ふじ丸(ふじまる、英語表記:Fuji MaruMS Fuji Maru[3] ほか)は、かつて商船三井が所有し、日本チャータークルーズ株式会社(商船三井客船日本クルーズ客船の共同出資会社)が運航していたクルーズ客船

ふじ丸
横浜港大さん橋にて(2008年)
基本情報
船種 クルーズ客船
船籍 日本の旗 日本
所有者 大阪商船三井船舶[1]/商船三井客船[1]
運用者 商船三井客船[1](1989-2002)
日本チャータークルーズ(2002-2013)
建造所 三菱重工業神戸造船所[2]
母港 東京
姉妹船 にっぽん丸(準同型船)
船級 NK
信号符字 JBTQ
IMO番号 8700474
MMSI番号 431301000
経歴
起工 1987年4月14日[1]
進水 1988年9月10日[1]
竣工 1989年4月19日[1]
就航 1989年4月29日[2]
処女航海 1989年4月29日[2] - 1989年5月9日
引退 2013年7月
最後 2022年1月パキスタンで解体
要目
総トン数 23,340トン[2]
載貨重量 4,613トン[2]
全長 167.0m[2]
垂線間長 147.0m[2]
全幅 24.0m[2]
型深さ 13.5m[1]
喫水 6.55m[2]
デッキ数 8層
機関方式 ディーゼル
主機関 三菱8UEC52LA×2[1]
最大出力 10,700ps×2基[1]
定格出力 9,100ps×2基[1]
最大速力 22.4ノット[1]
航海速力 20.0ノット[2][1]
航続距離 8,000陸里[2]
旅客定員 164室・603名[2]
乗組員 135名[2]
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船首方向(神戸港、中突堤)
船首方向(神戸港中突堤
左舷(神戸港、中突堤)
左舷(神戸港、中突堤)
船尾方向(神戸港、神戸ポートターミナル)
船尾方向(神戸港、神戸ポートターミナル
ボーディングブリッジで旅客ターミナルと接続している(神戸港、中突堤)
ボーディングブリッジ旅客ターミナルと接続している(神戸港、中突堤)

概要

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商船三井客船が研修などの団体チャーターの増加に伴い従来の「にっぽん丸」「新さくら丸」2隻での対応が困難となった事を反映し[4]、海外クルーズ市場の拡大やサービス向上を目的として[5]、1986年12月に新造客船計画が公表され[6]、日本のクルーズ客船の嚆矢として1988年昭和63年)に三菱重工業神戸造船所で進水、翌1989年平成元年)の4月に就航した。進水式では石原慎太郎運輸大臣の夫人である石原典子が命名を行った[7]。就航時、日本籍で最大の客船であった[8]

船名は1988年2月まで公募を行い、21,093通の応募が寄せられ上位3案に「富士山丸」「ふじ丸」「新日本丸」が挙げられ、富士山や藤の花に通じ日本を代表する命名として「ふじ丸」となった[9]

日本の船らしく、展望大浴場が設置され、これはその後の日本籍クルーズ客船の標準となっている。当初は主にレジャークルーズに使われていたが、2002年(平成14年)に運航が日本チャータークルーズに引き継がれて以後は自治体・企業・団体向けのチャータークルーズが中心である。内閣府主催の「世界青年の船」「東南アジア青年の船」事業でも本船が使用された。

2012年10月、2013年6月の引退が発表され[10]、6月30日 - 7月1日のクルーズ(東京港 - 初島)を最後に引退した[11]。引退後、三井造船由良工場や常石造船で係留されており、12月10日にパナマのミラ・クルーズに売却され、ミラI(Mira I)に改名された。ミラ・クルーズは日本法人ミラ・クルーズ・ジャパンを設立して、高齢者向けの療養客船としての営業を予定していたが[12]、後にセウォル号沈没事故以降船舶の安全基準が高くなったことなどから事業化が困難になったとして断念[13]

その後は常石造船常石工場で係船が続き、2018年7月には平成30年7月西日本豪雨の被災者向けの臨時避難所としての活用が検討されたが[14][15]、実現には至らなかった。

2019年1月、5年間係留された広島県福山市の常石造船を離れて中華人民共和国へ回航され、2021年にスクラップとなった[16]。2022年1月、中国からパキスタンに回航、解体。

設計

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レジャークルーズの増加に合わせパブリックスペースを大幅に増加させ、研修・展示船としての使用も想定し一般クルーズで400名・団体クルーズで600名ほどの収容力とし、全長は多数の港への寄港を可能とし荒天時の乗り心地を考慮した全長165m・喫水6.55m、速力は航海速力20ノットで12-13ノットの低速運航も考慮された[17]

外観は側面に富士山をモチーフとした大型煙突とストラットを設け流麗で斬新な形とした[17]。最終改装は2005年(平成17年)2月である。

設備

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8階
  • スカイラウンジ「アクアマリン」(45席/110m2
  • プール
  • プールサイドベランダ (360m2)
7階
  • サンデッキ (750m2)
6階
  • スポーツデッキ (590m2)
5階
  • 大浴場
  • サウナ
  • ランドリー
  • ドライルーム
  • 自動販売機コーナー
4階
  • プロムナードデッキ(1周300m)
  • ランドリー
  • ドライルーム
3階
  • パシフィックホール(2層吹き抜け)
  • サロン「桜」(140席/380m2
  • メインバー「琥珀」(30席/55m2
  • ラウンジ「エメラルド」(250席/380m2
  • ショップ
  • フォトコーナー
  • ベランダ (48席/122m2
  • ライブラリー (10席/40m2
  • 談話室 (20席/35m2
  • カードルーム (28席/45m2
  • 和室「平成」 (20畳)
2階
  • メインホール「パシフィックホール」(600席/560m2、2層吹き抜け)
  • メインエントランス
  • インフォメーション
  • ダイニングルーム「ふじ」(310席/550m2
1階
  • シアター(142席/120m2
  • 診療所
  • 美容室
B1階
  • シアター
  • フィットネスセンター

客室

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  • スイートルーム(リビング、バスタブ付、2室、35m2、6階)
  • デラックスルーム(バスタブ付、8室、25m2、6階)
  • スーペリアルーム(シャワー付、32室、20m2、5・6階)
  • ステートルーム(シャワー付/121室、17m2、4・5階)

特別の運航

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関連する創作作品

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脚注・出典

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  1. ^ a b c d e f g h i j k l 新造船写真集 クルーズ客船 ふじ丸 FUJI MARU 大阪商船三井船舶株式会社・商船三井客船株式会社 - 船の科学1990年12月号
  2. ^ a b c d e f g h i j k l m 小林幹弘「日本型近代クルーズ客船「ふじ丸」の特徴」『日本舶用機関学会誌』第25巻第4号、日本船舶海洋工学会、1990年4月、249-258頁、doi:10.5988/jime1966.25.2492018年5月16日閲覧 
  3. ^ Asseay Thail@nd Official website 2011”. Asseay Thail@nd. 2011年6月23日時点のオリジナルよりアーカイブ。2011年6月25日閲覧。
  4. ^ 広田新介「大型客船ブームにわく海運業界」 - 政治と経済1987年11月号(政治と経済社)52-53頁
  5. ^ 1989年(昭和64年)に就航を予定する大型外航クルーズ客船イラストレーション - 船の科学1987年2月号(船舶技術協会)15頁
  6. ^ 小林幹弘「最近のクルーズ船事情」 - 関西交通経済研究センターNo.57(関西交通経済研究センター 1988年9月)49頁
  7. ^ 客船の命名式と命名者 - ゆたか倶楽部(旅専)
  8. ^ のみならず、日本船籍の客船としては、日本郵船の鎌倉丸(1930年竣工、17,526総トン、1943年喪失)が保持していた総トン数記録を59年ぶりに更新するものであった。
  9. ^ 船名ふじ丸に決る 商船三井のクルーズ客船 - 海運1988年4月号(日本海運集会所)68頁
  10. ^ クルーズ船の先駆け「ふじ丸」 来夏運航休止へ”. 神戸新聞NEWS. 神戸: 神戸新聞社 (2012年10月12日). 2012年10月26日閲覧。
  11. ^ 平成25年度 第8回都民クルーズの参加者募集 - 東京都港湾局
  12. ^ 「内外商船ニュース NCCの「ふじ丸」売船」『世界の艦船』第793集(2014年3月号) 海人社
  13. ^ 「内外商船ニュース 「ミラI」は療養客船を断念」『世界の艦船』第805集(2014年10月特大号) 海人社
  14. ^ 800人収容可能「MIRA1」2018年7月22日
  15. ^ 大型客船を臨時避難所に、岡山 豪雨被災地で政府検討2018年7月21日東京新聞
  16. ^ 旧「ふじ丸」スクラップ売船 海外サイトに船名掲載 - みなと総合研究財団
  17. ^ a b 三菱重工業株式会社神戸造船所造船設計部「近代クルーズ客船"ふじ丸"の概要」 - 船の科学1989年7月号
  18. ^ a b c クルーズとシネマVol.7 番外編「ふじ丸特集」 - ゆたか倶楽部
  19. ^ 藤原竜也、「松山ケンイチより僕はヘタレ」と発言!?自虐トークに会場大盛り上がり! - シネマトゥデイ 2009年10月5日

関連項目

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外部リンク

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