エクストリームE(英:Extreme E)は国際自動車連盟(FIA)公認の電動SUVバギーによる国際オフロードレースシリーズ。「地球環境の保護に役立つEVの市場浸透を促進する」をビジョンに掲げ、主にアマゾン熱帯雨林北極圏などといった極地でレースが開催される[1][2][3]。2021年4月開始[4]、2024年終了[5]

エクストリームE
カテゴリ 電動オフロードレース
国・地域 国際
開始年 2021
ドライバー 18
チーム 9
コンストラクター スパーク・レーシング・テクノロジー
タイヤ
サプライヤー
コンチネンタル
公式サイト extreme-e.com
現在のシーズン

概要

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2019年、アレハンドロ・アガグと元レーシングドライバーのジル・ド・フェランが共同で設立した。環境意識への訴求のため、気候変動の影響が見られる砂漠・海洋・熱帯雨林・氷河・北極圏などの極地を舞台にレースが行われる。環境への影響を鑑みて現地に観客が立ち入ることはできず、観戦手段はインターネットやTV放送での配信に限られる[6]

SUV型のバギーカーを使ったオフロードレースであるが、昨今の環境意識への高まりもあって、現役F1王者のルイス・ハミルトンが「X44」、元F1王者でハミルトンの同僚であったニコ・ロズベルグが「RXR(ロズベルグ・エクストリーム・レーシング)」、やはり元F1王者でハミルトンの元同僚ジェンソン・バトンが「JBEX」といった同シリーズ専用チームを作って送り込むなど、サーキットレースのレジェンド達からも注目を集める競技である。

もちろんオフロード界からも、世界ラリー選手権9度の王者セバスチャン・ローブダカール・ラリーWRCのレジェンドであるカルロス・サインツナッサー・アルアティヤ世界ラリークロス選手権王者のヨハン・クリストファーソンやハンセン兄弟、ジムカーナ動画で高い人気を誇るケン・ブロック、女性初のダカール王者ユタ・クラインシュミットなど超大物が揃い踏みしている。またサインツは自らのチーム「サインツXEチーム」も参戦させている。

ワンメイクレースだが、市販車の外観をマシンデザインに転用できることもあり、メーカー系チームとしてマクラーレンクプラアプト・スポーツラインとのジョイント体制)、GMCチップ・ガナッシ・レーシングとのジョイント体制)が参戦している。

YouTubeで無料でレースのライブ配信が行われている[7][8]ほか、JSPORTSでもハイライト番組が放送されている[9]

パドックには引退したセントヘレナ号が利用されている[10]

しかし主催者では、2025年より新たに水素燃料電池を搭載した新車両『パイオニア25』により争われる「エクストリームH」を発足させることを決め、それに伴い本シリーズは2024年限りで終了する方針を発表。さらに2024年9月には、同時点で未開催だったシリーズ残り3戦を無期延期とすることを発表し、最終年のシリーズは事実上途中で打ち切りとなった[5]

レギュレーション

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セアトの高性能ブランドである、クプラのデザインしたオデッセイ21

第1世代の車両は、2019年にグッドウッド・フェスティバル・オブ・スピードで公表された『オデッセイ21』がベースとして使われる。シャシーはフォーミュラE用車両も手掛けるスパーク・レーシング・テクノロジーが製作し、バッテリーはウィリアムズ・アドバンスド・エンジニアリング[11]ニオブ強化鋼合金による鋼管フレームの四輪駆動車で、車重は1,780kg。モーターの最高出力は400kW(約543PS)で、0-100m加速は130%(52°)勾配でも4.5秒で達する[12]。外観についてはカスタマイズが可能で、自動車メーカー系チームなどは自社のSUVにデザインを似せることが認められている。37インチにも及ぶ大きさのタイヤは、シリーズの創設パートナーでもあるコンチネンタルのワンメイク供給となる[12]

男女平等の観点から各チームが起用するドライバーは男女ペアの形が義務付けられており、レースが残り半分になった地点でスイッチゾーンへ向かいドライバー交代を行う。イベントにより男性と女性の走る順番が違う。

また、レース環境との関係で参戦する各チームが個別にリザーブドライバーを用意するのが難しいことを背景に、レースコース設計のアドバイザー兼リザーブドライバーを務める「ジョーカードライバー」を主催者側が用意する。初年度はジョーカードライバーに当初ティモ・シャイダー/ユタ・クラインシュミットの2名が起用されたが[13]、クラインシュミットの現役復帰に伴いタマラ・モリナーロが後を継いだ[14]

チャンピオン

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チーム ドライバー
男性 女性
2021  RXR  ヨハン・クリストファーソン  モリー・テイラー
2022  チームX44  セバスチャン・ローブ  クリスティーナ・グティエレス・エレーロ
2023  RXR  ヨハン・クリストファーソン  ミカエラ・オーリン=コツリンスキー

脚注

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  1. ^ FIA Announces World Motorsport Council Decisions”. fia.com (2020年10月9日). 2021年4月22日閲覧。
  2. ^ Burgt, Alex Kalinauckas and Andrew van de. “New Extreme E electric SUV series to launch with Formula E”. Autosport.com. 2021年4月22日閲覧。
  3. ^ [https://www.jsports.co.jp/program_guide/05/06/99103_4258266/ エクストリームE 2023【ハイライト】 第7戦 サルデーニャ島(イタリア) Island X Prix] J SPORTS 2023年12月3日閲覧
  4. ^ Extreme E — Calendar”. extreme-e.com. 2020年1月11日閲覧。
  5. ^ a b 電動最終年で苦渋の決断。残る3戦を延期し「代替案を検討」来季の水素にリソース集中か/エクストリームE - オートスポーツ・2024年9月9日
  6. ^ “極地のエクストリームE 将来的に主要地域でのレースも? 「人々に身近な場所」で開催検討”. AUTOCAR JAPAN. (2021年12月23日). https://www.autocar.jp/post/773965 
  7. ^ ExtremeEチャンネル YouTube
  8. ^ 【エクストリーム E】灼熱の砂漠ステージ ハイライト - YouTube
  9. ^ エクストリームE JSPORTS
  10. ^ AT&A, AKAI Taro /. “フォーミュラEのSUV版「Extreme E」が2021年1月に開幕…熾烈な環境下でEV四駆が競い合う”. Formula1-Data / F1情報・ニュース速報解説. 2022年9月17日閲覧。
  11. ^ “電動SUVレース『エクストリームE』のベース車両プロトタイプ公開”. motorsport.com. (2019年7月6日). https://jp.motorsport.com/ExtremeESeries/news/extreme-e-prototype-suv-revealed-/4489385/ 
  12. ^ a b “コンチネンタルタイヤ、「エクストリームE 」参戦車両に最先端のタイヤ管理システムを提供”. GENROQ WEB. (2020年12月29日). https://genroq.jp/2020/12/29/104598/ 
  13. ^ “エクストリームEもうひとりの“ジョーカー”は、砂漠の女王ユタ・クラインシュミットに”. オートスポーツ. (2021年3月23日). https://www.as-web.jp/rally/679340?all 
  14. ^ “WRC2経験者のタマラ・モリナーロ、エクストリームEで“砂漠の女王”後任としてジョーカー就任”. オートスポーツ. (2021年7月10日). https://www.as-web.jp/rally/717108?all 

関連項目

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外部リンク

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