.5 4 0 103.3 9 3 0.3 0
9 8 190 308 61.7 2,137 6.9 8 2 88.4 23 35 1.5 0

脚注

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  1. ^ NFL=ドラフト会議、ラムズが全体1位でQBゴフを指名”. ロイター通信 (2016年4月29日). 2018年8月26日閲覧。
  2. ^ ラムズがついに決断、QBゴフがドルフィンズ戦に先発へ”. NFL JAPAN (2016年11月16日). 2018年8月26日閲覧。
  3. ^ “シーズン第9週、週間MVPはコルツWRヒルトン、ラムズQBゴフらが受賞”. NFL JAPAN. (2017年11月9日). https://nfljapan.com/headlines/24856 2022年1月29日閲覧。 
  4. ^ “【2017年ワイルドカード】次こそ頂点を目指すファルコンズとNFC西地区覇者ラムズの対戦、結末は・・・!?”. NFL JAPAN. (2018年1月7日). https://nfljapan.com/headlines/29044 2022年1月29日閲覧。 
  5. ^ Jared Goff 2017 Game Log” (英語). Pro-Football-Reference.com. January 29, 2022閲覧。
  6. ^ 2017 NFL Leaders and Leaderboards” (英語). Pro-Football-Reference.com. January 29,2022閲覧。
  7. ^ Simmons, Myles (January 22, 2018). “Jared Goff Named to 2018 Pro Bowl”. TheRams.com. January 29, 2022閲覧。
  8. ^ Khalil Mack, J.J. Watt among Players of the Month”. NFL.com (October 4, 2018). February 1, 2022閲覧。
  9. ^ 記録づくしとなったラムズ対チーフスの激闘”. NFL JAPAN (2018年11月21日). 2022年2月1日閲覧。
  10. ^ DaSilva, Cameron (December 18, 2018). “Todd Gurley, Jared Goff among Rams' four 2019 Pro Bowl selections”. Rams Wire. February 1, 2022閲覧。
  11. ^ Silver, Michael (January 13, 2019). “Rams' rushing attack overwhelms Cowboys” (英語). NFL.com. February 1, 2022閲覧。
  12. ^ 延長の末、ラムズがNFCを制してスーパーボウル出場!”. NFL JAPAN (2019年1月21日). 2022年2月1日閲覧。
  13. ^ 【第53回スーパーボウル】古豪ペイトリオッツと若さあふれるラムズが対決、結果やいかに!”. NFL JAPAN (2019年2月4日). 2022年2月1日閲覧。
  14. ^ “ラムズとQBゴフが4年の契約延長に合意”. NFL JAPAN. (2019年9月4日). https://nfljapan.com/headlines/43025 2022年2月1日閲覧。 
  15. ^ Jared Goff 2019 Game Log” (英語). Pro-Football-Reference.com. February 1, 2022閲覧。
  16. ^ 2019 Los Angeles Rams Statistics & Players” (英語). Pro-Football-Reference.com. February 1, 2022閲覧。
  17. ^ “親指を骨折したラムズQBゴフは次戦欠場の見込み”. NFL JAPAN. (2020年12月28日). https://nfljapan.com/headlines/60000 2022年2月1日閲覧。 
  18. ^ “プレーオフのかかる最終戦をQBウォルフォードに託すラムズ”. NFL JAPAN. (2020年12月30日). https://nfljapan.com/headlines/60043 2022年2月1日閲覧。 
  19. ^ Jared Goff 2020 Game Log” (英語). Pro-Football-Reference.com. February 1, 2022閲覧。
  20. ^ “QBゴフと守備陣の踏ん張りでライバルのシーホークスを撃破したラムズ”. NFL JAPAN. (2021年1月10日). https://nfljapan.com/headlines/60532 2022年2月1日閲覧。 
  21. ^ “パッカーズがラムズを下してカンファレンスチャンピオンシップ進出”. NFL JAPAN. (2021年1月17日). https://nfljapan.com/headlines/60858 2022年2月1日閲覧。 
  22. ^ Lions to trade Matthew Stafford to Rams in blockbuster deal involving Jared Goff, picks”. NFL. 2021年2月1日閲覧。
  23. ^ “ライオンズがQBスタッフォードをラムズにトレード、ラムズからはQBゴフとドラフト指名権を獲得”. NFL JAPAN. (2021年1月31日). https://nfljapan.com/headlines/61467 2022年2月2日閲覧。 
  24. ^ “NFLでドラフト全体トップ指名選手同士のトレード ライオンズとラムズの間で成立”. スポーツニッポン. (2021年2月1日). https://www.sponichi.co.jp/sports/news/2021/02/01/kiji/20210201s00040079146000c.html 2022年2月2日閲覧。 
  25. ^ “ラムズ・スタッフォードとライオンズ・ゴフ、交換トレードのQBに明暗”. 日刊スポーツ. (2021年9月13日). https://www.nikkansports.com/m/sports/news/202109130000544_m.html 2022年2月2日閲覧。 
  26. ^ “チャージャーズQBハーバートとライオンズQBゴフが第13週の最優秀選手賞を獲得”. NFL JAPAN. (2021年12月9日). https://nfljapan.com/headlines/71445 2022年2月2日閲覧。 
  27. ^ Rasmussen, Karl (2022年9月18日). “Jared Goff Sets Lions Franchise Record With NFL-Best TD Streak” (英語). ClutchPoints. 2023年5月1日閲覧。
  28. ^ Simmons, Myles (2023年1月31日). “Jared Goff named to Pro Bowl games, replacing Jalen Hurts” (英語). ProFootballTalk. 2023年5月1日閲覧。

関連項目

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外部リンク

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