キーウ攻勢 (2022年)
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キーウ攻勢(キーウこうせい)は、2022年ロシアのウクライナ侵攻中にウクライナのキーウ州(キエフ州)で行われたロシア陸軍による攻勢である[1][2]。またキーウ(キエフ)ではソビエト連邦時代にも独ソ戦でドイツ国防軍の攻撃に晒されており(1941年のキエフの戦い)、81年ぶりの戦争となった。
時系列
編集2月24日
編集2月24日の早朝、ロシア軍はキーウの主要空港であるボルィースピリ国際空港を含むキーウ州の標的に対して砲撃とミサイル攻撃を開始した[3][4][2]。
正午前に、既にベラルーシに集まっていたロシア軍が国境を越えて北からキーウ州に入った。ロシア軍は、ウクライナ軍との小競り合いの後、国境近くにあるチェルノブイリ原子力発電所の支配権を掌握した[5]。
その日の午後、ロシアの空挺部隊がホステメル空港に着陸し、一時的にその支配権を握った後、空港の支配権をめぐる激しい戦闘が始まった[6]。ウクライナ当局によると、ロシア空挺部隊は後にウクライナ軍によって空港から撃退された[7]。ロシア軍は再度キーウ貯水池周辺に上陸を試みた[8]。
2月24日の夜、ウクライナのウォロディミル・ゼレンスキー大統領は、「サボタージュ部隊」がキーウに接近していると述べた[9][10]。その夜、米国国防長官のロイド・オースティンは、国会議員との会話の中で、一部のロシアの機械化歩兵部隊がキーウから20マイル (32 km) まで進軍していると述べた[9][11]。
2月25日
編集2月25日の朝、ロシア空軍は首都への爆撃を続け、キーウ中心部を爆撃した[12]。ウクライナ軍は後にキーウ上空でロシアの飛行機を撃墜した。飛行機は9階建ての集合住宅に墜落し、建物が炎上した[13]。
6:47頃、ウクライナ軍の部隊がイヴァンキウ近くのテテリフ川に架かる橋を爆発させ、チェルノブイリから前進するロシア戦車部隊の進軍を止めた[14][15]。
ウクライナ軍参謀本部は後に、ウクライナの空挺部隊がイヴァンキフとダイマーでロシア人と交戦中であると述べた[13][16]。
午前中、ウクライナ国防省は、ロシア軍が市北部のオボロン地区に侵入したと主張した[17]。
イギリスのベン・ウォーレス国防大臣は、これまでにキーウで450人のロシア人兵士が殺害されたと推定した[18]。
キーウ市街でロシア軍部隊とウクライナ軍で市街戦が発生。犠牲者が出るもロシア軍部隊を撃退したとウクライナ軍当局が発表した[19]。
2月26日
編集2月26日の早朝、ロシア空挺部隊は、ヴァスィリキーウ空軍基地を占領するために、キーウのすぐ南にあるヴァスィリキーウ市に上陸し始めた。その後の戦いでは、都市の支配をめぐって激しい戦いが始まった[20]。01:30に、ウクライナ軍は、ウクライナのSu-27戦闘機がヴァスィリキー上空で空挺兵を乗せたロシアのイリューシンIl-76を撃墜したと主張している[21][22]。03:20頃、ウクライナ国務特別通信局は、ビラツェルクヴァ上空で2回目のIl-76が撃墜されたと報告した[23]。同日、ウクライナの首都キーウでロシア軍から攻撃を受けたが1部隊を撃退。
2月27日
編集ヴェルホーヴナ・ラーダは、ウクライナ軍がキーウ近郊のホストーメリ空港周辺においてカディロフツィの一部隊を殲滅、ロシア国境軍第141連隊司令官マゴメド・ツシャエフを殺害したとTelegramの公式アカウントにおいて発表した[24]。しかし、ラムザン・カディロフはツシャエフは生存していると主張し、別の軍司令官とともに映る動画をTelegramに投稿した[25]。
3月1日
編集3月1日、ロシアのミサイルがキーウのテレビ塔を攻撃し、市内のテレビ放送が停止し、5人が死亡した[26]。ロシアの砲撃はルサニフカとクレニフカ、ボヤルカとヴィシュネヴェの郊外にも及んだ。またボロディアンカでは激しい戦闘が続いている。
3月2日
編集3月2日、イルピンはミサイル攻撃を受けて大きな被害を受けたと報告された。ウクライナ軍総司令官であるヴァレリー・ザルジニーは、後にウクライナ軍がマカリヴを奪還したと表明した。
3月15日
編集ウクライナ国家警察は、ホストメルでロシア軍が避難バスに発砲し、民間人1人が死亡、2人が負傷したと発表した[27]。ブチャでは、ロシア軍が義勇兵と市議会職員を拘束したが、翌日には解放した[28]。
3月16日
編集ウクライナ政府はキーウに接近するロシア軍を撃退するため、反攻を開始したと発表した。その結果ブチャ、ホストメル、イルピンで戦闘が行われた[29]。
4月3日
編集ウクライナ軍はキーウ州全地域を奪還、ロシア軍は撤退しキーウ攻勢はウクライナの勝利で終わる[30]。
脚注
編集- ^ “Battle underway for airbase on Kyiv outskirts”. France 24. Agence France-Presse. (24 February 2022)
- ^ a b Vanderklippe, Nathan; MacKinnon, Mark (24 February 2022). “Russian troops advancing toward Kyiv as war rages throughout Ukraine”. The Globe and Mail
- ^ Saunders, Thomas; Wood, Poppy (24 February 2022). “Ukraine invasion map: Where Russia's troops have attacked in the war so far and how Putin will target Kyiv”. i
- ^ “Fresh pre-dawn explosions heard in Ukraine's capital, Kyiv, with reports Russian plane downed”. ABC News (Australia). (25 February 2022)
- ^ “Ukraine loses control of Chernobyl nuclear site, amid battles in Kyiv outskirts”. The Times of Israel. (24 February 2022)
- ^ “Battle Underway for Airbase on Kyiv Outskirts”. The Moscow Times. AFP. (24 February 2022)
- ^ Adcox, Abigail (24 February 2022). “Ukraine says forces regained control of airport taken by Russians”. The Washington Examiner
- ^ Hyde, Lily (24 February 2022). “Russians tighten noose around Kyiv as Putin pushes for Ukraine to disarm”. Politico
- ^ a b Karmanau, Yuras; Heintz, Jim; Isachenkov, Vladimir; Litvinova, Dasha (24 February 2022). “Explosions heard in Kyiv as Russia presses Ukraine assault”. Associated Press
- ^ Talmazan, Yuliya; Smith, Alexander; Shabbad, Rebecca; Elbaum, Rachel (24 February 2022). “Ukraine president warns of Russian saboteurs in Kyiv as U.S., allies pile on new sanctions”. NBC News
- ^ “ロシア軍がキエフから32キロの距離に、米当局者が議員に伝える”. CNN.co.jp. 2022年2月25日閲覧。
- ^ Trofimov, Yaroslav; Cullison, Alan; Forrest, Brett; Simmons, Ann M. (25 February 2022). “Russia Bombs Ukranian Capital, Kyiv”. Wall Street Journal
- ^ a b “Ukraine crisis: Russia plans to break into Kyiv with tanks - gov't adviser”. Jerusalem Post. (25 February 2022)
- ^ “Українські військові під Києвом зупинили колону російських танків” (Ukrainian). Gazeta (25 February 2022). 25 February 2022閲覧。
- ^ “Ukraine capital under missile fire as Russian troops advance”. Euronews (25 February 2022). 25 February 2022閲覧。
- ^ “ЗСУ ведуть бій в районах Димера та Іванкова на Київщині - Генштаб”. Ukrinform. (25 February 2022)
- ^ Bengali, Shashank; Santora, Marc (25 February 2022). “Russian troops enter the outskirts of Kyiv”. The New York Times 25 February 2022閲覧。
- ^ “Russia-Ukraine War: UK Estimates 450 Russian Soldiers Killed In Battle With Kyiv [ロシア・ウクライナ戦争:英国、キエフとの戦闘で450人のロシア軍兵士が死亡したと推定]” (英語). en:Republic TV. (2022年2月25日) 2022年2月25日閲覧。
- ^ “ウクライナ首都で市街戦 ロシア部隊が市内侵入”. 2022年2月26日閲覧。
- ^ Tsvetkova, Maria (2022年2月26日). “Kyiv braces for assault as Russia, Ukraine signal possibility of talks” (英語). Financial Post 2022年2月26日閲覧。
- ^ “Помста за Луганськ 2014: біля Василькова збили ІЛ-76 із ворожими десантниками” (ウクライナ語). www.unian.ua. 26 February 2022時点のオリジナルよりアーカイブ。2022年2月26日閲覧。
- ^ “На Донбасі збили російський вертоліт і штурмовик” (ウクライナ語). portal.lviv.ua. 2022年2月26日閲覧。
- ^ @KyivIndependent (2022年2月26日). "⚡️Second Russian Il-76 transporter downed. Ukraine's air defense near Bila Tserkva killed the second aircraft that could carry over 100 paratroopers for landing to the south of Kyiv" (英語). X(旧Twitter)より2022年2月26日閲覧。
- ^ Russian invasion update: Ukrainian military destroy Kadyrov forces unit near Hostomel,ウクルインフォルム,2022年2月27日
- ^ “Russia Tries to Terrorize Ukraine With Images of Chechen Soldiers”. FOREIGN POLICY. (2022年2月26日) 2022年2月27日閲覧。
- ^ キエフのテレビ塔に砲撃、5人が死亡 ウクライナ当局が発表(朝日新聞Digital、2022年3月2日)
- ^ “Russian forces shoot at civilians in Hostomel”. India Today. (15 March 2022). オリジナルの15 March 2022時点におけるアーカイブ。 15 March 2022閲覧。
- ^ “Occupiers release volunteers previously captured in Bucha – city council”. Interfax-Ukraine. (16 March 2022). オリジナルの17 March 2022時点におけるアーカイブ。 16 March 2022閲覧。
- ^ Alan Cullison; Isabel Coles; Yaroslav Trofimov (16 March 2022). “Ukraine Mounts Counteroffensive to Drive Russians Back From Kyiv, Key Cities”. The Wall Street Journal. オリジナルの16 March 2022時点におけるアーカイブ。 16 March 2022閲覧。
- ^ “ウクライナ“キーウ州全域奪還” ロシア 来月勝利宣言意向か”. NHK (2022年4月3日). 2022年6月23日閲覧。
関連項目
編集- ウクライナ紛争 (2014年-)- 2014年2月23日(-現在)
- ロシア・ウクライナ危機 (2021年-2022年) 2021年11月(-現在)
- 2022年ロシアのウクライナ侵攻