次式で定義される8個の3×3複素行列の組をゲルマン行列という。
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ここで、λ1, λ2, λ3 は部分空間に作用するパウリ行列 σ1, σ2, σ3 を
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の形で含んでおり、ゲルマン行列はパウリ行列の一般化となっている[4]。
ゲルマン行列 λa (a=1,…,8) はエルミート行列かつトレースはゼロとなる。
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また、二つのゲルマン行列の積のトレースは正規化されており、次の関係式を満たす[5]。
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但し、δabはクロネッカーのデルタである。
ゲルマン行列の交換関係 [λa, λb]=λa λb-λb λa は次のようなゲルマン行列の線形結合で表される。
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ここで、fabc は添え字 a, b, c について、完全反対称な実係数である。fabc のうち、ゼロでないものは、a < b < c を満たすもので代表させて表すと、次のようになる。
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一方、反交換関係 {λa, λb}=λa λb+λb λa は次の形をとる。
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ここで、dabc は添え字a, b, c について、完全対称な実係数である。dabc のうち、ゼロでないものをa < b < c を満たすもので代表させて表すと、
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3次特殊ユニタリ群SU(3) は行列式が1となる3×3ユニタリ行列から構成される。SU(3) は線形リー群であり、8個のゲルマン行列はその一次独立な生成子である。但し、物理学の慣習により、生成子はエルミート行列になるようにとるため、ゲルマン行列はそれ自身リー代数 𝔰𝔲(3) の元ではなく、ゲルマン行列に i=√-1 を乗じたものが 𝔰𝔲(3) の元となる。通常、SU(3)の生成子としては、λa の代わりに1/2 を乗じた Ta が用いられる。
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コンパクトで連結なリー群SU(3)の任意の元はリー環の指数写像によって
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の形で与えられる。
ゲルマン行列 λa、 または Ta の線形結合で張られる線形空間は交換子積
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により、リー代数となり、その構造は
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で定まる構造定数 fabc で規定される[6]。このリー代数はコンパクト・リー代数であるため、fabc は添え字a, b, c について、完全反対称である。
{T1,T2,T3}の組は、
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と交換子積について閉じており、SU(2)に対応する部分リー代数をなす。これ以外にもいくつかの組はSU(2)に対応する部分リー代数をなす。
このリー代数の全ての元と可換になるカシミヤ演算子は
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で与えられる。
- ^ G.B. Arfken, H.J. Weber and F.E. Harris (2012), chapter.4
- ^ H. Georgi (1999), chapter.7-9
- ^ Murray Gell-Mann,"Symmetries of Baryons and Mesons", Phys. Rev. 125, 1067 (1962) doi:10.1103/PhysRev.125.1067
- ^ パウリ行列は SU(2) の生成子であり、ゲルマン行列は SU(3) の生成子である。
- ^ リー代数におけるカルタン計量に対応する。
- ^ fabc は交換関係・反交換関係の節で述べたものと同一である。
- George B. Arfken, Hans J. Weber and Frank E. Harris, Mathematical Methods for Physicists (7th ed.) : Academic Press (2012). ISBN 978-0123846549
- H. Georgi, Lie Algebras in Particle Physics: from Isospin To Unified Theories (2nd ed.), Westview Press (1999). ISBN 978-0738202334.