SHOP99
SHOP99(ショップきゅうきゅう)は、日本にかつて存在した均一価格型のスーパーマーケット(生鮮コンビニ)である[1]。
運営会社は、株式会社九九プラス(きゅうじゅうきゅうプラス、英: Ninety-nine Plus Inc. )。本社は東京都新宿区西新宿にあったが現在は解散している。
2011年(平成23年)7月20日までに、SHOP99の全店舗がローソンストア100に改称し[2]、2014年(平成26年)2月1日に株式会社ローソンマート(現株式会社ローソンストア100)へオペレーション機能を承継した上で、吸収合併されて解散した。
概要
編集アメリカの均一価格チェーンストアをヒントに事業を立ち上げ、100円ショップの価格と食品スーパーの品ぞろえ、コンビニエンスストアの規模と3つの業態を合わせた業態で運営された[3]。多くの商品が店舗名の「99」に由来して消費税抜99円、税込104円(当時税率5%)で販売されていた(ローソンストア100への一元化後は税抜100円、税込110円[注釈 1]、食料品は軽減税率108円となっている)。また、生鮮食品が売り上げの約40%を占めており[4]、生鮮コンビニである点も特徴である。プライベートブランドとして価格志向のQQ Labelを販売しており、売り上げの約30%を占める[4]。
顧客の要望により、税抜き99円以外の商品や新聞・雑誌(これらは定価販売)を扱う店舗もあり、さらに商品によっては25円、50円の物もあり、「○個で99円」という価格設定になっていた[注釈 2]。
毎月9日前後に「九の市(きゅうのいち)」、月末には「月末市」と題したセールを行っていた。セール内容は店頭に掲示された広告や公式サイトで確認できた。セール品の販売は午前10時から開始していたが、2008年(平成20年)7月に終了した。
出店地域は東京・名古屋・大阪の大都市圏が中心であり、郊外と比較して既存の市街地への立地が多かった[5]。出店に際しての特徴としては利便性が高い一方で雑居ビルや集合住宅が立地する「二等地」を選定しているほか、コンビニ閉店後の空き店舗への居抜き出店を行っており、地代の削減を図っている[6]。
店舗運営
編集利益率の低い食料品や価格の変動する野菜を破格の値段で販売し、コスト削減が効かないナショナルブランド品の比率も高く、多くの100円ショップと比べて利益は極めて薄く、急激な店舗展開による人員不足など、課題は残っていた。
定価販売が原則のコンビニとは異なり、販売期限が近づいた生鮮食品などは、10円から半額の値引き販売を行うことで廃棄ロスを軽減させていたが、本来は99円の商品であるため利益を損なっていた。
また店舗名では99円均一を「売り」としてはいたが、弁当やナショナルブランドなど、商品売価が99円ではない商品も多くあった。
創立当初からPOSシステムなどは導入されておらず、全て小型の手打ちレジで代金を精算していた。その後、一部店舗では固定式でバーコードを読み取る精算端末レジも導入されたが、全店に展開される事はなかった。また店員の人員不足などのため、店舗ごとのオペレーションにバラつきが大きかった。
沿革
編集1996年(平成8年)、主に東京都西部でスーパーマーケットを運営していた株式会社ベスト[注釈 3]内の事業部により、東京都立川市若葉町に、SHOP99の前身となる「99エンオンリーストア」一号店が開業した[3]。
2000年(平成12年)、株式会社九九プラスを設立し、株式会社ベストから独立。フランチャイズ展開を開始する[3]。2001年(平成13年)には新店舗出店時における店名を「SHOP99」に統一、プライベートブランドとしてQQ Labelを発売する。2004年(平成16年)よりイメージキャラクターに草彅剛を起用。
2007年(平成19年)2月28日、ローソンと業務提携し、ローソングループの一員となった[7]。その際に行われた記者会見では、首都圏を中心に展開しているローソンストア100の店舗を将来的にはSHOP99へ統合する方向性が示されていた[8]。
しかし、後に方針転換し、2008年(平成20年)2月18日付のSHOP99プレスリリースにて、SHOP99からローソンストア100への統合と、PB(プライベートブランド)商品を共通化する新たな方向性を発表、それに沿った試験的な店舗展開が行われ、一部店舗はローソンストア100に衣替えした[9]。
2008年(平成20年)7月、ローソンが株式公開買付け(TOB)を発表し、元親会社で筆頭株主であったキョウデン[5]ほかの賛同によりTOBが成立。2008年(平成20年)9月5日にローソンはキョウデン保有の株式などを取得し、九九プラスを子会社化した[10]。これにともない、既存店舗をSHOP99からローソンストア100への屋号変更・改装の本格的実施[11]を発表した。
2009年(平成21年)5月1日付で、ローソンストア100を展開する株式会社バリューローソン、同年12月には九九プラス関西をそれぞれ吸収合併。店舗運営や商品仕入機能の一元化、店舗ブランドの統合加速などにより、さらなる競争力強化を図った。
2009年(平成21年)11月、ローソンが2010年(平成22年)3月1日付で株式交換によって九九プラスを完全子会社化すると発表。しかし、2010年(平成22年)2月9日に、ローソン子会社のローソンエンターメディアで、役員が約150億円もの資金を不正に流用していた問題が発覚。ローソンは交換比率に影響が出ると判断し、株式交換を一時中止した[12]。
その後、業績への影響が確定したことから交換比率を再算定、2010年(平成22年)4月14日に二度目の株式交換契約を締結した。同年6月25日付でジャスダック上場廃止となり、7月1日付でローソンの完全子会社となった。2011年(平成23年)には全店舗がローソンストア100に移行し、統合を完了させた。
2014年(平成26年)2月1日、ローソンに吸収合併。オペレーション機能を株式会社ローソンマート(現株式会社ローソンストア100)へ承継した上で、株式会社九九プラスは解散した。
年表
編集- 1996年(平成8年)4月 - スーパーマーケットを運営していた株式会社ベスト内に事業部を発足。東京都立川市若葉町に「99エンオンリーストア」の店名で1号店を開店。
- 2000年(平成12年)10月 - 株式会社九九プラスを設立し、株式会社ベストから独立。同月、フランチャイズ展開を開始。
- 2001年(平成13年)
テーマソング
編集店内BGMとして流されるオリジナルテーマソングがあった。作詞・作曲は元親会社のキョウデングループ会長のはしもとひろし、編曲は平家徹也、歌は高橋ひろこ。
2004年(平成16年)にCDが99円で店頭にて発売された。現在は同社サイトのアーカイブでダウンロード可能[14]。ちなみに、お笑い芸人の増谷キートンがテーマソングとして使用している。
CDが発売される前から「SHOP99テーマソング」が店内に流れていたが、同じ曲でも歌詞の出だし・メロディが一部異なっており、別の人物が歌っていた。
2004年頃までは別の曲も使われており、99(ナインティナイン)を連呼する曲や子供番組風の曲、SHOP99チャレンジクッキング」司会のプリンセスサッチーとオカマ口調のマロンが掛け合いをする「SHOP99チャレンジクッキング テーマソング」もあった。
SHOP99ゲームシリーズ
編集各店舗でWindows用ゲームソフトを99円(税込104円)で販売していた。
同時期にはダイソーも「ザ・ゲームシリーズ」を100円(税込105円)で発売している。
- タイトルリスト
脚注
編集注釈
編集出典
編集- ^ 箸本(2007),p.19
- ^ a b 「SHOP99」は、「ローソンストア100」に生まれ変わりました! ローソンストア100(「ローソンストア100」HOMEへのリンクはリンク切れ)
- ^ a b c 箸本(2007),p.20
- ^ a b 箸本(2007),p.26
- ^ a b 箸本(2007),p.21
- ^ 箸本(2007),pp/24-25
- ^ 株式会社ローソンと株式会社九九プラスの業務・資本提携に関するお知らせ ローソン ニュースリリース 2007年2月28日
- ^ ローソン、ショップ99と資本・業務提携。低価格ショップの統合も視野 Garbagenews.com 2007年3月01日
- ^ 統一PBブランド「VL」商品発売&統合目指した試験店展開 SHOP99 新着情報 2008年2月18日(同年3月3日時点のアーカイブ)
- ^ 親会社等主要株主の異動、代表取締役及び役員の異動に関するお知らせ (PDF, 株式会社九九プラス・IRニュース) [リンク切れ]
- ^ SHOP99公式サイト「おしらせ」より(2009年2月25日時点のアーカイブ)
- ^ ローソン、九九プラス完全子会社化への株式交換中止 | ビジネスニュース Reuters
- ^ a b c “沿革 会社紹介|企業情報|ショップ99”. web.archive.org (2009年2月22日). 2020年11月9日閲覧。
- ^ SHOP99テーマソング
参考文献
編集- 箸本健二(2007)「'99円スーパー'はなぜ成長したのか」『流通空間の再構築』古今書院
関連項目
編集外部リンク
編集- ローソンストア100
- SHOP99(2009年9月8日のアーカイブ)