エウリュメドーン
エウリュメドーン(古希: Εὐρυμέδων, Eurymedōn)は、ギリシア神話の巨人、あるいは人物である。長母音を省略してエウリュメドンとも表記される。「広く支配する者」という意味で、神話学者カール・ケレーニイは「海の支配者」と解釈している[1]。
ほか数人が知られている。以下に順に説明する。
ギガースの王
編集エウリュメドーンはギガースの王で、ペリボイアの父。ペリボイアはポセイドーンとの間にパイアーケス人初代の王ナウシトオスを生んだ。驕慢なエウリュメドーンは無法な民を破滅させ、自らもまた破滅したといわれる[2]。
アレクサンドリアの詩人エウポリオーンは、エウリュメドーンが結婚前のヘーラーを犯し、ヘーラーはプロメーテウスを生んだという異説を伝えている[3]。
ミーノースの子
編集この人物はクレーテー島の王ミーノースとニュムペーのパレイアの子で、ネーパリオーン、クリューセース、ピロラーオスと兄弟[4]。
エウリュメドーンとその兄弟はパロス島の住人だったが、彼らはヘーラクレースがアマゾーンの女王ヒッポリュテーの帯を取りに行く途中で島に立ち寄ったとき、その乗組員のうちの2人を殺してしまった。そのためヘーラクレースは彼らを殺し、町を包囲した。人々はヘーラクレースに願い出て、殺された者の代わりに島の人間を誰でも2人選ぶよう求めた。そこでヘーラクレースは怒りを解き、ミーノースの子アンドロゲオースの子アルカイオスとステネロスを選んで船出した[5]。
アガメムノーンの御者
編集この人物はミュケーナイの王アガメムノーンの御者。ペイライオスの孫で、プトレマイオスの子。アガメムノーンに従ってトロイア戦争に参加したが[6]、帰国後、アイギストスに殺された。
その他
編集脚注
編集参考文献
編集- アポロドーロス『ギリシア神話』高津春繁訳、岩波文庫、改版1978年
- 『オデュッセイア / アルゴナウティカ』松平千秋・岡道男訳、講談社「世界文学全集」、1982年
- ヒュギーヌス『ギリシャ神話集』松田治・青山照男訳、講談社学術文庫、2005年
- ホメロス『イリアス(上)』松平千秋訳、岩波文庫、1992年
- ホメロス『オデュッセイア(上)』松平千秋訳、岩波文庫、1994年
- カール・ケレーニイ『ギリシアの神話 神々の時代』植田兼義訳、中公文庫、1985年
- カール・ケレーニイ『プロメテウス』辻村誠三訳、法政大学出版局・叢書ウニベルシタス、1972年
- 高津春繁『ギリシア・ローマ神話辞典』 岩波書店、1960年