「一家に1枚」シリーズ
「一家に1枚」シリーズ(いっかにいちまいシリーズ)は、日本の文部科学省が毎年4月の科学技術週間に合わせて製作・配布している図表(ポスター)。科学知識を親しみやすく示したもので、2005年に第1弾として「一家に1枚 周期表」が発表されて以後、さまざまなテーマで製作されている。
概要
編集「一家に1枚」シリーズの基本コンセプトとしては、以下が掲げられている[1]。
- 大人から子供まで部分的にでも興味を持たせるもの
- 見た目がきれいで、部屋に貼っておきたくなるもの
- 基礎的・普遍的な科学知識を中心とするもの
- 身近な物や事象との関連付けをして、親しみをもてるもの
「一家に1枚」シリーズのポスターは、文部科学省の科学技術理解増進施策の一環として製作・配布されているものである。ポスターの企画は、2009年度以後大学や独立行政法人などの研究機関、学術団体などから募集しており、応募された企画を企画選考委員会が審議した上で選定している[2]。
ポスターは日本全国の小学校・中学校・高等学校に配布されているほか、科学技術週間に合わせて協力科学館・博物館、科学技術週間関連イベントを通じて配布されている。これらポスターは一過性のものではなく、新たな知見を加えて随時改訂が加えられており、たとえば第一弾の「一家に1枚 周期表」は2013年3月に第7版が発表されている[3]。「科学技術週間」公式サイトや、版権を管理している科学技術広報財団のサイトでPDFファイルとして最新版のポスターが配布されている。
沿革
編集2003年、日本学術会議の公開シンポジウムにおいて、科学的な正確性を持ちつつ親しみやすい、日常の中で触れられる周期表の制作が提案された[4][5]。玉尾皓平らを中心として制作された「一家に1枚 周期表」は2005年に完成して配布され、科学雑誌『ニュートン』に特集が組まれるなどの反響を呼んだ[4]。
シリーズ第2弾となる「一家に1枚 ヒトゲノムマップ」は、2005年9月に文部科学省から科学研究費「特定領域研究ゲノム4領域」(総代表・高木利久)に製作が打診され、検討の結果、加藤和人が担当する京都大学生命科学研究科・生命文化学研究室によって製作されたものである[6]。
企画公募形式は第5弾(2009年配布分)よりはじまり、最初の回では国立天文台企画による「天体望遠鏡400年」が選考された[2]。
シリーズ
編集- 2005年 - 「一家に1枚 周期表」
- 2006年 - 「一家に1枚 ヒトゲノムマップ」
- 2007年 - 「一家に1枚 宇宙図 2007」
- 2008年 - 「一家に1枚 光マップ」
- 2009年 - 「一家に1枚 天体望遠鏡400年」
- 2010年 - 「一家に1枚 未来をつくるプラズマ」
- 2011年 - 「一家に1枚 磁場と超伝導」
- 2012年 - 「一家に1枚 太陽」
- 2013年 - 「一家に1枚 鉱物-地球と宇宙の宝物-」
- 2014年 - 「一家に1枚 動く!タンパク質」
- 2015年 - 「一家に1枚 くすりの形」
- 2016年 - 「一家に1枚 水素」
- 企画・制作は大友季哉ら(高エネルギー加速器研究機構物質構造科学研究所)。キャベンディッシュの水素発見より250年[16]。
- 2017年 - 「一家に1枚 生きもののすべては細胞から」
- 企画は京都大学iPS細胞研究所。制作・監修は中山彩香、遠山真理、野口悦、川上雅弘[17]。
- 2018年 - 「一家に1枚 量子ビームの図鑑」
- 企画・製作・監修 安居院あかね、鈴木國弘、足立恵美子 (量子科学技術研究開発機構)。(2019年 繁体中国語版 ) プランクのノーベル物理学賞受賞から100年[18]。
- 2019年 - 「一家に1枚 日本列島7億年」
- 2020年 - 「一家に1枚 南極 ‐地球の未来を映す窓‐」
- 2021年 - 「一家に1枚 海 ~その多様な世界~」
- 2022年 - 「一家に1枚 ガラス ~人類と歩んできた万能材料~」
- 企画・監修は日本セラミックス協会国際ガラス年日本実行委員会[22]。
- 2023年 - 「一家に1枚 ウイルス ~小さくて大きな存在~」
脚注
編集- ^ “『一家に1枚』シリーズについて”. 文部科学省. 2012年7月28日閲覧。
- ^ a b c “「一家に1枚天体望遠鏡400年」の製作について”. 文部科学省 (2009年3月17日). 2012年7月28日閲覧。
- ^ “「一家に1枚 周期表」第7版について”. 文部科学省. 2014年12月2日閲覧。
- ^ a b “第43回サイエンスカフェ 玉尾皓平「一家に1枚周期表に見るわが国の科学技術の強さ」”. 冨山房 (2010年8月20日). 2013年1月6日閲覧。
- ^ 玉尾皓平. “「一家に1枚周期表」とともに理化学研究所へ”. 理研ニュース No.313. 理化学研究所. 2013年1月6日閲覧。
- ^ a b “ニュースリリース 一家に1枚ヒトゲノムマップ”. 京都大学. 2013年1月6日閲覧。
- ^ a b “一家に1枚シリーズポスター”. 理化学研究所. 2013年1月6日閲覧。
- ^ “「一家に1枚光マップ」の製作について”. 文部科学省 (2008年4月3日). 2013年1月6日閲覧。
- ^ “中日新聞に「一家に一枚 光マップ」(文部科学省 製作・著作)が掲載されました”. 大阪大学フォトニクス先端研究融合拠点 (2008年5月14日). 2013年1月6日閲覧。
- ^ “「一家に1枚 未来をつくるプラズマ」の製作について”. 文部科学省 (2010年3月30日). 2013年1月6日閲覧。
- ^ “「一家に1枚 磁場と超伝導」について”. 文部科学省. 2014年12月2日閲覧。
- ^ “「一家に1枚 太陽」の製作について”. 文部科学省. 2014年12月2日閲覧。
- ^ “「一家に1枚 鉱物-地球と宇宙の宝物-」の製作について”. 文部科学省 (2013年3月29日). 2014年12月2日閲覧。
- ^ “「一家に1枚 動く!タンパク質」の製作について”. 文部科学省 (2014年3月31日). 2014年12月2日閲覧。
- ^ “「一家に1枚 くすりの形」の製作について”. 文部科学省 (2015年3月27日). 2015年12月5日閲覧。
- ^ “「一家に1枚 水素」の刊行について”. 文部科学省 (2015年3月11日). 2016年5月9日閲覧。
- ^ “「一家に1枚 生きもののすべては細胞から」の刊行について”. 文部科学省 (2017年3月10日). 2018年5月10日閲覧。
- ^ “「一家に1枚 量子ビームの図鑑」の刊行について”. 文部科学省 (2018年4月10日). 2018年5月10日閲覧。
- ^ “「一家に1枚 日本列島7億年」ポスターの刊行について”. 文部科学省 (2019年11月13日). 2020年7月21日閲覧。
- ^ “「一家に1枚 南極 ‐地球の未来を映す窓‐」ポスターのウェブサイトへの掲載について”. 文部科学省 (2020年3月17日). 2020年7月21日閲覧。
- ^ “「一家に1枚 海 ~その多様な世界~」及び科学技術週間周知ポスターのウェブサイトへの掲載について”. 文部科学省 (2021年3月23日). 2022年3月24日閲覧。
- ^ “「一家に1枚 ガラス ~人類と歩んできた万能材料~」及び科学技術週間告知ポスターの公表について”. 文部科学省 (2022年3月24日). 2022年3月24日閲覧。
- ^ “令和5年度科学技術週間における学習資料「一家に1枚ウイルス~小さくて大きな存在~」及び科学技術週間告知ポスターの公表について:文部科学省”. 文部科学省ホームページ. 2023年11月28日閲覧。
外部リンク
編集- 科学技術週間ホームページ
- 科学技術理解増進の取組 - 文部科学省