ケベック・フランス語

カナダのケベック州におけるフランス語の方言

ケベック・フランス語(ケベック・フランスご、: français québécois フランス語発音: [fʁɑ̃sɛ kebekwa])は、主にカナダケベック州で使用されるフランス語のこと。単にケベック語ケベコワ: Québécois)とも呼ばれる。

ケベック・フランス語
français québécois
発音 IPA: [fʁɑ̃sɛ kebekwa]
話される国
地域 アメリカ州
話者数 7,303,740 人(2016年)
言語系統
表記体系 ラテン文字
公的地位
公用語 ケベック州の旗 ケベック州
統制機関 Office québécois de la langue française
言語コード
ISO 639-3
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特徴

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  • フランス本国のフランス語に比べて英語からの借用語が少く、また文法・語形・発音にも多少の差がある。[1]
  • フランスからケベックへの初期の移民ノルマンディーなどからの地方出身者が多く、フランス革命当時のフランス語の語形や発音が残っているため、フランス本国人は古い田舎のフランス語と感じる人もいる。もちろんフランス本国のフランス語も理解する。
  • ケベック・フランス語は英語からの借用語が多いが、逆の場合もある。フランス本国のフランス語では英語の借用語の単語だが、ケベック・フランス語ではフランス語化されているものもある。
    • 例:bowling(本国のフランス語)→ quilles(ケベック・フランス語), week-end(本国のフランス語)→ fin de semaine(ケベック・フランス語), puzzle(本国のフランス語)→ casse-tête(ケベック・フランス語)
  • カトリック教会用語由来の卑語が非常に多用する[要説明][2]

準拠

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ケベック・フランス語の綴りなどには、フランスのロベール社(Dictionnaires Le Robert)発行の『現代ケベック・フランス語辞書』(Dictionnaire québécois d'aujourd'hui、1992/93年)などが利用されている。

発音

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  • [t][d]母音 [i][y] の前で破擦音化され、それぞれ [t͡s][d͡z] となる。
  • フランスでは失われつつある [ɛ̃][œ̃] の区別が存在する。
  • 鼻母音 [ɛ̃][ẽ] に近い音となり、[ɑ̃][ã] に近い音となる。
  • フランスでは失われつつあるいわゆる暗いア [a] と明るいア [ɑ] の区別が残っている。
  • 文や語の最後に来る [a][ɔ] に近くなる。例:pas [pɔ], avocat [avɔkɔ]
  • くだけた会話では [wa][we] に近く発音される。例:moi [mwe]
  • r の発音はしばしば歯茎はじき音 [ɾ]スペイン語イタリア語の r, 日本語のら行に近い)となる。
  • 一部の単語は最後の子音も発音されることがある。例:lit [lɪt], tout [tʊt], pot [pɔt]
  • いわゆる「有音の h」が実際に発音されることがある。例:hache [haʃ]
  • r の直前の [ɛ][a] と発音される。例:personne [paʁsɔn], merci [maʁsi], fermer [faʁme]
  • â や ê の一部が二重母音化される。例:pâte [pɑɔ̯t], fête [faɛ̯t]
  • 連続した子音の脱落傾向。例:peut-être [pœtaɛ̯t], piastre [pjas], possible [pɔsɪb]

文法

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  • 接尾辞 -tu で疑問を表す。例:C'est-tu loin, ça ?(遠いかな?)
  • 関係代名詞で que の多用。例:Le document que j'ai besoin.(標準フランス語:Le document dont j'ai besoin.)
  • 反語の多用。例:C'est pas chaud !(熱くない!)

単語

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  • 自動車 char(仏国のフランス語:voiture, auto)
  • (車や電車から)降りる débarquer(仏国のフランス語:descendre)
  • (車や電車に)乗る embarquer(仏国のフランス語:monter)
  • コンビニエンスストア dépanneur(仏国のフランス語:supérette)
  • 運がある、ツイている être chancheux(仏国のフランス語:avoir de la chance)
  • 雨が降る mouiller(仏国のフランス語:pleuvoir)
  • ゴキブリ coquerelle(仏国のフランス語:blatte, cafard)
  • 中古品 usagé(仏国のフランス語:d'occasion)
  • バケツ chaudière(仏国のフランス語:seau)
  • 靴下 bas(仏国のフランス語:chaussette)
  • どういたしまして bienvenue(仏国のフランス語:il n'y a pas de quoi, de rien)
  • 朝食 déjeuner(仏国のフランス語:petit déjeuner)
  • 昼食 dîner(仏国のフランス語:déjeuner)
  • 夕食 souper(仏国のフランス語:dîner)
  • フレンチトースト pain doré(標準フランス語:pain perdu)
  • 弁当 boîte-repas(仏国のフランス語:panier-repas)
  • 飲み物 breuvage(仏国のフランス語:boisson)
  • お勘定 facture(仏国のフランス語:addition)
  • 買い物をする magasiner(仏国のフランス語:faire des courses, faire des achats)
  • 物を落とす échapper(仏国のフランス語:laisser tomber)
  • 鍵をかける barrer(仏国のフランス語:fermer à clef)

脚注

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  1. ^ La néologie et l’aménagement linguistique du Québec”. 2024年9月19日閲覧。
  2. ^ The Delightful Perversity of Québec's Catholic Swears”. Atlas Obscura. Atlas Obscura (May 26, 2016). 2019年10月18日閲覧。

参考文献

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  • Sinclair Robinson Donald Smith (1990): Dictionnaire du français canadien, Stoddart, ISBN 0-7737-5363-X
  • Gérard Dagenais (1990): Dictionnaire des difficultés de la langue française au canada, Les éditions française, ISBN 2-7618-1037-6
  • Léandre Bergeron (1980): Dictionnaire de la langue québécoise, Vlb éditeur, ISBN 2-89005-134-X
  • Hélène Polin Mignault (1990): Le français au québec, Sodilis, ISBN 2-920286-18-8
  • Françoise Mougeon (1995): Quel français parler, Édition du gref centre universitaire glendon Université York, ISBN 0-921916-64-7

外部リンク

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