ウクライナ国海軍

ウクライナ国海軍(うくらいなこくかいぐん；ウクライナ語: Український державний флот ウクライィーンスィクィイ・デルジャーヴヌィイ・フロート)は、ウクライナ国（1918年 4月29日 - 同年12月14日）の保有した海軍である。

成立と終焉

ウクライナ国海軍は、ウクライナ国に先立つウクライナ人民共和国の海軍艦隊を受け継ぐ形で建設された。1918年4月30日にドイツ帝国軍がセヴァストーポリをボリシェヴィキから奪回すると、同地を根拠地としていた旧ロシア帝国の黒海艦隊の艦艇の大部分を手中に収めた。

しかしながら、ウクライナ国はドイツ帝国の軍事力を背景にした政変で政権を打ち立てたため、ドイツ軍部に対して立場が弱かった。黒海に駐留した海軍艦艇の主要なものはドイツ帝国海軍地中海艦隊に編入され、地中海へ持ち去ることを主張したが、この計画は第一次世界大戦の推移とウクライナ国政府の抗議によって実現せず、艦艇はウクライナ領内に留まった。

ウクライナ国海軍では、黒海艦隊を主力とする艦隊に加え、陸戦部隊である海軍歩兵、飛行艇などを装備した海軍航空隊が編成された。

その後も同軍は赤軍などから艦艇を奪取するなどしてその勢力を増していった。ウクライナ国政権はウクライナ人にたいへん評判が悪かったため、人気取りの一環として海軍艦艇の名称の「ウクライナ化」を実行することとなり、9月17日、まず初めに航洋砲艦クバーネツ(Кубанец:クバン・コサックのこと)がザポロージェツィ(Запорожець:ザポロージャ・シーチのコサックのこと)に改称された。

しかしながら、同年12月にドイツ軍が本国の敗戦によりウクライナから撤退すると、後ろ盾を失ったウクライナ国の元首パウロー・スコロパードシクィイは亡命、ウクライナ国は崩壊し、黒海にあったウクライナ国艦隊はイギリス・フランス連合の革命干渉軍に接収された。それらの艦艇は一時イギリス海軍に編入されたが、のちに多くは南ロシア軍に引き渡された。

編成

主な艦艇

1918年秋の時点

註1:艦名はウクライナ語名に沿った表記、但し一部ロシア語名。
註2:この時点ですでに戦没したり、他勢力によって奪われている艦艇がある。また、ドイツ海軍に組み入れられ独自の名称を与えられている艦艇もある。ここでは、実情に拘らずウクライナ国海軍の目録にあげられる艦艇を記載する。
註3:この一覧ではすべての艦艇は網羅していない。

凡例
- *:この時点で建造中の未完成艦艇。
- **:この時点で戦没・事故等で失われている艦艇。在籍のみ。
- ***:この時点で修理中の艦艇。
- 特記なきものは現役稼動中、もしくは状況不明。

駆逐艦

水雷艇

潜水艦

航洋砲艦

ザポロージェツィ級砲艦^[5]

機雷敷設艦艇

電纜敷設艦

ミーナ級電纜敷設艇
- ミーナ

特設機雷敷設艦

掃海艦艇

通報艦

水上機巡洋艦・水上機輸送艦

通報艇

装甲艇

偵察艇

偵察内火艇

補助艦艇

標的艦

カテルィーナ2世級戦列艦
- 第4号繋留廃艦(旧チェスマー)**

その他

ドヴァナードツャチ・アポーストリウ級戦列艦
- 第8号繋留廃艦(旧ドヴァナードツャチ・アポーストリウ)
ヤロスラーウリ級巡洋艦
- 第9号係留廃艦(旧ヤロスラーウリ)
各種雑役船など

脚注

[脚注の使い方]

^ ヴィーリナ・ウクライナと呼ばれたというよく知られた俗説がある。
^ 旧オスマン帝国艦艇であったため、この時期に同国へ返還されている。
^ ^a ^b ^c これらはノヴィーク級駆逐艦にまとめられる場合がある。
^ ^a ^b 駆逐艦とする資料もある。
^ これはバルト艦隊向けの姉妹型コレーエツ級航洋砲艦にまとめられる場合がある。
^ 同名の同型艦があったが、1911年に除籍されている。
^ 貨物船から改装した特設掃海艇が数十隻運用された。
^ 旧二等巡洋艦。
^ 旧海防巡洋艦。
^ ^a ^b ^c ^d ^e ^f ^g 旧水雷艇。