Principal

逢田梨香子による2019年のアルバム

Principal』(プリンシパル)は、逢田梨香子の1枚目のEP2019年6月19日DMM music / Astro Voiceから発売された。

『Principal』
逢田梨香子EP
リリース
ジャンル J-POPアニメソング
レーベル DMM music / Astro Voice
チャート最高順位
公式による試聴動画
逢田梨香子 1st EP「Principal」Trailer(3:04) - YouTube
逢田梨香子「FUTURE LINE」Music Video (Short Ver.)(1:41) - YouTube
テンプレートを表示

背景

編集

本作は逢田のソロ歌手としてのデビュー作品になる。Aqoursのメンバーの中では、Aqours結成後最初のソロ歌手としてのメジャーデビューとなった[注 1]。逢田はAqoursのメンバーとして経験を積み重ねてきたが、Aqoursの活動を通しての「『かわいらしさ』や『清潔感』の中にある『芯の強さ』」が評価されて、2018年6月頃に、DMM music / Astro Voiceの創設第1弾アーティストとして迎えるオファーを受けた[1][2][3][4][注 2]。当初は自身が将来的な歌手活動を想像していなかったこともあり「本当に自分でいいんですか?」と戸惑いがあったとのことだが、「現状に甘えたくない、新しいことに挑戦し続けてこそ成長できる。自分がどれほど成長できるかを試せる貴重な機会」と思うようになったこと、「(新しいレコードレーベルなので)スタッフを含めてゼロからの挑戦ができる環境に惹かれた」こと、「(自分より歌唱力に優れる声優を差し置いて)自分に声を掛けてくれたことへの感謝と嬉しさ」を理由に、ソロ歌手活動の挑戦を決断した[1][2][3][5][6]

『Principal』というEPのタイトルは、「(いままでの自分は)自分から前に出る主役タイプではないと思っていた。このことはいまの自分自身に足りないことである(と思っている)ので、これからは自分が主役にならないといけない、先頭に立ってたくさんの人たちを引っ張っていきたい、いままでの自分を覆したいという『未来への願望』や『憧れ』の気持ちを込めて、『主役』『先頭に立つ』という意味で」逢田自身の意向で決めた[7][1][2][3][8]。制作のコンセプトは「楽曲を通して表現したい『透明感』、歌詞を通して表現したい『前に進んでいく』、無理に背伸びをせず、きれいじゃない自分を表現することを通しての『等身大感』」の3つの要素で構成したという[3]

音楽性

編集

リード曲である「FUTURE LINE」は、作詞に畑亜貴、作曲に光増ハジメ、編曲にEFFYという、Aqoursの楽曲を多く手掛けている3人を迎えて制作した。楽曲制作にあたって、逢田は「前進」という大まかな1つのテーマのみをリクエストしたとのことだが、できあがった楽曲は「『前に進みたい気持ち』と『まだ不安を抱えている複雑な思い』が混ざり合う」、まさにいまの自分の気持ちを投影した「迷いながらも前に進もうとする気持ちを伝える、力強い楽曲」になったという[7][3][1][2]。逢田曰く、特に畑の作詞から「自分の新たな一歩の手助け」をメッセージとして感じ取り、この世界観を歌唱に投影しているという[3]。「FUTURE LINE」というタイトルについて、逢田は「未来の線を越えて行け!」と解釈しているとのことで、「新しい一歩を踏み出そうとする人間に勇気を与える『応援ソング』」になったと述べている[1]

2曲目の「ORDINARY LOVE」は、テレビアニメ『川柳少女』のエンディングテーマとして制作された(逢田は担当声優の一人として、大月琴役で出演している)。アニメの世界観、特に(作品の主人公の)雪白奈々子の目線に寄り添うことを意識しつつ、「優しいメロディーで、一つ一つのフレーズがストレートで前向きで、切ないラブソング」に仕上がったという[3][1]

3曲目の「アズライトブルー」は、「『いまの自分』を反映させた、メロディアスで心地いいミディアムテンポの、とても深みのある楽曲」である。先に曲ができ上がり、「水」のイメージが浮かんだことから、「鮮やかな色ではなくて、紺青のようにくすんだ感じ」をタイトルや歌詞に反映させることをリクエストしたという。その結果、「自分への迷いや葛藤」「人間は一人では生きていけないという、切ない気持ち」を表現した楽曲に仕上がったと述べている[3][2]

4曲目の「君がくれた光」は、自分を支えてくれる人々への感謝を歌った「最もアップテンポの曲」であるという[3]

5曲目の「I will」は、「後悔や悲しみを含めての過去の自分をすべて受け入れて前に進む」思いを込めた「バラード」であるという[3][2]。特に、1番の歌詞のサビの

あの頃とは違うから いま守るべきモノがあるから たったそれだけのことなのに私 素直に笑える — 「I Will」の歌詞(1番のサビ)、『VOICE BRODY』vol.4、24頁-25頁より

に、いまの自分を投影しているようでとても共感できると述べている[2][3]。なお、純粋なバラード曲を歌うのは、この「I will」が実質的に初めてとのことであり、「バラードは表現力がないと伝えたい言葉をしっかり伝えられない、いまの自分はどうしても必死感が出てしまう課題を感じた」とのことである[2][3]

ミュージックビデオ

編集

本作品では、キービジュアルの撮影、リード曲「FUTURE LINE」のミュージックビデオ(MV)が制作された。MVは、松永つぐみを映像作家として迎え、ソロ歌手として一人で表に立って出ていくイメージから、「前向き」「前進」をテーマに撮影された。主に海沿いで撮影したとのことで、「世界が広がっていく様子」「さわやかな疾走感」を表現することができたという[1][9]

キービジュアルの撮影は、2019年2月に行われ、逢田自身が「1日の始まりである夜明けの瞬間が大好き」であることから、それに合わせて、日が昇る前のくらい時間から撮影準備を行ったとのことだが、(発売時期が2019年6月であることもあり)薄着で、かつ屋外で脚立の上に立っての撮影であったために「過酷な撮影」になってしまったという。しかしその結果、「飾らない自分」を表現した「少し物憂げな表情」による素敵な写真ができ上がったという[3][1]

プロモーション

編集

本作品の発売に合わせて、『声優アニメディア』(2019年7月号)、『VOICE BRODY』(vol.4)、『My girl』(vol.27)、『voice channel』(vol.7)の4つの声優雑誌で表紙及び巻頭特集で取り上げられたほか、『週刊ヤングジャンプ』(2019年6月13日発売号)でも表紙及び巻頭グラビアで登場[10]、『FLASHスペシャル グラビアBEST』(2019年初夏号)でも取り上げられた[注 3]。また、TOKYO FM「SCHOOL OF LOCK!」(2019年6月12日放送回)にゲスト出演している[7][11][注 4]

6月12日、お台場ヴィーナスフォートで、本作品のリリースイベントを開催[12][13]。このリリースイベントの模様が、6月13日のフジテレビ系列「めざましテレビ」で放送された[14][15][注 5]

ライブ・パフォーマンス

編集

チャート成績

編集

2019年7月1日付のオリコン週間アルバムチャートでは初週で1.43万枚を売り上げ4位にランクイン。週間アニメアルバムチャートでは首位を獲得し、同チャートでの声優のデビュー作による1位獲得は、2014年の楠田亜衣奈が『First Sweet Wave』で達成して以来、4年ぶりの快挙となった。また、初週売り上げは、ラブライブ!シリーズおよびAqoursのメンバーによるソロデビュー作としては、元も高い初動枚数となっている[注 6]

収録曲

編集
# タイトル 作詞 作曲 編曲 時間
1. 「FUTURE LINE」 畑亜貴 光増ハジメ EFFY
2. 「ORDINARY LOVE」 Satomi 青木康平 田中隼人[注 7]
3. 「アズライトブルー」 前田甘露 杉本雄治 湯浅篤
4. 「君がくれた光」 前田甘露 豊田雄登 APAZZI
5. 「I will」 Satomi 田中隼人[注 7] 田中隼人[注 7]

備考

編集
  • 「FUTURE LINE」:音楽情報番組『Music B.B.』2019年6月度オープニングテーマ
  • 「ORDINARY LOVE」:テレビアニメ『川柳少女』エンディングテーマ
  • リード曲の「FUTURE LINE」のPVとメイキングを収録したDVDが付属する初回限定盤、CDのみの通常盤の2バージョンが発売された。また、セブンネットショッピングのみ、初回限定盤に「逢田梨香子のRARARAdio」の特別盤ラジオCDが付属する。
  1. FUTURE LINE (Music Video)
  2. FUTURE LINE (メイキング映像)

脚注

編集

注釈

編集
  1. ^ ただし、Aqours活動開始前に小林愛香高槻かなこ伊波杏樹がそれぞれソロ名義でCDをリリースしているため、活動開始前を含めると4番目となる。
  2. ^ 時期的には、Aqoursの3rdライブツアーの開催中の時期と符合する。
  3. ^ この他、『B.L.T VOICE GIRLS』(vol.38)にも登場している。
  4. ^ 「SCHOOL OF LOCK!」には、2019年6月現在、「Aqours LOCKS!」と題して、高槻かなこと共に毎月1週目の月曜日-木曜日にレギュラー出演している。
  5. ^ 放送は5時20分過ぎに行われたため、近畿地方などの一部地域ではリアルタイムでの視聴ができなかった。
  6. ^ これまではμ's小泉花陽役の久保ユリカの「Lovely Lovely Strawberry」(1.39万枚)が最高記録だった。
  7. ^ a b c 楽曲プロデュースも手掛けた。

出典

編集
  1. ^ a b c d e f g h 『My girl』vol.27、23頁-25頁、32頁-33頁。
  2. ^ a b c d e f g h 『VOICE BRODY』vol.4、22頁-25頁。
  3. ^ a b c d e f g h i j k l m 『声優アニメディア』2019年7月号、32頁-33頁。
  4. ^ 『My girl』vol.27、31頁。
  5. ^ 『B.L.T VOICE GIRLS』VOL.38、66頁-67頁。
  6. ^ 『voice channel』vol.7、22頁、28頁-29頁。
  7. ^ a b c 逢田梨香子 1st EP『Principal』は「勇気が出せない人に届いて欲しい」”. TOKYO FM (2019年6月13日). 2019年6月17日閲覧。
  8. ^ 『FLASHスペシャル グラビアBEST』2019年初夏号、81頁。
  9. ^ 『VOICE BRODY』vol.4、29頁-31頁。
  10. ^ 逢田梨香子:“声優界最高の美女”が再び「ヤンジャン」に”. まんたんウェブ (2019年6月13日). 2019年6月17日閲覧。
  11. ^ 逢田梨香子流 気持ちの切り替え方「とことん落ち込む」”. TOKYO FM (2019年6月14日). 2019年6月17日閲覧。
  12. ^ 逢田梨香子、謙遜「ビーナスなんて…」声優アーティストとして「唯一無二の存在に」”. スポーツ報知 (2019年6月14日). 2019年6月17日閲覧。
  13. ^ “声優界最高の美女”逢田梨香子 初のリリースイベントをヴィーナスフォートで開催!”. リスアニ!WEB (2019年6月14日). 2019年6月17日閲覧。
  14. ^ 逢田梨香子による2019年6月12日のツイート2019年6月17日閲覧。
  15. ^ 逢田梨香子による2019年6月13日のツイート2019年6月17日閲覧。

外部リンク

編集