板垣巴留
板垣 巴留(いたがき ぱる、女性[1]、1993年[1][2]9月9日[3] - )は、日本の漫画家。東京都出身[1]。左利き[4]。父親は同じく漫画家の板垣恵介[5]。
いたがき ぱる 板垣 巴留 | |
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生誕 |
1993年9月9日(31歳) 日本・東京都 |
職業 | 漫画家 |
活動期間 | 2016年 - |
代表作 |
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受賞 |
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公式サイト | 板垣巴留 BEASTARS (@itaparu99) - X(旧Twitter) |
来歴
編集幼少期より動物を題材としたイラストや絵画を描くことを趣味としていたが[6]、小学生のころより周囲の子供たちの設定上の矛盾を探して楽しむような態度に嫌気が差していたこともあり、イラスト内の動物たちの細かい設定を決めた上で描くようになる[7]。恵介が仕事の都合で家に戻ることが少なかったため、普段は母親や二人の姉と過ごすことが多く[8]、恵介とは仕事休みで帰宅した際に時折世間話や悩み相談をする程度の親子仲であったが、自宅にあった恵介の作品に関しては『ちゃお』などの少女漫画と並行して読み漁っていた[9]。
その後、映画製作を目指して武蔵野美術大学造形学部映像学科(現:造形構想学部映像学科)に進学するも[2]、映画製作の大変さを学生ながらに痛感し、筆記用具や紙類だけで映画に近いものを作ることができる漫画家を志すようになる[10]。大学在学中より、これまで書きためていたイラストをモチーフとして描いた漫画作品を同人誌にまとめて学祭等で販売したときの楽しさが忘れられず、就職活動と並行してプロとして漫画を書くことに挑戦したいという気持ちが強まった[7]。なお、このとき同人誌にまとめた作品には、既にレゴシとハルの原型となるキャラクターが登場しており、後の『BEASTARS』の母体ともいえる作品であった[9]。
当初は、プロを目指すことについて相談を受けた恵介のアドバイスもあって、漫画執筆は大学を卒業し就職して落ち着いたころから本格的に取り組む予定だったが、就職活動に失敗してしまう[9][6]。就職活動の不調とアルバイトでの失敗に悩む日々であったが、上述の同人誌に感銘を受けた恵介が、かつての担当編集者にも同人誌を見せたところ、同人誌を読んだ編集者より恵介を通じて面会を希望する連絡を受ける[9]。その後、実際に秋田書店を訪問し、上記の同人誌を基にした作品のネームを見せたところ、真剣に読み込んだ上で打ち合わせに臨む編集者の姿勢に感銘を受けて、2・3回ほど社内で編集者との打ち合わせを行うようになる[9][7]。3度目の訪問時に新たに持ち込んだネームが編集者から認められたことでようやく掲載が決まり[9][6]、2016年、『週刊少年チャンピオン』(秋田書店)14号(2016年3月3日発売)にて、『BEAST COMPLEX(ビーストコンプレックス)』第1話「ライオンとコウモリ」が掲載され、ようやく漫画家としてデビューする[11]。『BEAST COMPLEX』は4号連続の短期連載であった[11]。同年、『週刊少年チャンピオン』41号(9月8日発売)より、初連載となる『BEASTARS』の連載を開始、同作で複数の受賞を果たす。
顔出しNGを明言しており[12]、公の場に登場する際は『BEASTARS』の登場人物である雌鶏の「レゴム」のかぶり物を被る。第11回マンガ大賞の授賞式においてもこの姿で登壇した[10][13][14]。
『週刊漫画ゴラク』(日本文芸社)2018年9月21日号(2018年9月7日発売)に読み切り短編「白ヒゲとボイン」を掲載する。板垣による「初の人間漫画」ということで、扉ページの煽り文句にも使われている[15]。
恵介との親子関係については、「自身のデビューが親の七光りによるものだ」などと誹謗中傷されることを嫌った板垣当人の意向や、恵介との親子関係によって作品が炎上してしまうリスクを配慮した編集部の方針により長らく非公表とされていたが、『週刊少年チャンピオン』2019年42号(2019年9月19日発売)において「親娘誌上対面!!」と銘打った板垣恵介との対談が掲載されたことで、両者の親子関係が公表された[9]。
『Kiss』(講談社)2019年11月号(2019年9月25日発売)より、自身の家族との思い出などを綴った自伝的内容のショートエッセイ『パルノグラフィティ』の月刊連載を開始し、『コミックDAYS』(2019年11月7日更新)でも毎週第1・2・3木曜日更新で同連載のおっかけ連載が始まった。
2023年9月24日、結婚したことをX(旧Twitter)にて報告した[16]。
2024年5月30日、東京都府中市の「武蔵国 府中大使」に任命された[17](「武蔵国 府中大使」は10年前の2014年に父・恵介も任命されている[18])。また、府中市市制施行70周年を記念した事業の一環として板垣の代表作の一つである「BEASTARS」のレゴシが描かれた原動機付自転車のナンバープレートを製作。2024年8月24日から2025年3月31日まで限定300枚交付する[19]。
人物
編集受賞歴
編集作品リスト
編集- BEAST COMPLEX(『週刊少年チャンピオン』(秋田書店)、コミックス既刊3巻)
- 「ライオンとコウモリ」(『週刊少年チャンピオン』(秋田書店)2016年14号)
- 「トラとビーバー」(『週刊少年チャンピオン』(秋田書店)2016年15号)
- 「ラクダとオオカミ」(『週刊少年チャンピオン』(秋田書店)2016年16号)
- 「カンガルーとクロヒョウ」(『週刊少年チャンピオン』(秋田書店)2016年17号)
- 「ワニとガゼル」(『週刊少年チャンピオン』(秋田書店)2017年39号)
- 「キツネとカメレオン」(『別冊少年チャンピオン』(秋田書店)2017年11月号)
- 「シマリスと(ユキウサギ)」(『別冊少年チャンピオン』(秋田書店)2019年4月号)[27]
- 「ブタとクジャク」(『週刊少年チャンピオン』(秋田書店)2021年6号)
- 「シバイヌとシバイヌ」(『週刊少年チャンピオン』(秋田書店)2021年7号)
- 「カラスとカンガルー」(『週刊少年チャンピオン』(秋田書店)2021年8号)
- 「オオワシとスナネズミ」(『週刊少年チャンピオン』(秋田書店)2021年9号)
- 「エゾシカとユキヒョウ」(『週刊少年チャンピオン』(秋田書店)2021年10号)
- 「トラとアルパカ」(『週刊少年チャンピオン』(秋田書店)2021年11号)
- 「オオカミとウサギ」(『週刊少年チャンピオン』(秋田書店)2021年12号)
- 「ニシキヘビとハイエナ」(『週刊少年チャンピオン』(秋田書店)2021年13号)
- 「アザラシとオオカミ」(『週刊少年チャンピオン』(秋田書店)2021年14号)
- 「カメとヤギ」(『週刊少年チャンピオン』(秋田書店)2021年15号)
- 「ライオンとウサギ」(『週刊少年チャンピオン』(秋田書店)2021年16号)
- 「ウシとワニ」(『週刊少年チャンピオン』(秋田書店)2021年17号)
- 「クロヒョウとラッコ」(『別冊少年チャンピオン』(秋田書店)2021年9月号付録)
- 「シマウマとホワイトタイガー」(『週刊少年チャンピオン』(秋田書店)2023年1号)
- 「ヘビとネズミ」(『別冊少年チャンピオン』(秋田書店)2023年5月号付録)
- 「オオカミとイヌ」(『週刊少年チャンピオン』(秋田書店)2023年41号[28])
- 「イグアナとペンギン」(『週刊少年チャンピオン』(秋田書店)2024年33号[29])
- 「ウサギとオオカミ」(『週刊少年チャンピオン』(秋田書店)2024年34号[30])
- BEASTARS (『週刊少年チャンピオン』(秋田書店)2016年41号 - 2020年45号、コミックス全22巻)
- パルノグラフィティ (『Kiss』(講談社)2019年11月号(同年9月25日発売)[31] - 2020年8月号(同年6月25日発売)、コミックス全1巻)
- ボタボタ(『週刊漫画ゴラク』(日本文芸社)2021年1月8日・15日号(2020年12月25日発売) - 2021年3月5日号(2021年2月19日発売、コミックス全1巻)
- SANDA (『週刊少年チャンピオン』(秋田書店)2021年34号 - 2024年32号、コミックス全16巻)
- 読み切り
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- 「白ヒゲとボイン」(『週刊漫画ゴラク』(日本文芸社)2018年9/21号(2018年9月7日発売))[15]
- 風俗嬢とホテルに入った白ヒゲをたくわえた大柄な男性は、嬢には目もくれずに高カロリーな食事を食べつつ、パソコンのキーボードを叩いていた[15]。『ボタボタ』コミックス1巻に収録。
- 「マンガ麺」(『月刊コミックゼノン』(徳間書店)6月号(2019年4月25日発売)[32]
- アンソロジー『マンガ麺 漫画家と麺の幸せな関係』に採録[33]。
- 「息継ぎしふたり」(『月刊アフタヌーン』(講談社)2024年2月号(2023年12月25日発売))[34]
- 「荒比矢ナイト」(『ビッグコミックスピリッツ』(小学館)2024年44号(2024年9月30日発売))[35]
- 「白ヒゲとボイン」(『週刊漫画ゴラク』(日本文芸社)2018年9/21号(2018年9月7日発売))[15]
出典
編集- ^ a b c “マンガ大賞に板垣巴留さん 受賞作は「BEASTARS」”. 秋田魁新報. (2018年3月22日) 2018年3月23日閲覧。[リンク切れ]
- ^ a b “西村ツチカ×板垣巴留×新宅広二「動物の擬人化を語る」”. 2018年3月23日閲覧。
- ^ 「このマンガがすごい!2019」より
- ^ BEASTARS 第14巻のそでより
- ^ “「バキ道」板垣恵介×「BEASTARS」板垣巴留の親子対談が週チャンに掲載”. コミックナタリー (2019年9月19日). 2019年9月19日閲覧。
- ^ a b c 熊澤志保 (2018年9月14日). “大ヒット漫画『BEASTARS』 着想を得たのは“小学2年生”の時だった”. AERA. p. 1. 2018年9月12日閲覧。
- ^ a b c 板垣巴留『BEAST COMPLEX』秋田書店、2018年2月15日、184-185頁。ISBN 978-4-253-22629-5。
- ^ “パルノグラフィティ”. Kiss (2019年10月10日). 2019年10月10日閲覧。
- ^ a b c d e f g “板垣恵介先生×板垣巴留先生 対談 レジェンドインタビュー”. 週刊少年チャンピオン50周年記念サイト (2019年9月19日). 2019年10月10日閲覧。
- ^ a b c “マンガ大賞2018は板垣巴留『BEASTARS』 登場キャラに扮して授賞式に登場”. しらべぇ. (2018年3月22日) 2018年3月23日閲覧。
- ^ a b “週チャンで新鋭による集中連載開幕、人間味あふれる動物たちの友情を描く”. コミック ナタリー (2016年3月3日). 2018年3月23日閲覧。
- ^ 油井なおみ (2018). “デビュー2年で漫画賞を次々受賞 創作の源は「考えるのをやめない」”. 月刊事業構想 (発行:事業構想大学院大学出版部、発売:日本ビジネス出版) (2018年11月号): 49.
- ^ a b “マンガ大賞2018は板垣巴留「BEASTARS」に決定”. コミックナタリー (2018年3月22日). 2018年3月23日閲覧。
- ^ a b “マンガ大賞に「BEASTARS」 作者の板垣巴留さん「まずは2巻まで読んで下さい」”. 産経ニュース. (2018年3月22日) 2018年3月23日閲覧。
- ^ a b c “「BEASTARS」の板垣巴留が描く初の人間マンガ、ゴラクに読切で掲載”. コミックナタリー (2018年9月7日). 2018年9月12日閲覧。
- ^ “板垣巴留が結婚を報告「これからも旦那さんのご飯パワーを糧に、楽しい漫画を」”. コミックナタリー (ナターシャ). (2023年9月24日) 2023年9月24日閲覧。
- ^ “武蔵国 府中大使に漫画家の板垣巴留さんが就任しました”. 府中市 (2024年6月4日). 2024年8月13日閲覧。
- ^ “2014年武蔵国 府中大使「武蔵国 府中大使」が任命されました”. 府中市 (2014年7月20日). 2024年8月13日閲覧。
- ^ “市制施行70周年記念オリジナルナンバープレートの交付を開始します”. 府中市 (2014年8月11日). 2024年8月13日閲覧。
- ^ きゃりーぱみゅぱみゅ デビュー10周年企画「あなたの原点ソングを教えてください!」(宇垣美里、四千頭身、板垣巴留編)
- ^ あのマンガに音楽を添えて 第3回 板垣巴留と音楽 浜田省吾の歌詞の世界にレゴシを重ねる
- ^ “「このマンガがすごい!」オトコ編第2位の「BEASTARS」、新刊は本日発売”. コミックナタリー (2017年12月9日). 2018年3月23日閲覧。
- ^ “メディア芸術祭マンガ部門の大賞は池辺葵「ねぇ、ママ」アニメ部門は2作が大賞に”. コミックナタリー (2018年3月16日). 2018年3月23日閲覧。
- ^ “文化庁メディア芸術祭 マンガ部門大賞に池辺葵の「ねぇ、ママ」 “母”を描いた短編集”. 毎日新聞. (2018年3月16日) 2018年3月23日閲覧。
- ^ “「ゴールデンカムイ」が手塚治虫文化賞のマンガ大賞に!新生賞は板垣巴留”. コミックナタリー (2018年4月25日). 2018年4月25日閲覧。
- ^ “講談社漫画賞はBEASTARS、透明なゆりかご、傘寿まり子、フラジャイルに決定”. コミックナタリー (2018年5月10日). 2018年5月10日閲覧。
- ^ “別チャン大リニューアルで阿部共実ら新連載!次号より山本崇一朗の新作も”. コミックナタリー (2019年3月12日). 2019年3月12日閲覧。
- ^ “週刊少年チャンピオン 2023年No.41”. 秋田書店. 2023年9月7日閲覧。
- ^ “週刊少年チャンピオン 2024年No.33”. 秋田書店. 2024年7月18日閲覧。
- ^ 板垣巴留「BEAST COMPLEX ウサギとオオカミ」『週刊少年チャンピオン』2024年34号、秋田書店、2024年7月25日、199頁。
- ^ “板垣巴留が個性豊かな家族との思い出を綴る「パルノグラフィティ」Kissでスタート”. コミックナタリー (2019年9月25日). 2019年9月28日閲覧。
- ^ “「BEASTARS」の板垣巴留&たかし♂が麺の思い出描くグルメエッセイ、ゼノンに”. コミックナタリー (2019年4月25日). 2019年9月28日閲覧。
- ^ “石黒正数、板垣巴留、鳴見なる、米代恭…22名参加のグルメアンソロ「マンガ麺」”. コミックナタリー (2019年8月20日). 2019年9月28日閲覧。
- ^ “アフタヌーン 2024年2月号”. アフタヌーン公式. 講談社. 2023年12月25日閲覧。
- ^ “「BEASTARS」の板垣巴留が描くアラフォーOL再起の物語、初登場のスピリッツに掲載”. コミックナタリー. ナターシャ (2024年9月30日). 2024年9月30日閲覧。
外部リンク
編集- 板垣巴留 BEASTARS (@itaparu99) - X(旧Twitter)
- たまにてんパル - Tumblr