シット・オン・マイ・フェイス
シット・オン・マイ・フェイス(英: Sit On My Face)は、モンティ・パイソンが1980年のアルバム "Monty Python's Contractual Obligation Album" (en) で発表した1分足らずの短い楽曲である。パイソンズのライブでは、ハリウッドボウル公演(1980年)や復活ライブ(2014年)で上演されている。また、ジョージ・ハリスンの追悼コンサート『コンサート・フォー・ジョージ』にパイソンズが出演した際にも演奏されている。
『シット・オン・マイ・フェイス』 "Sit On My Face" | |
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モンティ・パイソンのスケッチ | |
初出 | "Monty Python's Contractual Obligation Album" (en) (1980年) |
再演 |
『ライブ・アット・ザ・ハリウッド・ボウル』(1980年) 『コンサート・フォー・ジョージ』(2002年) 『復活ライブ!』(2014年) |
初出での各メンバーの主な役柄 | |
公式動画 | |
Sit On My Face - Monty Python - YouTube | |
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曲名は直訳すれば、「僕の顔の上に座って」との意味である。歌詞中にダブル・ミーニングをふんだんに含み、曲は2通りの意味に解釈できる(後述)。
ライブなどでの上演
編集この曲は1980年のアルバム "Monty Python's Contractual Obligation Album" (en) に収録された[1]。同年に行われた『ライブ・アット・ザ・ハリウッド・ボウル』では、ギャルソンに扮したチャップマン、クリーズ、ギリアム、ジョーンズによって歌唱されている[2][3]。明転すると、ギャルソン姿でロングエプロンを着けた4人が舞台上に現れ、この曲を歌う。4人は歌い終わってステージを去るが、その際観客には下着を着けていない4人の臀部が見える、というスケッチである。
この曲は後にベスト・アルバム『モンティ・パイソン シングス』(1989年)[4]、その再発盤『モンティ・パイソン シングス(アゲイン)』(2014年)[5]に収録された。
2002年の『コンサート・フォー・ジョージ』では、この曲をギリアム、アイドル、ジョーンズ、そしてニール・イネスが歌った[注 1][3][6]。4人はハリウッドボウル公演でのパフォーマンス同様に、ギャルソン姿でロング・エプロンを着けて登場する。歌い終わった後4人は振り返り、会場に掲げられたハリスンの写真へ頭を下げるが、その際4人は聴衆に向けて裸の尻を見せることになる。彼らはそのまま退場し、マイケル・ペイリンによる『木こりの歌』のパフォーマンスへと続く。このイベントは、ビートルズのメンバー、ジョージ・ハリスンの追悼コンサートとしてロイヤル・アルバート・ホールで行われたもので、パイソンズの他にも、エリック・クラプトンや同じビートルズのポール・マッカートニー、リンゴ・スターなど、ハリスンと親交のあった有名アーティストが多数出演している[注 2]。また、ハリスンはパイソンズの映画第3作『ライフ・オブ・ブライアン』制作のため映画会社ハンドメイド・フィルムスを立ち上げて支援するなど、パイソンズとの縁が深い人物であった。
パイソンズの一員・グレアム・チャップマンの自伝を元にした映画『ある嘘つきの物語 グレアム・チャップマン自伝』でもこの曲が用いられている。曲はロンドン・ゲイ男声合唱団(英: The London Gay Men's Chorus)によってサウンドトラック・ライブ形式両方で収録され[8]、後者はフラッシュモブとしてロンドン映画祭の上映会中に収録された[要出典]。
曲の概要
編集この曲の作詞はエリック・アイドル、編曲はジョン・デュ・プレ、作曲はハリー・パー=デイヴィースである[10]。この曲は、パー=デイヴィースが作曲し、グレーシー・フィールズが歌ったナンバー "Sing As We Go" (en) からメロディを流用している[11]。
この曲の歌詞は、単純に読むと仲睦まじいカップルが永遠の愛を誓うものだが、よく読むとそこかしこに性行為を思わせる単語が含まれている。例えば歌詞中の "oralize" という単語は、「お喋りする」との意味に取ることもできるが、オーラルセックス(フェラチオやクンニリングス)を指すと解釈することもできる。また、"Life can be fine if we both 69" との歌詞[注 3]は、「69歳になるまで一緒にいられれば幸せな人生だ」と長く共に過ごせることを願う意味に理解することも、直接的にシックスナインを指すと考えることもできる。
曲の法的な問題
編集アルバムのリリース前、モンティ・パイソンは、この曲が "Sing As We Go" のメロディを使っているために、著作権侵害に当たるおそれがあると警告を受けた[要出典]。結局、パイソンズはこの曲をそのままリリースすることを決めた。
アメリカ合衆国の連邦通信委員会(FCC)は、「英語の言葉遣いや『全体のノイズ』を抜きにしても、歌詞は充分に理解できる」(英: "despite English accent and 'ambient noise' … the lyrics were sufficiently understandable")と結論付け[注 4]、この曲は "Actionable indecency" (en) (意味:告訴できるほどわいせつである)とした[13]。1992年には、カリフォルニア州サンディエゴのクラシック・ロック・ラジオ局、KGB-FMがこの曲を流したことで訴訟沙汰になり[14]、結局ラジオ局は、9200ドルの違反金を支払うことになった[15]。
フランス語版
編集この曲はフランス語に翻訳され、2003年にエディンバラで "Cum in My Mouth" として発表された。音楽プロデューサーのレミー・ルノー(仏: Rémy Renoux)は、"Cum in My Mouth is … what Monty Python would have written today."(訳:この曲は・・・・・・モンティ・パイソンが今の時代に書いていてもおかしくない曲だ)とコメントしている[16]。ルノーはまた、フランス語への直訳が曲のメロディと上手く合わず、モンティ・パイソンチームに許可を求めたと語っている[16]。
関連項目
編集- 要注意歌謡曲指定制度
- アメリカ合衆国での検閲・放送禁止処分 (Censorship of broadcasting in the United States)
- 音楽検閲
脚注
編集注釈
編集- ^ ニール・イネスは、キャロル・クリーヴランドと共に「7人目のパイソン」と呼ばれた人物。映画第2作『モンティ・パイソン・アンド・ホーリー・グレイル』では一部音楽を担当しているほか、アイドルと組んでビートルズを模したバンド「ラトルズ」を結成している。
- ^ 詳しい出演者についてはリンク先の公式サイトを参照[7]。
- ^ 歌詞はYouTube上のモンティ・パイソン公式アカウントで発表されている、リリック・ビデオから引用[12]。
- ^ つまりこの曲が性行為をテーマにした曲だと理解できるということ。
出典
編集- ^ Monty Python. Monty Python's Contractual Obligation Album - オールミュージック. 2016年7月21日閲覧。
- ^ モンティ・パイソン・ライブ・アット・ザ・ハリウッド・ボウル - IMDb
- ^ a b First barber、Second barber、Third barber、Fourth barber - IMDb 、2016年7月21日閲覧。
- ^ Monty Python. Monty Python Sings - オールミュージック. 2016年7月21日閲覧。
- ^ 14曲目に収録:“モンティ・パイソン・シングス・アゲイン【CD】”. ユニバーサルミュージックストア. 2016年7月21日閲覧。
- ^ Concert for George - IMDb
- ^ “Performers”. Concert for George. 2016年7月21日閲覧。
- ^ “A Liar's Autobiography - The Untrue Story of Monty Python's Graham Chapman - Soundtrack”. soundtrack.net. 2016年7月21日閲覧。
- ^ 『モンティ・パイソン 復活ライブ!』(ブックレット)NHKエンタープライズ、ポニーキャニオン、2015年(原著2014年)、7頁。PCXE-50526。
- ^ Monty Python Sings (CDブックレット). Monty Python. Virgin Records USA. 1989. p. 1.
- ^ Monty Python's Contractual Obligation Album - Discogs
- ^ Sit on My Face (Official Lyric Video) - YouTube
- ^ 連邦通信委員会 (6 April 2001). “Industry Guidance On the Commission's Case Law Interpreting 18 U.S.C. § 1464 and Enforcement Policies Regarding Broadcast Indecency” (PDF). pp. 9. 2016年7月21日閲覧。
- ^ Blecha, Peter (2004). Taboo Tunes: A History of Banned Bands & Censored Songs. Backbeat Books. p. 116. ISBN 978-0-87930-792-9 7 July 2014閲覧。
- ^ Ahrens, Frank (2005年). “FCC Indecency Fines, 1970-2004”. The Washington Post. 2016年7月閲覧。
- ^ a b “Ce perroquet est mort: Monty Python in French? Brian Logan meets the team behind a world first”. The Guardian. (4 August 2003) 7 July 2014閲覧。