オーランドー (原題: Orlando: A Biography)は、1928年に出版されたヴァージニア・ウルフ小説である。自らの恋人であったイギリス詩人ヴィタ・サックヴィル=ウェストをモデルとした半伝記的な物語で、難解でアヴァンギャルドなものが多いとされるウルフの作品の中では比較的読みやすい作品であるといえる。本作で用いられる文体は、後の女性文学、特にジェンダー研究トランスジェンダー研究の分野に多大な影響を与えた。

オーランドー
著者ヴァージニア・ウルフ
原題Orlando: A Biography
イギリスの旗 イギリス
言語英語
出版社Hogarth Press
出版日1928年10月11日

あらすじ

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主人公の青年貴族オーランドーは、エリザベス1世統治下のイギリスで生まれ、その美貌から女王の寵愛を受けて育つ。女王の死後、オーランドーはロシアの皇女サーシャと恋に落ちる。サーシャとの恋模様は、1608年のロンドン大寒波が背景にある。サーシャに裏切られ心を痛めたオーランドーは、未完成のままだった詩集The Oak Treeの制作活動に再び耽る。作詩活動をする中で、ニコラス・グリーン(Nicholas Greene)を始め当時の有名な詩人達との交流を楽しむようになる。その後詩人としての挫折を経たオーランドーはチャールズ2世の指名でコンスタンティノープルに渡り、トルコ大使として政務に務めるが、暴動の最中に7日間の昏睡状態に陥ることとなる。眠りから覚めたオーランドーは自らの身体が女性に変身していることに気付く。 そして女性に生まれ変わったオーランドーは、ひそかにジプシーとの生活を送るようになるが、貴族として贅沢な暮らしを送ってきた彼女とってジプシーの生活様式は相容れず、再びイギリスに戻ることとなる。航海中、女性用の洋服を着用しなければならないことや彼女と恋に落ちた船員とのやり取りを通じてオーランドーは自らが女性に変身したことを自覚し、女性であることの歓びを覚える。 そして、18世紀・19世紀のイギリス社交界に舞い戻ったオーランドーは、数世紀越しの詩集The Oak Treeで賞を取る。文学的に成功し、女性としての地位も築いたオーランドは、結婚・出産を経験し、女性として余生を送る。

備考

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『オーランドー』は多数の学術論文で研究対象とされており、注釈付きヴァージョンでの新版も多く出されている。多国語に訳され、1937年にアルゼンチンの作家ボルヘススペイン語訳を出している。他にウルフ作品は『自分だけの部屋』を訳している。

女性の作家がジェンダーを直接的に扱った作品として『オーランド』の題名は女性文学史においてその名を馳せている。その一例として、ブリテン諸島ではその名を冠したプロジェクトが行われている。

ヴィタ・サックヴィル=ウェストの次男であるナイジェル・ニコルソン[1]は、この作品を「文学界において最も長く魅力的なラブレター」と評した[2]

日本語訳

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映像化ほか

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この作品は、舞台化・映画化されている。

脚注

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  1. ^ 子・ニコルソンによる母ニコルソン(平凡社)と、ウルフ(岩波書店)の伝記は、日本語訳されている。
  2. ^ Blamires, Harry (1983). A Guide to twentieth century literature in English. London: Methuen. ISBN 9780416364507. OCLC 9731959. https://www.worldcat.org/oclc/9731959 
  3. ^ オーランドー”. PARCO STAGE. 2017年9月14日閲覧。
  4. ^ 「オーランドー」開幕直前記者会見ダイジェストmovie”. PARCO STAGE (2017年9月22日). 2017年9月23日閲覧。
  5. ^ 多部未華子、小日向文世らが白井晃演出で“性”も“時”も越える物語『オーランドー』開幕”. エンタステージ (2017年9月25日). 2017年9月25日閲覧。

外部リンク

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