キャヴェンディッシュ家

イギリスの名家

キャヴェンディッシュ家英語: Cavendish family[ˈkævəndɪʃ])は、イギリス貴族の家系。16世紀宗教改革時代の修道院解散で巨万の富を築き、17世紀から貴族に列した。2020年現在世襲貴族の爵位を持つキャヴェンディッシュ家にデヴォンシャー公爵家(イングランド貴族)、ウォーターパーク男爵家(アイルランド貴族)、チェシャム男爵家(グレートブリテン貴族)の3つがある。またデヴォンシャー公爵家の分流の一人ヒュー・キャヴェンディッシュ英語版1990年一代貴族ファーネスのキャヴェンディッシュ男爵に叙位されている。かつてニューカッスル=アポン=タイン公爵(イングランド貴族)を保有した分家もあったが、これは廃絶している。

キャヴェンディッシュ家の紋章

歴史

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貴族になる前のキャヴェンディッシュ家

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「キャヴェンディッシュ」の名はアングロサクソン語に由来し、サフォークキャヴェンディッシュ英語版の地名に由来する[1]。ここは1086年ドゥームズデイ・ブックにKavandiscとして記録され、1242年にはCavenedisと記録されている[1]。この言葉は「Cafnaの牧草地」を意味する[1]。Cafnaというのは7世紀以前の古い個人名であり、「大胆」を意味するCafから派生した言葉である[1]。ediscは囲い込む牧草地を意味する[1]。その後「Candish」や「Cavendish」と表記されるようになった[1]

キャヴェンディッシュ家はノルマン騎士ロバート・ド・ジャーノン(Robert de Gernon)の子孫にあたる。このロバートの息子のグリムストン・ホール(Grimston Hall)のロバート・ド・ジャーノンは、キャヴェンディッシュのジョン・ポトン(John Potton)の女子相続人と結婚し、キャヴェンディッシュの土地を手に入れた。その息子たちがキャヴェンディッシュの土地の名を姓にするようになった[2]

キャヴェンディッシュ家の祖であるサー・ジョン・キャヴェンディッシュ英語版(1346頃–1381)は、リチャード2世の治世の1372年から1381年にかけて王座部裁判所長官英語版を務めたがワット・タイラーの乱で殺害されている[2]。その子孫のトマス・キャヴェンディッシュ (-1523)ヘンリー8世の時代に財務控訴裁判所(Court of Exchequer)のパイプ・ロール書記官を務めた[2]。その息子ジョージ・キャヴェンディッシュ英語版(1500–1562頃)は枢機卿トマス・ウルジーの伝記を書いた[2]。その弟ウィリアム・キャヴェンディッシュ(1505–1557)は、財務省官僚として修道院解散による土地没収からの横領でキャヴェンディッシュ家の巨額の財を築いた[2]。その3番目の妻ハードウィックのベス英語版は、エリザベス1世時代に最も有力な人物の一人となった[2]。彼らは1549年ダービーシャーチャッツワース英語版の土地を購入し、1552年に同地にチャッツワース・ハウスを建設した[2]

夫妻の長男ヘンリー・キャヴェンディッシュ英語版(1550–1616)の子孫はウォーターパーク男爵家となり[2]、お気に入りの次男ウィリアム・キャヴェンディッシュ英語版(1552–1626)は、1608年にベスが死去した時にノッティンガムシャーのワークソップ英語版オールドコーツ英語版、チャッツワースやハードウィック・ホール英語版といった重要な4つの邸宅を相続し、デヴォンシャー公爵家(とその分流チェシャム男爵)の祖となる[2]。三男チャールズ・キャヴェンディッシュ(1553頃–1617)は、ニューカッスル=アポン=タイン公爵家(後に廃絶)の祖となった[2]

デヴォンシャー公キャヴェンディッシュ家

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ウィリアム・キャヴェンディッシュは、1605年5月4日イングランド貴族ハードウィックのキャヴェンディッシュ男爵(Baron Cavendish of Hardwicke)1618年8月7日デヴォンシャー伯爵(Earl of Devonshire)に叙位された[3]。その曽孫ウィリアム・キャヴェンディッシュ(1640–1707)は、名誉革命の貢献で1694年5月12日イングランド貴族デヴォンシャー公爵(Duke of Devonshire)ハーティントン侯爵(Marquess of Hartington)に叙位された。その後分流の貴族が爵位を継承した関係で連合王国貴族バーリントン伯爵ケイリーのケイリーのキャヴェンディッシュ男爵(Baron Cavendish of Keighley, of Keighley)も従属爵位に加えて2020年現在まで存続している。チャッツワース・ハウスも所有し続けている。2020年現在の当主は第12代デヴォンシャー公爵ペリグリン・キャヴェンディッシュ英語版(1944-)である[4]

ニューカッスル公キャヴェンディッシュ家

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チャールズ・キャヴェンディッシュの子ウィリアム・キャヴェンディッシュ(1592–1676)1620年10月29日にイングランド貴族ノッティンガム州におけるマンスフィールドのマンスフィールド子爵(Viscount Mansfield, of Mansfield in the County of Nottingham)ノーサンバーランド州におけるボサルのボサルのオーグル男爵(Baron Ogle of Bothal, of Bothal in the County of Northumberland)に叙位され、1628年3月7日ニューカッスル=アポン=タイン伯爵(Earl of Newcastle-upon-Tyne)ダービー州におけるボルソーバーのキャヴェンディッシュ男爵( Baron Cavendish of Bolsover, of Bolsover in the County of Derby)1643年10月27日ニューカッスル=アポン=タイン侯爵(Marquess of Newcastle-upon-Tyne)に叙位された。王政復古後の1665年3月16日ニューカッスル=アポン=タイン公爵(Duke of Newcastle-upon-Tyne)オーグル伯爵(Earl of Ogle)に叙位された[5]

しかしその息子の第2代ニューカッスル=アポン=タイン公爵ヘンリー・キャヴェンディッシュ(1630–1691)が男子相続人なく死去したことで全爵位が廃絶した[5]

ウォーターパーク男爵キャヴェンディッシュ家

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ヘンリー・キャヴェンディッシュの来孫でアイルランド議会の議員のヘンリー・キャヴェンディッシュ英語版(1707–1776)は、1755年5月7日にグレートブリテン準男爵位の(ダービー州ダヴリッジの)準男爵(Baronet, of Doveridge in the County of Derby)に叙位された。その息子の第2代準男爵サー・ヘンリー・キャヴェンディッシュ英語版(1732–1804)の妻のサラ・キャヴェンディッシュ(1740-1807)は、1792年6月15日アイルランド貴族コーク県におけるウォーターパークのウォーターパーク女男爵(Baroness Waterpark, of Waterpark in the County of Cork)に叙位された。2020年現在まで存続しており、現在の当主は第8代ウォーターパーク男爵ロデリック・アレクサンダー・キャヴェンディッシュ(1959-)である[6]

チェシャム男爵キャヴェンディッシュ家

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デヴォンシャー公爵家の分流にあたるチャールズ・キャヴェンディッシュ英語版(1793–1863)は、1858年1月15日連合王国貴族バッキンガム州におけるチェシャムのチェシャム男爵(Baron Chesham, of Chesham in the County of Buckingham)に叙位された。2020年現在まで存続しており、現在の当主は第7代チェシャム男爵チャールズ・キャヴェンディッシュ英語版(1974-)である[7]

一代貴族のキャヴェンディッシュ家

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9代デヴォンシャー公ヴィクター・キャヴェンディッシュの弟の孫ヒュー・キャヴェンディッシュ英語版(1941-)1990年5月17日一代貴族ファーネスのキャヴェンディッシュ男爵(Baron Cavendish of Furness)に叙位されている[8]

系譜

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出典

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  1. ^ a b c d e f Last name: Cavendish”. The Internet Surname Database. Name Origin Research (2017年). 20 April 2019時点のオリジナルよりアーカイブ19 March 2020閲覧。 Template:Tertiary source
  2. ^ a b c d e f g h i j The Cavendish Family- Dukes of Devonshire”. www.cheshirenow.co.uk. 2017年8月9日閲覧。
  3. ^ Heraldic Media Limited. “Devonshire, Earl of (E, 1618)” (英語). Cracroft's Peerage The Complete Guide to the British Peerage & Baronetage. 2020年5月1日閲覧。
  4. ^ Heraldic Media Limited. “Devonshire, Duke of (E, 1694)” (英語). Cracroft's Peerage The Complete Guide to the British Peerage & Baronetage. 2020年5月1日閲覧。
  5. ^ a b Heraldic Media Limited. “Newcastle-upon-Tyne, Duke of (E, 1664/5 - 1691)” (英語). Cracroft's Peerage The Complete Guide to the British Peerage & Baronetage. 2020年5月1日閲覧。
  6. ^ Heraldic Media Limited. “Waterpark, Baron (I, 1792)” (英語). Cracroft's Peerage The Complete Guide to the British Peerage & Baronetage. 2020年5月1日閲覧。
  7. ^ Heraldic Media Limited. “Chesham, Baron (UK, 1858)” (英語). Cracroft's Peerage The Complete Guide to the British Peerage & Baronetage. 2020年5月1日閲覧。
  8. ^ Hansard 1803–2005: contributions in Parliament by Lord Cavendish of Furness(英語)