ジャカルタ都市高速鉄道
ジャカルタ都市高速鉄道 (Jakarta Mass Rapid Transit, インドネシア語: Moda Raya Terpadu Jakarta (ジャカルタ統合質量車両)) は、インドネシアの首都ジャカルタに建設が進められている鉄道 (地下鉄)。南北線と東西線の2つの路線が計画されており、南北線のフェーズ1区間が2019年3月に開業している。
種類 | 株式会社 |
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略称 | MRTJ |
本社所在地 |
インドネシア 10350 Wisma Nusantara Lt. 21, Jln. MH Thamrin 59, Jakarta |
設立 | 2008年6月17日 |
業種 | 旅客鉄道事業 |
事業内容 | 旅客鉄道事業 |
主要株主 |
ジャカルタ首都特別州 99% Perumda Pasar Jaya 1% |
外部リンク | MRT Jakarta |
特記事項: |
概要
編集ジャカルタ首都特別州政府が出資するジャカルタMRT社が運営する、インドネシア初の地下鉄である[1]。
ジャカルタ首都圏の人口は2015年に2,200万人を超え、郊外の人口の伸びに伴い郊外からジャカルタ中心地域への交通量が増加している。一方でジャカルタ首都圏の交通は著しく道路交通に依存しており、深刻な交通渋滞とそれに伴う大気汚染が懸念されている[2]。そこで都市高速鉄道システムの建設による旅客輸送力の増強によって交通渋滞や交通環境の改善が期待されている[2]。
2013年10月10日に、2019年開業予定のプロジェクト、フェーズ1(Lebak Bulus to Hotel Indonesia(HI)Roundabout)の式典が開催された。2018年12月から2019年2月まで運用テストを行った後、2019年3月24日に開業式典が行われた[3][4]。翌3月25日から通常運行を開始し、利用促進のため3月中は運賃無料となる。一方で4月から有料になるにもかかわらず、ジャカルタ首都特別州政府が投入する補助金の額が決まっていないため運賃が発表されない[3]まま開業するなど、4月17日投票の大統領選挙を前にしたジョコ・ウィドド大統領の実績アピールのための見切り発車とも思える状況であった[5]。結局、運賃は3月26日に発表された[6]。
工事は、日本の円借款による事業であり、多くの日本企業が参画したが、MRT側の不合理な払い渋りがあり、各企業は軒並み赤字を計上することとなった。第一期工事は予定した時期に本体工事を終了させて開業することはできたが、第二期工事についてはリスクの高さから入札見送りを表明する企業もあり、開業時期などは予断を許さない状況となっている[7]。
路線
編集南北線 M1
編集- 第1期区間:15.7km、13駅、2013年着工、2019年3月開業[8]
- A区間 6.3km コタ駅 〜 ブンデラン HI駅
- B区間 5.2km アンチョール・マリナ駅 ~ コタ駅(計画中)
東西線 M2
編集- 2030年開業計画
外環状線 M3
編集- 計画中
車両
編集ジャカルタ都市高速鉄道 南北線用の電車 | |
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南北線の電車 | |
基本情報 | |
製造所 | 日本車輌製造 |
製造年 | 2018年 |
製造数 |
96両 6両16編成 |
運用開始 | 2019年3月 |
投入先 | ジャカルタ都市高速鉄道南北線 |
主要諸元 | |
編成 |
1編成6両 4M2T |
軌間 | 1,067 mm |
電気方式 |
架空電車線方式 直流 1500 V |
最高運転速度 | 100 km/h |
起動加速度 | 3.3 km/h/s |
減速度(常用) | 2.88 km/h/s |
減速度(非常) | 3.6 km/h/s |
車両定員 |
制御車(Tc) - 307人 中間車(M1・M2') - 332人 中間車(M1'・M2) - 336人 |
車体長 |
先頭車 - 20,075 mm 中間車 - 19,500 mm |
車体幅 | 2,950 mm |
全高 | 3,995 mm |
車体高 | 3,985 mm |
台車 |
ボルスタレス台車 先頭車 : ND-748T 中間車 : ND-748 |
車輪径 | 860 mm |
固定軸距 | 2100 mm |
主電動機 |
三相かご形誘導電動機 東洋電機製造製 TDK6326-A[11] |
主電動機出力 | 126 kW[11] |
駆動方式 | TD継手式中実軸平行カルダン駆動[11] |
歯車比 | 98/15 (6.53)[11] |
出力 | 504 kW[11] |
編成出力 | 2,016 kW[11] |
制御方式 | IGBT素子VVVFインバータ制御(1C4M×2)[11] |
制御装置 | 東洋電機製造製 RG6036-A-M[11] |
保安装置 | CBTC |
備考 | 諸元は[12]より |
概要
編集導入の経緯
編集2015年3月3日に南北線向けの6両編成16本、計96両を住友商事と日本車輌製造が共同で受注した。この車両は日本の官民が連携しアジア向け輸出促進のために策定された都市鉄道システムの標準仕様STRASYAに準じた仕様で、インドネシア向けとしてはインドネシア鉄道公社Hitachi電車以来、約20年ぶりの日本製新造鉄道車両の輸出となる[13]。
詳細
編集一般的に1000系と呼ばれる電車で、2018年2月に最初の編成が落成し、2019年3月の開通・開業式典までにすべての車両が導入された[14]。
編成は以下の通りである[12]。
← ルバックブルス アンチョール・マリナ →
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車種 | Tc2 | M1 | M2 | M1' | M2' | Tc1 |
総定員 | 307 | 332 | 336 | 336 | 332 | 307 |
座席定員 | 48 | 54 | 51 | 51 | 54 | 48 |
それぞれの方向別で先頭車両は、毎日朝7:00 - 9:00と夕方17:00 - 19:00の間に限り女性専用車両となる。
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車両基地に勢ぞろいする車両
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通常の塗装の車両
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車体側面に広告が施された車両
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前面
方向表示器はLED
連結器は柴田式密着連結器 -
ジャカルタに陸揚げされる車両
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車内
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車内
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車内の各乗降扉上には情報案内のフルカラーLCDモニターが備わる
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車端に張られている車両番号と吊り革
運賃
編集2019年3月の開業時は運賃無料であったが、4月からは初乗り4,000ルピア(日本円でおよそ32円)、最高で14,000ルピア(およそ113円)の運賃となる[6]。
2019年10月末、スマートフォンのアプリでも乗車できるようになる[15]。
脚注
編集- ^ MRT「事業継続」 ジョコウィ知事が方針 建設費用、妥当と判断 運賃1万5000ルピアは調整へ (2012年12月01日) - じゃかるた新聞
- ^ a b “OCAJI2015年8月・9月号”. 海外建設協会. 2018年9月16日閲覧。
- ^ a b “ジャカルタ初の都市鉄道が開業式”. 日本経済新聞 (2019年3月24日). 2019年3月24日閲覧。
- ^ 「インドネシア初となる地下鉄開通:ジャカルタ都市高速鉄道(MRT南北線)開業式典」~オールジャパンの支援による地下鉄開業~ - JICA 2019年3月25日
- ^ ジャカルタ初の地下鉄「見切り発車」へ 大統領選控え -朝日新聞 2019年3月13日
- ^ a b “Jakarta Sets MRT Ticket Price”. Jakarta Globe. (2019年3月26日)
- ^ “日本企業に不満も=「支払い滞り赤字」-インドネシア地下鉄”. 時事通信 (2019年3月24日). 2019年3月24日閲覧。
- ^ “MTR Academy Signs Memorandum of Understanding with MRT Jakarta to Support Development of Indonesia’s First Mass Transit System” (PDF) (英語). 香港MTR (2017年4月28日). 2017年5月4日閲覧。
- ^ “MRT第2期区間は総延長11.5キロ、11駅に”. NNA.ASIA. (2019年10月2日)
- ^ “MRT開通 日本の最新技術投入 円借款事業 南北線第2区間も起工”. じゃかるた新聞. (2019年3月25日)
- ^ a b c d e f g h “ジャカルタMRT車両用電機品” (PDF). 東洋電機製造 (2019年). 2023年4月3日時点のオリジナルよりアーカイブ。2023年2月25日閲覧。
- ^ a b “ジャカルタ都市高速鉄道南北線向け電車”. 日本車輌製造. 2020年10月19日閲覧。
- ^ “インドネシア都市高速鉄道 南北線向け 鉄道車両受注について”. 住友商事 (2015年3月3日). 2020年10月19日閲覧。
- ^ “ジャカルタ都市高速鉄道南北線向け電車納入”. 日本車輌製造 (2019年6月). 2020年10月19日閲覧。
- ^ “MRT、10月末からスマホで乗車可能に”. NNA.ASIA. (2019年9月27日)