エゾヒナノウスツボ
エゾヒナノウスツボ(蝦夷雛の臼壺、学名:Scrophularia alata )は、ゴマノハグサ科ゴマノハグサ属の多年草[4][5][6]。
エゾヒナノウスツボ | ||||||||||||||||||||||||
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青森県尻屋崎 2017年7月上旬
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分類(APG III) | ||||||||||||||||||||||||
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学名 | ||||||||||||||||||||||||
Scrophularia alata A.Gray[1] | ||||||||||||||||||||||||
シノニム | ||||||||||||||||||||||||
和名 | ||||||||||||||||||||||||
エゾヒナノウスツボ(蝦夷雛の臼壺)[4] |
特徴
編集地下にゴボウ状に肥大した根がある。茎は太くやや柔らかく、4稜があって稜に幅の狭い翼状のひれがあり、直立して高さ90-150cmになる。葉は対生して大きく肉質で、長さ1.5-3cmになる翼のある葉柄がやや茎を抱き、葉身は広卵形で、長さ8-15cm、幅6-9cmになる。葉の先端はとがり、縁には先の鈍い鋸歯がある[4][5][6]。
花期は6-7月。茎の先によく分枝する円錐花序をつけ、多くの花をまばらにつける。花序軸は四角のまま太く、腺毛が生え、花柄は太く、長さ6-20mmになり細かい腺毛がまばらに生える。萼は鐘形で、萼裂片は5つに深く裂け、緑色で縁の色はうすく、裂片は卵円形で先は円い。花冠は淡黄緑紫色で長さ8-10mmになり、壺形で先は唇形になり、上唇はやや紫褐色が濃く2裂し、下唇の色はやや薄く3裂し、下唇の中央裂片は反り返る。花冠全体が紫褐色に見えるものもある。雄蕊は4個あって花冠下唇側につき、横に広い楕円形の葯の縁が裂けて花粉を出す。仮雄蕊が1個あり、花冠上唇の中央基部につき、先が円いへら形となる。雌蕊は1個で花柱は花外に伸び出す。果実は、長さ7-10mmの三角状卵形の蒴果になり、胞間裂開する。種子は楕円形でごく小さい[4][5][6]。
雌蕊先熟
編集雌蕊先熟で、花が開くと花柱が花の外に伸び、受粉して下垂する。この時、自花の葯から花粉は出ていない。その後雄蕊が伸びて葯の縁が裂け、花粉を出す。これによって同一の花からの受粉が避けられる[6][7]。
分布と生育環境
編集日本では、南千島(歯舞諸島、色丹島)、北海道、本州(太平洋側では岩手県以北、青森県、日本海側では石川県以北)に分布し、海岸の岩礫地に生育する[4][5][6]。国外では、千島列島南部、サハリン南部に分布する[6]。
名前の由来
編集和名のエゾヒナノウスツボは「蝦夷雛の臼壺」の意で、小さな壺形の花を臼や壺に見立てたヒナノウスツボに似て、蝦夷地に多いのでいう[5]。同属に、似た花をつけるオオヒナノウスツボ、サツキヒナノウスツボ、ハマヒナノウスツボなどがある。
下位分類
編集ギャラリー
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花序軸は四角で太く、花柄も太く腺毛が生える。
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壺形の花。へら状の仮雄蕊が1個、その下に雄蕊が4個あり、雌蕊が1個下垂する。茎先によく分枝する円錐花序をつける。
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茎に4稜があり、稜にひれ状の翼がある。葉柄に翼がある。
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海岸の岩場に生育している。青森県種差海岸(2017年6月下旬)
脚注
編集- ^ エゾヒナノウスツボ 「BG Plants 和名−学名インデックス」(YList)
- ^ エゾヒナノウスツボ 「BG Plants 和名−学名インデックス」(YList)
- ^ エゾヒナノウスツボ 「BG Plants 和名−学名インデックス」(YList)
- ^ a b c d e f 『山溪ハンディ図鑑2 山に咲く花(増補改訂新版)』p.412
- ^ a b c d e f g 『新牧野日本植物圖鑑』p.671, p.1316
- ^ a b c d e f g 『改訂新版 日本の野生植物 5』p.94
- ^ 『写真で見る植物用語』p.110
- ^ ハマヒナノウスツボ 「BG Plants 和名−学名インデックス」(YList)
- ^ ハマヒナノウスツボ 「BG Plants 和名−学名インデックス」(YList)
参考文献
編集- 牧野富太郎原著、大橋広好・邑田仁・岩槻邦男編『新牧野日本植物圖鑑』、2008年、北隆館
- 岩瀬徹・大野啓一著『写真で見る植物用語』第2版、2008年、全国農村教育協会
- 門田裕一監修、永田芳男写真、畔上能力編『山溪ハンディ図鑑2 山に咲く花(増補改訂新版)』、2013年、山と溪谷社
- 大橋広好・門田裕一・木原浩他編『改訂新版 日本の野生植物 5』、2017年、平凡社
- 米倉浩司・梶田忠 (2003-)「BG Plants 和名−学名インデックス」(YList)