M-4Sロケット
M-4Sロケット(ミュー4エスロケット)は、東京大学宇宙航空研究所(以下、東大)が日産自動車宇宙航空事業部(以下、日産)と共同開発、日産が製造、東大が運用した4段式固体燃料ロケットである。内之浦宇宙空間観測所から4基打ち上げられ、3基が成功。M-4Sの実機大予備試験機であるM-1,M-3Dについてもこの項で記述する。
機能 | 人工衛星打ち上げ |
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製造 | 東京大学宇宙航空研究所 日産自動車 |
開発国 | 日本 |
大きさ | |
全高 | 23.6メートル (77 ft) |
直径 | 1.41メートル (4 ft 8 in) |
質量 | 43,600キログラム (96,100 lb) |
段数 | 4段 |
積載量 | |
低軌道への ペイロード |
180キログラム (400 lb) |
関連するロケット | |
シリーズ | ミュー |
派生型 | M-3C |
打ち上げ実績 | |
状態 | 引退済 |
射場 | 内之浦宇宙空間観測所 |
総打ち上げ回数 | 4 |
成功 | 3 |
失敗 | 1 |
初打ち上げ | 1970年9月25日 |
最終打ち上げ | 1972年8月19日 |
特筆すべきペイロード | たんせい |
1 段目 | |
全長 | 23.557m |
直径 | 1.41m |
グロス重量 | 43710kg |
推力 | |
比推力 | 219秒 |
燃料 | |
ブースター | |
No ブースター | 2 |
全長 | 5.794m |
直径 | 0.31m |
グロス重量 | 4166kg |
推力 | |
比推力 | 219秒 |
燃料 |
技術的特徴
編集L-4Sロケットの技術を元に開発された。全段が誘導装置を持たない固体燃料ロケットから構成され、無誘導方式(重力ターン方式#無誘導重力ターン)による衛星軌道投入を行う。打ち上げランチャーとの関係上、第2段目に尾翼を装着出来ず、打ち上げ後、第2段後端部に傘状に開くフレアによって姿勢安定を行う。また第一段目の尾翼も、ロケット本体との相対面積はL-4Sのそれより小さい。このためL-4Sより飛行安定性は低下しているが、推力の余裕による軌道設計の最適化により、衛星軌道投入確率は確保できている。M-4Sの各号機は、基本的に、すべての衛星が近地点700km付近、遠地点2500~4500km付近(遠地点は、衛星重量により大きく変化する)を「目標軌道」として打ち上げられた(この軌道の場合、風に流されたとしても衛星軌道が成立する可能性が最も高く、95%を越える)。投入した衛星の重量が、全てカタログ上の低軌道打ち上げ能力の半分以下であるのは、この為である。
初号機は1970年(昭和45年)9月25日に打ち上げられたが、衛星の軌道投入に失敗。2号機から4号機は1971年(昭和46年)2月から1972年(昭和47年)8月にかけ打ち上げられた。
仕様
編集カッコ内は参考としてL-4Sのもの。
- 全長:23.6m(16.5m)
- 直径:1.41m(0.735m)
- 重量:43.6t(9.4t)
- 低軌道打ち上げ能力:180kg(26kg)
打ち上げ実績
編集名称 | 打上げ日時 (JST) |
成否 | 積荷 | 重量(kg) | 目標軌道 近-遠地点 軌道傾斜角 |
衛星の軌道 近-遠地点 軌道傾斜角 |
備考 |
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1号機 | 1970年9月25日 | 失敗 | 科学衛星(MS-F1) | 機体のスピン過大によって第4段点火以降のシーケンスが実行できず軌道投入に失敗 | |||
2号機 | 1971年2月16日 | 成功 | たんせい(MS-T1) | 63 | 近620km 遠4,338km 傾斜角31.2° |
近989km 遠1,109km 傾斜角30° |
試験衛星 |
3号機 | 1971年9月28日 | 成功 | しんせい(MS-F2) | 66 | 近707km 遠3,156km 傾斜角31.2° |
近874km 遠1,871km 傾斜角32° |
日本初の科学衛星 |
4号機 | 1972年8月19日 | 成功[1] | でんぱ(REXS) | 75 | 近710km 遠2,657km 傾斜角31.2° |
近240km 遠6,570km 傾斜角31° |
電波探査衛星 ランチャー設定角度と実際の角度に、約2°の誤差があったのが軌道誤差の主因 |
予備試験機
編集M-4Sの開発の為に2機の予備試験機によるシステム全体の飛翔試験が行われた。
M-1
編集1966年10月31日打ち上げ。第1段モータM-10,補助ブースター及びそれらの周辺システムの予備試験機。上段はダミー。高度50kmに到達した。
- 仕様
- 全長:21.9m
- 直径;1.41m
- 重量:40t
- 構成:SB-310 + M-10 + M-20D + M-30D + M-40D
M-3D
編集1969年8月17日打ち上げ。第2段モータM-20,第4段モータM-40及びそれらの周辺システムの予備試験機。第3段はダミー。高度160kmに到達した。
- 仕様
- 全長:23.6m
- 直径;1.41m
- 重量:40t
- 構成:SB-310 + M-10 + M-20 + M-30D + M-40