アリノケラトプス (Arrhinoceratops ) (アルリノケラトプス)とは、カナダで発掘された中生代後期白亜紀のケラトプス科の恐竜角竜)である。全長は約6~8メートルで草食。名前の意味は、「鼻角のない顔」。

アリノケラトプス
地質時代
白亜紀
分類
ドメイン : 真核生物 Eukaryota
: 動物界 Animalia
: 脊索動物門 Chordata
亜門 : 脊椎動物亜門 Vertebrata
: 爬虫綱 Reptilia
亜綱 : 双弓亜綱 Diapsida
下綱 : 主竜形下綱 Archosauromorpha
上目 : 恐竜上目 Dinosauria
: 鳥盤目 Ornithischia
亜目 : 周飾頭亜目
下目 : 角竜下目 Ceratopia
: ケラトプス科 Ceratopidae
亜科 : カスモサウルス亜科 Chasmosaurinae
: アリノケラトプス属 Arrhinoceratops
学名
Arrhinoceratops
Parks1925
  • A. brachyops

特徴

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Arrhinoceratops brachyops 頭骨。ロイヤルオンタリオ博物館蔵。

他の角竜に比べて鼻と顔面部が短い。また、額には長く先の開いた(外側にせり出した)角があるだけでなく、その名にもかかわらず鼻の上にも角があるというトリケラトプスに似た恐竜である。襟飾り(フリル)は幅の広い台形をしている。トリケラトプスの祖先型に近いと見られている。

この名前の由来は、化石を記載したウィリアム・パークスが、この動物の鼻の上にある物は角ではなく元は分離したである、と考えたためである。しかし実際にはこのような角は元が分離していた物かを問うことは不可能であるためこの解釈は現在では受け入れられず、アリノケラトプスの鼻角も他の角竜の物と同じような物だと考えられている。

発見と種

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1925年にウィリアム・パークスによって記載された。 アリノケラトプスは部分的に破損し、わずかに変形した頭骨から知られる。それは下顎骨を欠いている。その化石は1923年にトロント大学による探検で、アルバータ州レッドディア川沿岸のニールズランチサイト Neill's Ranch site から発見された[1]

パークスは模式種をアリノケラトプス・ブラキオプス Arrhinoceratops brachyops と命名した。属名は古代ギリシャ語で「~のない」 を意味する α~、「鼻」を意味するίς(rhis)、「角」を意味する κέραςk(ceras)、「顔」を意味する ὤψ(ops) の組み合わせで「鼻角のない顔」の意味で、当時鼻角をもっていないと考えられた為、そのように命名された。種小名は古代ギリシャ語で「短い顔」を意味する。βραχύ(brachys)が「短い」という意味である[1]

ホロタイプは、ROM 796 (以前は ROM 5135)。ホースシューキャニオン累層のカンパニアン後期あるいはマーストリヒチアン前期からの発見である。 最初に見つかった頭骨で成る。

他の標本は1930年にユタ州で発見され、 Arrhinoceratops? utahensisチャールズ・ギルモアによって1946年に記載された。これはホロタイプ USNM 15583に基づく。疑問符はギルモア自身につけられたもので、彼は自分の同定に疑問を抱いていた[2]。1976年、 ダグラス・ローソンはその種をトロサウルス属に移した[3][4]

ホロタイプの頭骨以外の標本も、アリノケラトプス・ブラキオプスのものとされていたものは僅かに見つかっている。1981年、ヘレン・タイソンはROM 1439を暫定的に本種に分類した[5]。しかし2007年にアンドリュー・ファルケがトロサウルスとして再記載した[6]

記載

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復原図

この恐竜が頭骨のみで知られるようになって以来、科学者たちは僅かな解剖学的な情報しか与えられていない。復元された頭骨は、2つの楕円形の開口部を有する幅広い正方形のフリルを特徴とする[7]。フリル表面には深い血管の溝が形成されている。フリルの縁はホーンレットで装飾されていた。後部の縁は明瞭に波打っている。ホロタイプの左の鱗状骨には穴が空いているが、おそらく傷跡であるとされる。上眼窩角は適度に長いが、鼻角はほとんどのケラトプス類よりも短く鈍かった。鼻は前後に短く上下に高い[7]。首から下は典型的なケラトプス類のそれだったと思われる。頭骨に基づく全長は、一般的な科学書では成長しきったものだった場合約6mと見積もられている[7]。2010年、グレゴリー・ポールはその全長を4.5m、体重を1.3tと見積もった[8]

既にリチャード・スワン・ルルは1933年に、パークスによる原記載を批判していた[9]。そしてタイソンは、パークスによる多くの間違いを発見した。そのうち最も特筆すべきなのは、鼻角をもたないという理由で与えられた属名である。実際は普通のケラトプス類のように鼻角を有していた[5]

系統発生

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頭部の復原図

以下 サンプソンらによる系統樹 (2010):[10]

セントロサウルス亜科

カスモサウルス・ルッセリ

カスモサウルス・ベリ

モジョケラトプス・ペリファニア

アグジャケラトプス・マリスカレンシス

ユタケラトプス・ゲッティー

ペンタケラトプス・ステルンベルギ

コアフイラケラトプス・マグナクエルナ

コスモケラトプス・リカルドソニ

ヴァガケラトプス・イルヴィネンシス

アンキケラトプス・オルナトゥス

アリノケラトプス・ブラキオプス

オホケラトプス・フォウレリ

エオトリケラトプス・ゼリンスラリス

トロサウルス・ラトゥス

トロサウルス・ユタヘンシス

ネドケラトプス・ハッチェリ

トリケラトプス・ホリドゥス

トリケラトプス・プロルスス

出典

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  1. ^ a b Parks, W.A. (1925). "Arrhinoceratops brachyops, a new genus and species of Ceratopsia from the Edmonton Formation of Alberta". University of Toronto Studies, Geology Series 19:1-15
  2. ^ C.W. Gilmore, 1946, "Reptilian fauna of the North Horn Formation of central Utah", United States Department of the Interior Geological Survey Professional Paper 210-C: 29-53
  3. ^ D.A. Lawson, 1976, "Tyrannosaurus and Torosaurus, Maestrichtian dinosaurs from Trans-Pecos, Texas", Journal of Paleontology 50(1): 158-164
  4. ^ Hunt, R.K. and Lehman, T.M. (2008). "Attributes of the ceratopsian dinosaur Torosaurus, and new material from the Javelina Formation (Maastrichtian) of Texas". Journal of Paleontology 82(6): 1127-1138.
  5. ^ a b Tyson, H., 1981, "The structure and relationships of the horned dinosaur Arrhinoceratops Parks (Ornithischia: Ceratopsidae)", Canadian Journal of Earth Sciences 18: 1241-1247
  6. ^ Farke, A.A., 2007, "Cranial osteology and phylogenetic relationships of the chasmosaurine ceratopsid Torosaurus latus", pp 235-257 in: K. Carpenter (ed.), Horns and Beaks: Ceratopsian and Ornithopod Dinosaurs, Bloomington, Indiana University Press
  7. ^ a b c "Arrhinoceratops." In: Dodson, Peter & Britt, Brooks & Carpenter, Kenneth & Forster, Catherine A. & Gillette, David D. & Norell, Mark A. & Olshevsky, George & Parrish, J. Michael & Weishampel, David B. The Age of Dinosaurs. Publications International, LTD. p. 127. ISBN 0-7853-0443-6.
  8. ^ Paul, G.S., 2010, The Princeton Field Guide to Dinosaurs, Princeton University Press p. 267
  9. ^ R.S. Lull, 1933, "A revision of the Ceratopsia or horned dinosaurs", Memoirs of the Peabody Museum of Natural History 3(3): 1-175
  10. ^ Scott D. Sampson; Mark A. Loewen; Andrew A. Farke; Eric M. Roberts; Catherine A. Forster; Joshua A. Smith; Alan L. Titus (2010). Stepanova, Anna. ed. “New Horned Dinosaurs from Utah Provide Evidence for Intracontinental Dinosaur Endemism”. PLoS ONE 5 (9): e12292. doi:10.1371/journal.pone.0012292. PMC 2929175. PMID 20877459. http://www.plosone.org/article/info%3Adoi%2F10.1371%2Fjournal.pone.0012292. 

参考文献

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関連項目

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