ジェノヴァ語
ジェノヴァ語(伊:genovese、現地語:zeneize)とは、北イタリアのジェノヴァ(リグーリア州の州都)地域で話されているリグリア語の主要方言である。
ジェノヴァ語 | ||||
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Zeneize | ||||
話される国 | イタリア | |||
地域 | ジェノヴァ、リグーリア州 | |||
話者数 | ? | |||
言語系統 | ||||
言語コード | ||||
ISO 639-3 | — | |||
Glottolog |
geno1240 [1] | |||
Linguasphere |
51-AAA-ohd ... -ojb | |||
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リグリア語は、ロマンス諸語の分枝であり正式言語としてエスノローグに掲載されており、古代リグリア語と間違えてはならない。ロンバルド語、ピエモンテ語、その周辺地域の言語と同様、ガロ・イタリア語である。
ジェノヴァ語が消滅することは当面ない。残っている話者の大半は高齢者であるが、多くの若者もまだその言語を話している。そのうえ、キアーヴァリの「O Castello」やジェノヴァの「Compagna」のように、この言語を生かし続けようと活動する団体もいくつか存在する。
13世紀以降、ジェノヴァ語で文学が作られているが、その綴りが完全に正規化されたことはない。しかし2008年以降、Académia Ligùstica do Brénnoによる公式の正書法があり、ポルトリア地域の市民活動に基づく筆記の整理が試みられている。それらの規則(ここで見られる)は、全てのリグリア語を書くのに有用である。
ジェノヴァ語の音韻論には、フランス語との類似点がいくつかある。1つは、鼻音の前にある重い鼻母音(VN(C)の順に)である。それはまた、ジェノヴァ住民が標準イタリア語を話すときにも発生する。以前は、歯茎ふるえ音/r/と対立する、英語にみられるような歯茎接近音/ɹ/があった(18世紀の綴りを使うと、caro [ˈkaːɹu] (親愛なる)とcarro [ˈkaːru](荷車))が、もはや都市部では聞かれない。カリッツァーノやサッセッロといったリグーリア州の一部農村地域ではまだ残存しているところがある。今日、圧倒的に多いタイプの /r/ は、歯茎はじき音[ɾ](標準イタリア語の強勢のない /r/ と同一またはほぼ同じ)である。ジェノヴァ語にはいくつかの地域アクセントがあり、ジェノバ東部Nervi、Quinto、Quartoのアクセント、西部Voltri、Prà、Pegli、Sestriのアクセント、中央部Polcevera Valley、ビサーニョのアクセントに分かれる。
モナコ語の変種として、ジェノヴァ語はモナコ公国の学校で公的に教えられており[2]、少数住民が話しているほか、モナコ大公のグリマルディ家がリグーリアから始まっていることから、多くの現地住民が共通の第二言語として使用している。モナコ=ヴィルでは、フランス語とモナコ語双方の標識が印刷されている[3]。
早口言葉
編集- Mi sò asæ s'a sâ a sä asæ pe sâ a säsissa.= 私はこの塩がソーセージの塩分に充分であるか否か見当がつかない。
- Sciâ scîe scignôa, sciando Sciâ xêua in scî scî. = スキー、夫人、スキーで空高く飛んでいる。
- A-o mêu nêuo gh'é nêue nâe nêue; a ciù nêua de nêue nâe nêue a n'êu anâ. = 新しい埠頭に9つの新しい船がある。 9つの新しい船のうち最新のものが出航したがらない。
- Gi'àngiai g'han gi'oggi gi'uegge gi'unge cume gi'atri? =天使たちは皆のように目、耳、そして(指)爪を持っているの?
表現
編集- Son zeneize, rîzo ræo. =私はジェノヴァ人で、滅多に笑わない。
- 子供の愚痴: Ò famme. =僕お腹すいた。
- 母親が応じて: Gràttite e zenogge e fatte e lasagne. =膝を掻いてラザニアを作る。
- Chi vêu vîve da bon crestiàn, da-i begghìn o stagghe lontàn. =良いキリスト教徒として生きたいのなら、敬虔なふりをする人から遠ざかりなさい。
- No se peu sciusciâ e sciorbî . = 吸うと吐くは同時にできない。(同時に矛盾する2つのことはできない。)
- Belìn! = 「ワオ!」または「くそッ!(とても非公式)」(文字通りだとこの語は「陰茎」を意味するが、今はその卑猥な意味が失われ、様々な表現を強める強意語として使われている。)
音韻論
編集ジェノヴァ語には、8個の母音、20個の子音、3個の半母音がある。
8個の母音
- /a/ barba /ˈbarba/ (おじ, パン)
- /e/ tésta /ˈtesta/ (頭)
- /ɛ/ægoa /ˈɛɡwa/ (水)
- /i/ bibin /biˈbiŋ/ (七面鳥)
- /o/ cöse /ˈkoːse/ (何?)
- /ø/anchêu /anˈkøː/ (今日)
- /u/ comme /ˈkumme/ (どんな?)
- /y/ fugassa /fyˈɡassa/ (フォカッチャ、イタリアのパンの一種)
出典
編集- ^ Hammarström, Harald; Forkel, Robert; Haspelmath, Martin et al., eds (2016). “Genoese”. Glottolog 2.7. Jena: Max Planck Institute for the Science of Human History
- ^ https://web.archive.org/web/20110224034322/http://www.monaco-mairie.mc/00_Actus/pdf/oct05/24_cerem.pdf
- ^ “Society”. Monaco-IQ. 6 September 2012閲覧。
外部リンク
編集- Genoese phonology
- Do you want to learn Genoese??
- Asterix speaks Genoese
- Audio samples of several Italian dialects
- ACADÉMIA LIGÙSTICA DO BRÉNNO (in Genoese)
- Official Orthography and Alphabet (in Genoese)
- A Compagna
- Genoves.com.ar - Bilingual website in Spanish and Genoese, with resources to learn Genoese, Ligurian literature with Spanish version, texts, photos, etc.