海洋研究開発機構
国立研究開発法人海洋研究開発機構(かいようけんきゅうかいはつきこう、英: Japan Agency for Marine-Earth Science and Technology)は、文部科学省所管の国立研究開発法人である。略称はJAMSTEC(ジャムステック)、海洋機構。既存の調査船や潜水船などに加え、2004年の独立行政法人化の際に東京大学海洋研究所から移管された調査船を用いて、海洋、大陸棚、深海などを観測研究する。スーパーコンピュータで地球シミュレータなどの大型計算機を用いて、気候変動や地震などに関するシミュレーション研究をする。
国立研究開発法人海洋研究開発機構 | |
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海洋研究開発機構 (JAMSTEC) 本部(2012年) | |
正式名称 | 国立研究開発法人海洋研究開発機構 |
英語名称 | Japan Agency for Marine-Earth Science and Technology |
略称 | 海洋機構、JAMSTEC(ジャムステック) |
組織形態 | 国立研究開発法人 |
所在地 |
日本 〒237-0061 神奈川県横須賀市夏島町2-15 北緯35度19分12.8秒 東経139度38分57.5秒 / 北緯35.320222度 東経139.649306度 |
法人番号 | 7021005008268 |
予算 | 419億円(2023年度)[1] |
人数 | 906人(2023年度)[1] |
理事長 | 大和裕幸 |
設立年月日 | 2004年4月1日 |
前身 | 海洋科学技術センター |
所管 | 文部科学省 |
拠点 | #組織の節を参照 |
保有施設 | 地球シミュレータ |
保有潜水調査船 | しんかい6500、かいこう、うらしま、ハイパードルフィン |
保有船舶 | ちきゅう、みらい、かいよう、なつしま、よこすか、かいれい、白鳳丸 |
ウェブサイト |
www |
1971年10月1日、認可法人として海洋科学技術センター(JAMSTEC:Japan Marine Science and Technology Center)設立。2004年4月1日、海洋科学技術センターは解散、同時に独立行政法人海洋研究開発機構が発足。2015年4月、「独立行政法人海洋研究開発機構」から「国立研究開発法人海洋研究開発機構」に名称変更した。
概要
編集海洋研究開発および関連する地球物理学研究開発のために設置された研究所である。日本最初の深海潜水艇の開発をはじめとして、国際地球観測プロジェクト推進のための研究船などを開発し運用する。また、長時間有人探査の難しい海溝探査を目的とした、無人探査機等を開発し運用する。スーパーコンピュータで、一時期世界一となった地球シミュレータを運用するほか、大陸棚に存在するメタンハイドレート・海底熱水鉱床・石油・天然ガスなどの資源を調査研究する。
東宝制作の映画『日本沈没(2006年版)』では、本研究開発機構の機材をそのまま使用した[2]。また、NHKとBBCが制作した『プラネットアース』でも、番組ナビゲータの緒形拳が深海からレポートを行う際などに、本機構の深海探査艇を使用した[3]。
組織
編集2020年1月現在。
研究部門
編集- 地球環境部門
- 海洋観測研究センター
- 北極環境変動総合研究センター
- 地球表層システム研究センター
- 環境変動予測研究センター
- 海洋生物環境影響研究センター
- 大気海洋相互作用研究プログラム
- むつ研究所
- 海洋機能利用部門
- 生物地球化学プログラム
- 生命理工学センター
- 海底資源センター
- 海域地震火山部門
- 地震発生帯研究センター
- 地震津波予測研究開発センター
- 火山・地球内部研究センター
- 付加価値情報創生部門
- 数理科学・先端技術研究開発センター
- アプリケーションラボ
- 情報エンジニアリングプログラム
- 地球情報基盤センター
- 国際海洋環境情報センター
- 超先鋭研究開発部門
- 超先鋭研究プログラム
- 超先鋭技術開発プログラム
- 高知コア研究所
運営部門
編集- 研究プラットフォーム運用開発部門
- 企画調整部
- 技術開発部
- 運用部
- 環境保安グループ
- 船員チーム
- マントル掘削プロモーション室
- 研究推進部
- 研究推進第1課
- 研究推進第2課
- 経営企画部
- 企画課
- 経営戦略課
- 海洋科学技術戦略部
- 対外戦略課
- 国際協力課
- 広報課
- 研究資源マネジメント課
- 総務部
- 総務課
- 施設課
- 横浜管理課
- 法務・コンプライアンス課
- 人事部
- 人事企画・ダイバーシティ推進課
- 人事任用課
- 職員課
- 経理部
- 経理課
- 財務課
- 契約調整課
- 調達課
- 外部資金課
- 安全衛生監理室
- 監査室
事業所
編集- 横須賀本部(神奈川県横須賀市夏島)
- 横浜研究所(神奈川県横浜市金沢区昭和町)
- むつ研究所(青森県むつ市関根、関根浜港)
- 高知コア研究所(高知県南国市物部、高知大学物部キャンパス内)
- 国際海洋環境情報センター (GODAC)
- 東京事務所(千代田区内幸町 富国生命ビル)
理事長
編集職員数・予算
編集常勤の職員数は2022年現在、909人で、研究職、技術職、船員、事務職、支援職等の職種がある。
予算額は、2022年度には約400億円[4]。
運用船など
編集船舶の運航・管理業務委託先は以下のとおりである。
研究船・探査機
編集- 船舶
- 深海潜水調査船支援母船「よこすか」
- 海洋地球研究船「みらい」
- 海底広域研究船「かいめい」
- 東北海洋生態系調査研究船「新青丸」
- 学術研究船「白鳳丸」
- 有人潜水調査船「しんかい6500」
- 地球深部探査船「ちきゅう」
- 無人探査機
- 過去に活躍した船舶
共同研究
編集- 地球フロンティア研究システム - 1997年10月に宇宙開発事業団(NASDA)、国立環境研究所地球環境研究センター(CGER)との共同研究として発足。スーパーコンピュータの地球シミュレータが海洋開発研究機構に設置されたことを発端とする[5]。
関連項目
編集- 地球シミュレータ
- ハビタット
- 海洋調査技術学会
- H-IIロケット8号機 - 打ち上げ失敗し太平洋に水没後、JAMSTECがエンジンを捜索・発見[7]
- 江戸っ子1号 - 開発・運用を支援
- Team KUROSHIO - XPRIZE財団が主催する国際コンペティション「Shell Ocean Discovery XPRIZE(シェル・オーシャン・ディスカバリー・エックスプライズ)」に挑戦するために結成された、日本を拠点とする共同研究チーム
- 特殊急襲部隊 - 大型高圧環境模擬試験装置などを使用した高水圧環境下での潜水訓練を委託している[8]
脚注
編集- 注釈
- 出典
- ^ a b “予算と職員数の推移”. 海洋研究開発機構. 2024年1月7日閲覧。
- ^ “映画「日本沈没」撮影協力”. 海洋研究開発機構 (2006年7月14日). 2012年2月10日閲覧。
- ^ “NHKスペシャル|プラネットアース第11集 「青い砂漠 外洋と深海」”. 日本放送協会 (2007年2月11日). 2012年2月10日閲覧。
- ^ 「海洋研究開発機構の予算と職員数の推移」。海洋研究開発機構。
- ^ a b 住明正「地球環境研究センター設立25周年によせて」。CGER、2015年
- ^ 宇宙開発事業団(NASDA)『地球フロンティア研究システム・地球観測フロンティア研究システム 平成12年度研究成果発表会 -21世紀の地球環境と予測-』。2001年、JAXA。
- ^ “H-2ロケット8号機のエンジンの捜索と回収”. 宇宙航空研究開発機構 (2009年). 2012年2月10日閲覧。
- ^ “平成17年度 所管公益法人等との間で締結された随意契約の緊急点検結果等について”. 警察庁 (2005年). 2012年2月10日閲覧。
外部リンク
編集- 国立研究開発法人 海洋研究開発機構
- 海洋研究開発機構 (@JAMSTEC_PR) - X(旧Twitter)
- 海洋研究開発機構 (jamstec.jp) - Facebook
- 海洋研究開発機構 (@jamstec) - Instagram
- 海洋研究開発機構 - YouTubeチャンネル
- 日本海洋事業株式会社 - かいよう、かいれい、なつしま、よこすか、みらい、しんかい6500、ハイパードルフィン運航会社
- グローバルオーシャンディベロップメント - ちきゅう運航会社
- 日本マントル・クエスト - ちきゅう運用・掘削会社
- マリン・ワーク・ジャパン - 観測支援業務会社