やる夫

2ちゃんねるで創造されたアスキーアートキャラクターである。

やる夫やるお)は2ちゃんねるやインターネット上に広まった、アスキーアートのキャラクター[1]

この項目ではやる夫を始めとするアスキーアートを用い、インターネット掲示板上でストーリー仕立ての作品を展開する、いわゆるやる夫スレ[1]についても記述する。

アスキーアートキャラクターとしてのやる夫

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「やる夫」のアスキーアートが誕生したのは、2005年の12月1日に「⊂二二二( ^ω^)二⊃ブーンのガイドライン6」にて内藤ホライゾンの顔である「( ^ω^)」のアップを表したAAが始まりである[注釈 1]

その後2006年7月8日、2ちゃんねるニュース速報板に立てられた「だからニュー速でやるお!のガイドライン」の1レス目で、「本当はニュース速報VIPにスレッドを立てたいけど、そこでは相手をしてもらえないため、通常のニュース速報板でスレッド立てを行うキャラクター」として登場した[1]

その時点では名無しのキャラクターであり、ディックヘッドなどと呼ばれていたが、「そろそろこいつの名前決めようぜ」スレにてニュー速やるおと命名されて以降は多少の表記ゆれはあるもののその名前が使われ続けることとなった。[注釈 2]

以降、「ウザさ」をもったキャラクターとして使用され[1]、2ちゃんねるやまとめサイトを通じて知られるようになった[2]。NTTレゾナントの2009年「インターネット上で頻繁に見かけるが、意味がわからない用語に関するランキング」第4位[3]

ペニスのAAにやる夫の顔を付けたAAが横顔として扱われて誕生した[注釈 3]やらない夫やらないお)などの派生のキャラクターも生まれている。

AAによる表現

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   /  _ノ  ヽ、_  \ 
  / o゚((●)) ((●))゚o \  ほんとはVIPでやりたいんだお… 
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  /  o゚⌒   ⌒゚o  \  でもVIPPERはクオリティ高いスレしか相手してくれないお・・・ 
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  /::::::⌒(__人__)⌒::::: \   だからニュー速でやるお! 
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派生キャラクター

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ビッブ・デ・やらない夫

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 /   _ノ  \ 
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. |     (__人__)   Wikipediaって性文化の記事が充実しすぎだろ…
  |     ` ⌒´ノ    常識的に考えて…
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.  ヽ        } 
   ヽ     ノ        \ 
   /    く  \        \ 
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 /   _ノ  \ 
 |   ( ●)(●)  <おっと、それ以上は言うなよ… 
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.  |       /( ○)  (○)\ 
.  ヽ     /  ⌒(n_人__)⌒ \ 
   ヽ   |、    (  ヨ    | そりゃあ創設者からして元アダルトサイtむぐっ・・・ 
   /    `ー─-  厂   / 
   |   、 _   __,,/     \

パーソク・デ・できる夫

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    /   (⌒)  (⌒)  \ でもVIPPERは品質の高いスレッドしか相手にしてくれません
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オプーナ

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コーエーから発売されたWiiRPGソフト『オプーナ』の主人公、「オプーナ」をモチーフとしたキャラクター。

奇抜な主人公のデザインと、50万本という初出ソフトにしては大きすぎる目標数字を出されたり、発売日が『スーパーマリオギャラクシー』とバッティング(2007年9月27日の予定を11月1日に延期)したことも含めたネタ性(売れそうにもないこと)から、やる夫の派生AAとして発展した。ハード・業界板■ソフト売上を見守るスレッドvol.1761■でスレッド住人が作成したものが初出と思われる。

顔はやる夫のアレンジであるため、本家オプーナと区別して、やるオプーナと呼ばれることもある。

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    /   ⌒   ⌒   \      よくぞこの項目を開いてくれた 
    |    (__人__)     |      褒美としてオプーナを買う権利をやる 
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    /ヽ、--ー、__,-‐´ \─/ 
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 l     |    |ー─ |  ̄ l   `~ヽ_ノ____ 
    / ̄ ̄ ̄ ̄ヽ-'ヽ--'  / オプーナ  /| 
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/ ̄オプーナ/|  ̄|__」/_オプーナ  /| ̄|__,」___    /| 
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やる夫スレ

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1990年代末に掲示板が開設された頃から、簡易なアスキーアートを用いたコミュニケーションやコンテンツ制作が盛んであった[1]。2002年には2ちゃんねる上に「AA長編板」が誕生している[4]

最初期の「やる夫」を用いたストーリー仕立てのスレッドとしては、2007年7月の「刺身の上にタンポポをのせる仕事の採用試験に受かったお!!!!!」が存在する[1]。以降、「やる夫は○○をするようです」というタイトルで多数2ちゃんねるに投稿された。これらやる夫を用いたアスキー後のスレッドは「やる夫シリーズ」[5]や、「やる夫スレ」と呼ばれる[4]。「やる夫スレ」作品には既存のアニメ・漫画作品のアスキーアートも用いられており、作者と読者の距離感が近い、一種の二次創作的コミュニティとなっていった[4]。またアスキーアート表現の進化に伴い、様々な多様性を持った表現も可能になった[1]。作品の種類にはギャグやファンタジー、ラブコメなど、あらゆるジャンルがあり、深い物語性を持つものもある[1]

2008年頃には歴史や教養などを解説するスレッド「やる夫で学ぶ」シリーズが話題となった[6]。このようなやる夫を用いた解説形式の投稿は2008年にニュース速報(VIP)板に投稿された「やる夫で学ぶ音楽史」が端緒とされる[7][8]

またやる夫スレ出身の作家や、スレ作品が小説化・コミカライズ等のメディア展開されたこともある[1]

やる夫スレの展開

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  • 2008年(平成20年)7月4日放送のNHK番組「ザ☆ネットスター!」においてやる夫を用いたAA作品が取り上げられ、主として「やる夫で学ぶサブプライム問題」「やる夫が声優を目指すようです」が紹介された。やる夫、やらない夫ともに声優の若本規夫が朗読した。その後、公式ホームページにも掲載される[9]。しかし、著作物の引用に必要な表記がなかったとして2009年4月1日に削除された[10]
  • 『週刊アスキー』の2008年12月30日号において「2008年ネット事件簿25」という、2008年(平成20年)にネットで起きた様々な出来事についての特集が組まれたが、その中で「やる夫スレが空前のブームになった」と紹介された。また、『週刊アスキー』編集部のおすすめ作品として「やる夫がバトル・ロワイアルに参加させられるようです」「やる夫で学ぶサブプライム問題」「やる夫が徳川家康になるようです」の3つが紹介された。
  • 週刊誌『SPA!』の2009年6月9日号にて「ネット上に広がる素人エロ小説」という特集記事が組まれたが、その中で「やる夫が熱い! 感動エロ描写」という記事がつくられた。またその際、「やる夫がセクロスに挑戦するようです」と「やる夫がSM風俗に興味をもったようです」の2つのスレが取り上げられた。
  • 2009年8月25日のニコニコ生放送で、イラストレーターの天野喜孝がやる夫のイラストを描いた[11][12][13]。天野流のアレンジが施され、いかつい顔のタンクトップを着た毛深いクリーチャーになっている。
  • 2009年(平成21年)8月29日には、2ちゃんねる運営から出版権を取得したワニブックスよりやる夫を用いたAA作品をまとめた本が出版されている。第1巻は「お仕事・業界編」(作者不明)である[14]
  • 2016年にはやる夫スレ出身の作品として『ゴブリンスレイヤー』が出版され[15]、2018年にはアニメ化された。
  • 2019年には第26回(2019年度)「松本清張賞」をやる夫スレ出身の作家である坂上泉が受賞[1]
  • 2019年にはやる夫スレの人気作品から、作者の手によって再構成された四作品、『朝比奈若葉と○○な彼氏』・『君は死ねない灰かぶりの魔女』・『クレイジー・キッチン』・『アキトはカードを引くようです』が「掲示板発のコンテンツ」として、KADOKAWAのMF文庫JおよびカドカワBOOKSにてライトノベル・コミカライズされ、出版されている[16][4][1]

脚注

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注釈

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出典

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  1. ^ a b c d e f g h i j k 坂上秋成 (2019年10月9日). “『ゴブリンスレイヤー』に続くか。スレ発ラノベ4を生み出した“やる夫スレ”とは?”. 電撃オンライン. 2020年1月3日閲覧。
  2. ^ あの「提供メガネ」も! ワンフェス2012冬一般ブースで見つけた「ナニコレ珍フィギュア」まとめ (1/2)[池谷勇人,ITmedia 2012年02月13日 15時47分 公開
  3. ^ 実は意味がわからないネット用語、1位は「かゆ うま」 Internet watch (増田 覚) 2009/9/15 12:40
  4. ^ a b c d 「やる夫スレ」の傑作4編が書籍になるようです 今再び脚光浴びる「やる夫」、企画者に意図を聞いた”. ねとらぼ (2019年10月11日). 2020年1月3日閲覧。
  5. ^ 藤原実『知ってるだけで恥ずかしい 現代オタク用語の基礎知識』ISBN 9784887597136ディスカヴァー・トゥエンティワン、「やる夫シリーズ(やるおしりーず)」解説より 2018年5月6日閲覧
  6. ^ あんなところに萌えキャラ こんなところにひろゆき氏――「ねとらぼ」総決算 (1/2)”. ねとらぼ (2008年12月26日). 2020年1月3日閲覧。
  7. ^ 公文俊平『情報社会のいま あたらしい智民たちへ』ISBN 978-4-7571-0312-2 NTT出版 p.99 2011年5月16日初版第1刷
  8. ^ 佐藤 信正 音楽史からサブプライムまで――2ちゃんねる「やる夫」シリーズの超わかりやすい“講義”とは? 日経トレンディネット2008年03月10日
  9. ^ NHKの萌え過ぎサイトが『やりすぎw』と高評価 Archived 2010年9月27日, at the Wayback Machine.」 アメーバニュース、2009年4月1日。
  10. ^ 『2ちゃん』キャラ『やる夫』NHK一転番組HPから削除J-CAST、2009年4月2日。
  11. ^ 「やる夫ですから、噴火しているんです」 天野喜孝さん、ニコ生でやる夫描く”. ITmedia NEWS (2009年8月25日). 2018年1月26日閲覧。
  12. ^ ついに降臨、これが天野喜孝が描いた「やる夫」だ”. Gigazine (2009年8月26日). 2018年1月26日閲覧。
  13. ^ 究極の「才能の無駄遣い」! 天野喜孝が「やる夫」を描く(2ページ目)”. ASCII.jp (2009年8月26日). 2018年1月26日閲覧。
  14. ^ https://www.itmedia.co.jp/news/articles/0908/28/news090.html 『「ネットの中だけではもったいない」 「やる夫」本が伝える奥深さ』ITmedia NEWS 2009年08月28日 2018年1月24日閲覧
  15. ^ 「やる夫スレ」から大重版」2016年5月29日朝日新聞朝刊 p.16
  16. ^ 掲示板で人々を魅了した4つの傑作がこの秋、KADOKAWAのMF文庫J&カドカワBOOKSからライトノベルとして書籍化!!”. KADOKAWA. 2020年1月3日閲覧。