コバンソウ
コバンソウ(Briza maxima L.)は単子葉類イネ科コバンソウ属の一年生植物である。小判に似た形の小穂をつけることから名付けられた。
コバンソウ | ||||||||||||||||||||||||
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コバンソウの小穂
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分類(APG IV) | ||||||||||||||||||||||||
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学名 | ||||||||||||||||||||||||
Briza maxima Linnaeus |
特徴
編集日本では雑草として見られるもののひとつで、その中ではやや大きく偏平で、小判型の小穂が目につきやすい。成熟するとカラカラと音をたてることから「スズガヤ」の別名もある[1]。
草丈は10-60cm程度になる。茎は直立し、根元はややほふくする。葉は細長く、長さ5-10cm、幅3-8mmで毛がなく縁がざらつく。葉舌はまるく毛がない。
夏(7-9月)に茎の上部にまばらに数個(多くても10程度)の小穂のついた、先が垂れる円錐花序を形成する。小穂は細い枝で垂れ下がり、卵形から楕円形で長さ1-2cm、幅1cm位で、8-18個の小花でつくられている。小穂は左右から扁平だが鱗片はふくらんで厚みがある。一対の包穎のみやや濃く色づくが、他の護穎は淡い緑色から成熟すると黄褐色に変わり、光沢があって美しい。和名はこれを小判に見立てたものである。別名にタワラムギがあり、これもふくらんだ小穂の形を俵に見立てたものである。
分布と生育地
編集ヨーロッパ原産で、日本には明治時代に観賞用として渡来した。今ではそれが野生化し、海岸砂地などに大群落をつくっている[1]。
ヨーロッパ、アフリカ、アジア、オセアニア、南北アメリカの温帯地域に分布し、日本では本州中部以南に分布する。
沿海地の畑、道端、荒地などに生育し、日当たりのいいところを好む。乾燥に強く、土壌の質を選ばない。
近似種など
編集同属のヒメコバンソウ B. minor L. がある。形態的には似ているが、小穂が長さ4mmほどと遙かに小さく、また遙かに多くの小穂を一つの花序につけるため、外見的には大きく異なる。やはり雑草として広く見られる。またスズメノチャヒキ属にニセコバンソウ Bromus brizaeformis Fisch. et Mey. があり、やはり大柄な小穂が大きくてややふくらんで垂れ下がり、やや似ている。しかし護穎の先端が尖り、わずかに芒がある。
利害
編集観賞用に持ち込まれたもので、現在も栽培されることもあり、その穂はドライフラワーとしても利用される。
ただし栽培逸出により移入種として広く見られ、普通の雑草である。
参考文献
編集- 佐竹義輔・大井次三郎・北村四郎他『日本の野生植物 草本I 単子葉植物』平凡社、1982年、ISBN 4-582-53501-1
- 長田武正『日本のイネ科植物図譜(増補版)』(1993)(平凡社)
- 清水矩宏・森田弘彦・廣田伸七『日本帰化植物写真図鑑』全国農村教育協会、2001年、ISBN 4-88137-085-5
出典
編集外部リンク
編集- コバンソウ(国立環境研究所 侵入生物DB)