Wikipedia:誤った導入部を修正する

誤った導入部を修正するために、百科事典を作っているという共通した目的と実際の百科事典、ウィキペディアは紙製の百科事典ではありませんにおけるデジタル百科事典であるということについて説明します。なるべく検証可能な根拠に基づいていきましょう。

百科事典のようになっていない典型的な導入部とは、1文しかなく分かりやすくは、句点(。)がひとつだけの導入部のことで、すぐに目次と見出しが続いています。日本における百科事典には、ブリタニカ百科事典日本大百科全書世界大百科事典などがありますが、最初の段落が辞書の定義未満の説明である項目は見当たりません。少なくともそうした項目は少数でしょう。番号をふってその項目名が持つ別々の意味を説明することは、百科事典ではなく辞書の慣行です。

ウィキペディアはデジタルにおけるデザインの原則に則っていますが、文書の冒頭での重要なキーワードに絞ったリンクの構造は、他の項目へのナビゲーション、強調効果において有用であり、記事の要約があることで利便性が高まります。ウィキペディア英語版との統一性を確保することもできます。

日本語版の概要節という考え方は、2008年まで導入部は3段落以内とされていたため生まれたようですが、導入部は記事の長さに応じるよう改定されました。利用者の閲覧環境においても、その後もモニターのサイズは大型化し続けており、多数派の利用者を標準とすることがデザインの原則となります。21世紀初頭よりは多くの文字を表示することができます。また、何らかの百科事典に概要という分割スタイルは存在していません。概要節に別名が入っているなど、誤って作られ単純に見出しを取り除くだけで修正できる例もあれば、概要つまり要旨であるという意味に関係なく雑多な内容が含まれているために、修正に手間がかかる例もあります。

導入部においても中立的な観点は重要であり、定説に比重を置いて導入部で説明し、些末な事柄は記事本文だけで説明します。その際、主流・亜流、多数派・少数派などは、主題によって定説が確固としているか否かといった状態が相対的であるため、個別に比較し勘案する必要があります。

誤った導入部とは

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百科事典のようになっていない典型的な導入部とはなんでしょう。導入部に1文しかなく、非常に曖昧で端的な定義しかない場合です。分かりやすくは、句点(。)がひとつだけの導入部のことです。すぐに目次と見出しが続いています。その編集者は、百科事典以外の何かを作ろうとしており、百科事典を作るという共通の目的に従っていないと考えられます。簡潔に「まとめる」ということが、超簡潔に1文にするものと勘違いされているのでしょう。もう少し長々と要点を記す必要があります。

このような端的すぎる導入部は、少なくとも発展途上の導入部です。よくある過ちとして、よくできた導入部をこのような端的な導入部へと退化させることもあるでしょう。百科事典の記事の完成からは遠ざかってしまいます。

百科事典の記事とは

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英語のブリタニカ百科事典ですが、赤枠は MEEANNEE という土地についてで、このような短さはウィキペディアでは歓迎されていません。参考となるのは、その下の人物についてです。最初の段落で端的に長く説明されます。

日本における百科事典には、ブリタニカ百科事典日本大百科全書世界大百科事典などがあります。編集者の中にはそうした百科事典をひとつも参考にせずに編集していることもあるでしょう。少なくとも百科事典を作っているのですから、それではいけません。何種類かの百科事典のスタイルを参考にするとよいでしょう。英語のブリタニカ百科辞典のスタイルが一番近いようです。信頼性の高い百科事典を作るという目的にとって、英語のブリタニカ百科事典は、やはり目標となりやすいのではないかと思います。

また百科事典の書き方に関する日本の文献を探してみましたが、見つけることはできませんでした。参考にできる指針のような文献はありません。代わりに、文章の書き方に関する書籍は、数多く出版されています。

百科事典を書くためには、レポートや論文の書き方といったものが適しているでしょう。しかし、論文を書いているのではありませんから、最終的には百科事典を参考にする必要があります。百科事典には結論部はないので、記事の文章は、導入部と記事本文に大きく分かれるでしょう。知識を収集するだけであり、独自研究も載せません

また、百科事典に目を通して分かることは、ひとつの段落しかない短い項目でも、辞書以上の情報が書かれて完結しています。これが百科事典です。百科事典では段落というほどの量がなければ、見出しは必要がないのです。百科事典の導入部は、少なくとも長く説明されている辞書の項目程度の長さになるでしょう。

辞書みたいな導入部

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項目を説明するために、番号をふってその項目名が持つ別々の意味を説明することは、典型的な百科事典の記事ではありません。もしその記事があまり発展していない場合には、辞書のように番号をふって複数の意味が説明されていることもあるかもしれません。これは途上の記事と考えられます。

辞書の場合、姉妹プロジェクトにウィクショナリーがありますが、複数の意味があれば番号を振り、番号ごとに別々の意味が書かれます。

百科事典は、そうではなく様々な呼称は、定評のある呼称にリダイレクトされ、その本記事に一つの意味について書いていきます。他の意味については、他の記事にて説明されているという紹介を行います。これについては何らかの百科事典に目を通すとよいでしょう。

Wikipedia:信頼できる情報源#情報源では、辞書は信頼できる情報源として重視されていないことも確認しておいてください。凡用の辞書を参考にするよりは、少なくとも専門的な大辞典や、あるいは百科事典を参考にする方が良いでしょう。辞書を作っているのではありませんし、専門家が書いたことが確認できるようならば、より正確であることが期待できます。

デジタルであるということ

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ウィキペディアはデジタル百科事典であり、Mediawikiというシステムで稼働しています。辞書プロジェクトのウィクショナリーといった他のプロジェクトも同様にデジタルかつ同じシステムで稼働しています。

重要なことにプロジェクトが異なっても同様の操作や表示が行えるように、共通化が行われているということです[1]。検索や他の項目へのリンク、文字間隔、文字色、表示、タグなどもそうです。そうした部分は統一されているため、シームレスに他のプロジェクトを利用したり編集でき、そのために再学習する手間が省けるということです。

デジタルに見える部分、ユーザーインターフェースが原則に則ってデザインされているということです。そうしたユーザビリティ(使いやすさ)は、ヤコブ・ニールセンによるデザインの原則といったものが参照されています。コンピュータのデザインの質を向上するための原則の中でも、ニールセンによるものはとくに有名とされています[2]ウィキペディア・ユーザービリティ・イニシアティブにより、2010年に検索窓が再デザインされた際に、ヤコブ・ニールセンの推奨する検索窓の幅に近づいたと報告されることは[3]何らおかしなことではないです。

通称リンクと呼ばれているデジタル上のハイパーリンクについて、スタンフォード大学教授やウィキメディア財団のレイラ・ジアは共同で、2015年12月に論文「サーバー・ログを用いたウェブサイトのハイパーリンク構造の改善」にて言及しています。ページの上部のクリック率は真ん中よりも1.6倍、下部よりも3.7倍で高いことや、無差別にリンクを追加してもまれにしかクリックされないことや、有用性のあるリンクを発見するために、利用者があるページからどのページに移動したかを計測することを提案しています。つまり、そのページから移動する可能性が高い記事へと記事の最初の方でリンクされていることで、有用なナビゲートを行うでしょう。

一方で、青い字に下線など、ハイパーリンクを連想する文字装飾について言えば、強調効果が高く、読み手に強調されているキーワードとして認識されるため、重要なキーワードに絞った節度あるリンクが重要となってきます[4]

ウェブの読者は、冒頭のなんだかんだと意味のない前置きはさっさと読み飛ばしますが、代わりにそのぺージの内容について要点的に説明していれば目を通す可能性があります[5]。節の名前があるだけでは不十分であり、その要約が必要となります[6]

つまり、デジタルである場合には、紙の百科事典以上に導入部の機能は重要となるでしょう。導入部にて別名や要約があることでその記事を全て読もうとする前に何が書いてあるのかについて見当がつきますし、その記事に関連する読みたかった項目へのナビゲーションもスムーズとなります。デジタルな情報デザインに従っていくことができます。

ウィキペディア英語版

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ウィキペディア英語版との統一性を確保することができます。導入部だけが翻訳されることもあります。この場合、それ以上に見出しによって分割しないことで百科事典の記事として成立しています。後に英語版から追加で翻訳する時など簡単です。英語版からの翻訳は多いですから。

HTML仕様

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HTMLの仕様では、見出し(heading)はその節の説明とされ、重要度の高い H1 から低い H6 までのタグに囲まれています[7]

編集者が最初に見出しを作ることで作成される H2 にてその記事の内容のひとつを節分けして説明する前に、最も重要な H1 タグで囲まれた記事名に続いてその記事についてもう少し言及することは HTML の文書構造にかなっているでしょう。

情報源の諸相

20世紀まで情報源にはアナログに分類される紙などの媒体が支配的であったが、20世紀に入るとスクリーンに情報を映し出すことができる機械が発達し、21世紀末には人々の生活に欠かせないものとなっていった。

アナログの情報源

アナログの情報源には、口づて、紙は頻繁に用いられるものである。その特徴を記していく。

口づて

口づてには、記憶が曖昧であるという問題が付きまとい…

紙媒体の情報源は、人間は一度に大量の事は記憶できないという問題を解消しており…

文章の書き方における見出しのつけ方のような、基本的なことと変わりありません。

日本語版の概要節という考え方

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携帯電話からの閲覧というと、非常に小さな画面で十字キーで操作した時代もありました。2009年の機種 W995 でしょうか。画面は2.6インチです。
 
2010年代にはスマートフォンの普及に弾みが付き、より大きな画面から直接的に操作することでスクロールや拡大縮小もできます。この2010年のiPhone 4 の画面は3.5インチです。2017年には4.7インチの使用層が大多数になっています。

ウィキペディア日本語版の記事作成のガイドラインにおいては、概要節は、導入部が足りない場合に使うとされてきています。これは途上の考えではないでしょうか。一般的な原則とするには、他の信頼できる百科事典に見られない独自のスタイルであり、一様にすべてに適用することはできません。

日本語版のWikipedia:スタイルマニュアル (導入部)の歴史を見ていきましょう。2008年以前は導入部は3段落以内とされ、ウィキペディアが発展し記事が大きくなるにつれ概要節を作る慣行が生じました。多くの記事の長大化につれて、2008年には導入部は記事の長さに応じるように改定されましたが、その際に、逆に導入部を短くすると携帯電話で閲覧しやすいといった意見も寄せられていました。このことについても考えましょう。

モニタの大型化

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携帯電話での閲覧については、それ以降の特に2010年代に入り、スマートフォンが普及することで環境が変化しました。ウィキペディアで使われているシステムの MediaWiki の仕様において、今ではスマートフォンで用いられている iOS や Android に対応するということが明言されている以上、古い携帯電話で表示することを標準とする必要はありません[8]。標準とすべきは、少なくともスマートフォンやパソコンであり、そのモニタのサイズも年々大きくなっています。

パソコンのモニタについてもより大型で、解像度が高いモニタが普及しています。例えば、2006年には 1024 × 768 のサイズに最適化し、800 × 600 でも表示できるようにすることがデザインの原則とされました[9]。2012年にはその 1024 × 768 のサイズさえも少数派になったことが伝えられています[10]。より大型化する利用者の画面に合わせていくというのがデザインの原則ですから、こうした言及がなされるわけです。

21世紀初頭のように考える必要はありません。より多くの文字を表示することができます。

百科事典の概要節?

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実際の百科事典には、そんなに【概要】が存在するのでしょうか。もちろん最初の見出しは【概要】ではありません。あっても少数でしょう。段落がひとつしかない短い項目でも、辞書以上の情報が書かれて完結しています。長い項目でも、はじめの段落に辞書以上の説明が書かれていることが多いでしょう。

インターネットの英語のブリタニカ百科事典はどうでしょうか。フランス革命を見てみました[11]。フランス革命は、1789年の革命とも呼ばれると別名に触れ、いつ、どこで、起こり、主な別のフランス革命との違いを説明し、代表的な絵画が挿入されています。そして、最初の見出しは「革命の起源」でした。

ジョン・レノンを見てみました[12]。通称の後に長い正確な姓名が記され、括弧内に生年月日とその土地が書かれています。どういった音楽グループのどういう位置づけにあった人物で、職業的な説明の羅列によって実績が説明され、代表的な画像が一枚挿入されます。次の段落からは、生い立ちの説明に入っていますから本文でしょう。1万バイト強でしょうか、文末までに見出しは全くありませんでした。そうでした、この程度の短さであれば、ただ段落によって分けられており見出しも全くありません。

日本大百科全書にて、数万字から成り立つ、仏教の項目を見てみました[13]。別名とその起源について触れ、創始者にちなんで核となる現地語に触れています。次の段落で、簡単な起源、初期の団体構成、その発展と分裂からの大きな主な部派の端的な説明に続きます。次の段落では、特徴9点が説明されます。続く最初の見出しは「インド仏教」でした。

概要節を修正する

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このように過ぎ去りし時代には概要節の需要があったのかもしれませんが、制約も年々取り払われていますし、百科事典の標準的な慣行ではありません。新たな時代に適した修正を行います。

記事に概要節を見つけた場合、履歴から各年の記事を適当に開き確認していくと、適切な導入部に単に「概要」という見出しだけが挿入され分断されていることがあります。こうして端的すぎる導入部が誤って作られます。それだけのことであれば、修復するには「概要」という見出しを取り除くだけです。

このような例では、分かりやすいサインがあります。例えば、本来記事の最初の方で判別されるべきである別名のような重要な情報が、概要節の中で強調(太字)となっているといった特徴があります。記事の最初に別名が紹介されていなければ、目的とする記事を読んでいるかの判別に余計な手間を生じさせます。

簡単に修正できない場合もあります。こういう場合には、概要節が作られた後に編集があるとか、概要節が記事の縮図となっていません。概要、言いかえれば要旨であるという意味に関係なく、雑多な内容が含まれていることもあります。困ったことに、概要節に概要が書かれていないこともよくあるのです。

修正するには、各見出しにまとめられそうな情報は記事の中に移動し、出典に確認できないような瑣末な情報は削除したりノートページに移し、記事の縮図となる情報を残します。さらに余力があれば、導入部に大きな見出しの単位での、内容の簡単な要約を追加していきます。未完成の導入部となるかもしれませんが、要約欄で修正を試みたことを記して置くといいでしょう。初めから完璧な記事となることはありませんから、導入部も同様です。

中立的な観点の反映

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ウィキペディアの核となる方針に中立的な観点があります。これは定説を定説のように重点的に説明して、少数派の見解を勢力的に少数派だと分かるように正確に反映していくということです。同じバランスで説明するということではなく、定説に比重を置くということです。

また専門家集団の見解に比重を置くということです。ある学会の見解を覆すように、少数派の見解を示すことは中立的な観点に反します。同様に、学会の見解のような信頼できる情報源と、大衆紙のような信頼できない情報源の勢力差が反映されます。そうでもない独自研究であれば、除去が望ましいでしょう。

その項目の密接な関係のある国での表記は導入部で説明し、遠い国での表記は記事本文の中で説明します。重要な論争を導入部でも説明し、些末な論争を記事本文で説明します。

こうした考え方は相対的であり、確固とした定説がある記事ならば、ごく少数派の見解は記事に登場する余地がないかもしれません。しかし、出典を探しても定説とも言えない仮説が多いだけの段階にあれば、少数派の見解をいくつも説明することになるかもしれません。同じ記事の中でも、科学的な記述には専門誌を、歴史的な記述には大衆紙を出典とすることもあるでしょう。

導入部は、その記事の縮図ですから、あまりにも少数派の見解や、信頼性の低い情報は省かれ、定説や確立された見解についてより多くが割かれることになるでしょう。個々の文献からよりは、複数の文献を分析した文献があれば、このような上位の視点から書かれるべきでしょう。

出典

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  1. ^ Wikimedia User Interface (Mediawiki, 11:12, 2 March 2016‎)
  2. ^ Jeff Johnson 著、武舎広幸、武舎るみ 訳『UIデザインの心理学―わかりやすさ・使いやすさの法則』インプレス、2015年、3-5頁。ISBN 978-4844337713 
  3. ^ Erik Moeller (2010年6月15日). “Usability: Why Did We Move The Search Box?”. Wikimedia Blog. 2016年3月31日閲覧。
  4. ^ ヤコブ・ニールセン、ホア・ロレンジャー 著、斉藤栄一郎 訳『新ウェブ・ユーザビリティ - Web 2.0時代に優先すべき最重要ルール』エムディエヌコーポレーション、2006年、152-153頁。ISBN 4-8443-5892-8 Prioritizing Web usability.
  5. ^ ヤコブ・ニールセン (2007年10月1日). “なんだかんだテキスト:残しておくか、切り詰めるか、一掃するか?”. U-site. 2016年3月20日閲覧。
  6. ^ ヤコブ・ニールセン、ラルーカ・ブディウ 著、グエル 訳『モバイル・ユーザビリティ - 使いやすいUIデザインの秘訣』翔泳社、2013年、139-43頁。ISBN 978-4-7981-3345-4https://books.google.co.jp/books?id=kWt8AAAAQBAJ&pg=PT171 MOBILE USABILITY
  7. ^ (W3C)Dave Raggett, Arnaud Le Hors, Ian Jacobs (24 December 1999). “W3C Recommendation HTML 4.01 Specification - 7 The global structure of an HTML document”. World Wide Web Consortium (W3C). 2014年9月1日閲覧。、または(W3C)Robin Berjon, Steve Faulkner, Travis Leithead, Erika Doyle Navara, Edward O'Connor, Silvia Pfeiffer, Ian Hickson (31 July 2014). “HTML5: A vocabulary and associated APIs for HTML and XHTML: W3C Candidate Recommendation 31 July 2014”. World Wide Web Consortium (W3C). 2014年9月1日閲覧。
  8. ^ mw:Compatibility (MediaWiki、 2016年3月5日04:27版) 閲覧:2016年3月21日
  9. ^ Jakob Nielsen (2006年7月31日). “画面解像度とページレイアウト”. U-site. 2016年12月28日閲覧。
  10. ^ Jakob Nielsen (2012年5月7日). “大型化するコンピュータ画面”. U-site. 2016年12月28日閲覧。
  11. ^ The Editors of Encyclopædia Britannica (2006年12月23日). “French Revolution 1788 - 1789”. Britannica.com. 2016年12月28日閲覧。
  12. ^ Robert Christgau (2016年8月26日). “John Lennon”. Britannica.com. 2016年12月28日閲覧。
  13. ^ 仏教 日本大百科全書”. コトバンク. 2016年12月28日閲覧。

関連項目

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外部リンク

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