JALウェイズ58便エンジン爆発事故
JALウェイズ58便エンジン爆発事故(ジャルウェイズ58びんエンジンばくはつじこ)は、2005年(平成17年)8月12日に福岡県福岡市にある福岡空港で発生した航空事故である。
出来事の概要 | |
---|---|
日付 | 2005年(平成17年)8月12日 |
概要 | 金属疲労によるタービンブレードの損傷 |
現場 | 日本・福岡空港 |
乗客数 | 216 |
乗員数 | 13 |
負傷者数 | 0 |
死者数 | 0 |
生存者数 | 229(全員) |
機種 | マクドネル・ダグラス DC-10 |
運用者 | JALウェイズ(JAZ) |
機体記号 | JA8545 |
出発地 | 福岡空港 |
目的地 | ホノルル国際空港 |
地上での死傷者 | |
地上での負傷者数 | 5 |
概要
編集2005年(平成17年)8月12日、福岡発ホノルル行のJALウェイズ58便(マクドネル・ダグラス DC-10型機)が、福岡空港を離陸後にエンジントラブルを起こし、福岡空港に引き返した。
当該機は午後7時45分頃に、定刻通り福岡空港の滑走路34を離陸したが、離陸後20秒後に突然左エンジンが火を噴いた。パイロットもそれに気づき、管制塔に連絡後、左エンジンを止め海上まで飛行、燃料を消費し、約30分後に福岡空港に引き返し、緊急着陸し乗客ら229名は無事であった。事故による死者はいなかった。また、離陸ルートのほぼ真下に位置する福岡市東区社領2丁目〜3丁目の住宅街にタービンブレードの金属片が落下し、それに自ら触れた5人が軽い火傷や軽傷を負ったほか、乗用車のフロントガラスが破損した[1]。
偶然にも取材で福岡空港に来ていたNHK福岡放送局の取材クルーがこの事故を撮影し、その日の夜のNHKニュースなどで、エンジンが火を噴く瞬間が放映された。
なお、本件は統計上は事故ではなくイレギュラー運航扱いである[2]。
機材
編集事故機は1980年12月に日本航空に納入されたマクドネル・ダグラス社製のDC-10-40(機体記号:JA8545、ライン番号/製造番号:343/47853[3])で、事故時点での機齢は約24年だった。エンジンはプラット・アンド・ホイットニー社のJT9D-59A型を搭載していた。
事故から17日後にアメリカへ売却され、日本航空から退役した[4]。2014年現在もアリゾナ州ピナル飛行場で保管されている。
事故原因
編集エンジンを止めることになった原因は、1枚のタービンブレードが破損し、それがほかのタービンブレードを巻き込んだことによる。破損した原因は、ブレード表面の浸食による疲労亀裂と推定されている。小さな亀裂が遠心力と熱により拡大したことにより、中を循環する冷却空気に漏れが生じ、冷却空気が循環せずにブレード表面に熱が蓄えられたためブレードが破壊した。これがきっかけとなり、ブレード片が他のタービンブレードも破壊した。
この事故の後、JALグループは2005年10月でDC-10を退役させ、ほぼ同型のエンジンを使用していたボーイング747についてはエンジンの検査間隔を2500時間から1000時間に短縮するという改善策をとった[1]。
脚注
編集- ^ a b CSR報告書2006 ジャルウェイズ58便のエンジントラブル (Report). 日本航空.(インターネットアーカイブによるキャッシュ)
- ^ イレギュラー運航の発生状況(平成17年8月) (Report). 国土交通省.
- ^ N853VV Vivaldi Overseas McDonnell Douglas DC-10-40 - cn 47853 / ln 343
- ^ JA Search:JA8545 登録情報
関連項目
編集- JALウェイズ
- 福岡空港ガルーダ航空機離陸事故 - 同じく福岡空港で発生したDC-10による航空事故。
- カンタス航空32便エンジン爆発事故 - 同じくエンジンが飛行中に破損した航空事故。
- 日本航空123便墜落事故 - 本事故よりちょうど20年前の同じ日に発生した、JALが関係する航空事故。発生時刻も約1時間違うのみ。