1,2-ジメトキシエタン
(ジメトキシエタンから転送)
1,2-ジメトキシエタン(1,2-Dimethoxyethane)は化学式C4H10O2で表されるエーテルの一種である。グリム、モノグリム、ジメチルグリコール、エチレングリコールジメチルエーテル、ジメチルセロソルブといった別名を持ち、DMEと略される。無色透明の液体であり、溶媒として用いられる。水に可溶である。消防法に定める第4類危険物 第1石油類に該当する[2]。
1,2-ジメトキシエタン | |
---|---|
別称 Ethane-1,2-diyl dimethyl ether[1] DME Glyme Ethylene glycol dimethyl ether Monoglyme Dimethyl glycol Dimethyl cellosolve | |
識別情報 | |
略称 | DME |
CAS登録番号 | 110-71-4 |
PubChem | 8071 |
ChemSpider | 13854808 |
UNII | GXS24JF5IW |
EC番号 | 203-794-9 |
ChEBI | |
RTECS番号 | KI1451000 |
バイルシュタイン | 1209237 |
Gmelin参照 | 1801 |
| |
| |
特性 | |
化学式 | C4H10O2 |
モル質量 | 90.12 g mol−1 |
外観 | 無色の液体 |
密度 | 0.8683 g/cm3 |
融点 |
-58℃ |
沸点 |
85℃ |
水への溶解度 | 混和 |
危険性 | |
GHSピクトグラム | |
GHSシグナルワード | 危険(DANGER) |
Hフレーズ | H225, H332, H360FD |
Pフレーズ | P201, P202, P210, P233, P240, P241, P242, P243, P261, P271, P280, P281, P303+361+353, P304+312 |
NFPA 704 | |
引火点 | −2 °C (28 °F; 271 K) |
関連する物質 | |
関連するエーテル | ジメトキシメタン |
関連物質 | エチレングリコール 1,4-ジオキサン ジグリム |
特記なき場合、データは常温 (25 °C)・常圧 (100 kPa) におけるものである。 |
ジエチルエーテルやTHFより沸点の高いエーテル系溶媒としてよく用いられる。二座配位子として、カチオンと複合体を形成する。このためグリニャール反応やヒドリド還元、パラジウムを用いる触媒反応(鈴木・宮浦カップリング反応や右田・小杉・スティルカップリングなど)といった有機金属を用いた化学反応でしばしば用いられる。オリゴ糖や多糖の良溶媒でもある。
製造
編集様々な方法を用いて製造されている:[3]。
- 2-メトキシエタノールと硫酸ジメチルとの反応により製造される。
- ジメチルエーテルの存在下、エチレンオキシドの開環反応により製造される。この反応では三フッ化ホウ素(BF3)などのルイス酸を触媒として作用させている。この合成法ではジグリムやトリグリムといった他のグリム系化合物も生成してしまうため、反応後に精留が行われる。
利用
編集有機化学分野では化学反応における溶媒として用いられる。また粘度の低い溶媒として、誘電率の高い化合物と組み合わせてリチウム電池の電解液として用いられる。
参考文献
編集- ^ a b Nomenclature of Organic Chemistry: IUPAC Recommendations and Preferred Names 2013 (Blue Book). Cambridge: The Royal Society of Chemistry. (2014). p. 704. doi:10.1039/9781849733069-00648. ISBN 978-0-85404-182-4
- ^ 法規情報 (東京化成工業株式会社)
- ^ Dimethoxyethane (ChemIndstry.ru)
関連項目
編集