NANDゲート
入力 | 出力 | |
A | B | A NAND B |
L | L | H |
L | H | H |
H | L | H |
H | H | L |
NANDゲート(ナンドゲート)は、否定論理積の論理ゲートであり、その(論理的な)動作は全ての入力の論理積(AND)の反転(NOT)である。つまり、全ての入力がHighの場合のみ出力がLowになり、Lowの入力がひとつでもある場合はHighを出力する。
NAND論理の完全性(en:Functional completeness)により、いかなる組合せ論理回路の論理もNANDゲートの組合せで実装できる。
汎用ロジックICシリーズにおいて、最も基本的な製品群として大量生産されたのは、完全性という論理的な理由よりも、実装の容易さ等による面が大きい。
記号
編集MIL論理記号及びANSI、IEC、DINのそれぞれにおけるNANDの記法を以下に示す。
MIL/ANSI 記号 | IEC 記号 | DIN 記号 |
汎用ロジックIC
編集NANDは、汎用ロジックICでは基本的な製品として、バリエーション等が最も豊富な一群のひとつである。74シリーズについてはTTLの7400等の他、74HC00他のCMOS版など多数のバリエーションがある。
- 74シリーズ
- 7400: 2入力NANDゲート×4
- 7410: 3入力NANDゲート×3
- 7420: 4入力NANDゲート×2
- 7430: 8入力NANDゲート×1
- 4000シリーズ(CMOS)
- 4011: 2入力NANDゲート×4
- 4023: 3入力NANDゲート×3
- 4012: 4入力NANDゲート×2
- 4068: 8入力NANDゲート×1
実装
編集Transistor-transistor logic(TTL)の場合、複数のエミッタを持つトランジスタ (マルチエミッタトランジスタ) を使い、他のゲートよりも少数のトランジスタで構成できるという特徴があり、74シリーズのトップナンバーである7400がNANDであるのもそういった理由による。CMOSにおいても、特性的に不利なPチャネル側が並列で、特性的に有利なNチャネル側が直列になることから、例えばそれが逆になるNORゲートよりも少しだが優位がある。
NANDゲートの完全性
編集NANDゲートは極小完全[注釈 1]な論理関数を実現した回路であり、任意の組み合わせ回路はNANDゲートのみで生成できる[1]。つまり、NOT、AND、OR、XOR などの基本論理回路をはじめ、加算器、デコーダ、エンコーダなどの複雑な組み合わせ回路をNANDゲートだけで作ることができる。
また、最も基本的な順序回路であるRSフリップフロップ回路はNANDゲートの組み合わせで実現できることから[2]、任意の順序回路もNAND回路だけで生成することができる。
脚注
編集注釈
編集- ^ ANDとNOTがあれば全ての論理関数が合成できるので「完全」、ANDあるいはNOTのいずれかが無ければ完全ではなくなるので「極小」という。
出典
編集参考文献
編集- 髙木直史『論理回路』オーム社〈新インターユニバーシティ〉、2010年。ISBN 978-4-274-20959-8。