J3・JFL入れ替え戦
J3・JFL入れ替え戦[1][注釈 1](ジェイスリー・ジェイエフエルいれかえせん、J3/JFL Play-Offs[3])は、2023年から日本プロサッカーリーグ(Jリーグ)、特にJ3リーグ(J3)と日本フットボールリーグ(JFL)との間で行われる予定の入れ替え戦。
J3・JFL入れ替え戦 | |
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開始年 | 2023年 |
主催 | Jリーグ / JFL |
参加チーム数 | 2 |
加盟国 | 日本 |
前回優勝 | 高知ユナイテッドSC |
最多優勝 | 高知ユナイテッドSC(1回) |
本項では、2023年以降のJ3・JFL間の入れ替え制度全般についても記す。
概要
編集Jリーグでは2021年4月、当時の専務理事であった木村正明が中心となってリーグの将来像を議論する「リプランニング推進チーム」を2021年4月1日付で創設し[4]、この中で「リーグ構造の見直し」として、2014年の時点でJ1・J2・J3の合計クラブ数の上限を60と設定していることを明らかにし、J3クラブが20クラブに達した時点で以降の形をどのようにするかを検討する内容で2021年9月末までに結論を出す意向であることを明らかにしていた[4][5]。そうした中で、2022年のJFL(第24回日本フットボールリーグ)の結果により奈良クラブとFC大阪のJリーグ加入が決定し、2023年シーズンでJ3のクラブ数が20に到達したことで、Jリーグのクラブ数が上限としていた60に到達することになり、Jリーグチェアマンの野々村芳和がFC大阪へのヒアリング後の記者会見で「サッカーの世界なので、やっぱり競争がないといけないとは思う。(上のカテゴリーに)上がるために頑張る、(下のカテゴリーに)落ちないために頑張るというピッチの上、サッカー周りの人たちのマインドは絶対に必要だし、見ている人たちからしても、そこにスリルが生まれたりするので」とJ3とJFLの入れ替えに言及したことで、入れ替え制度の導入が現実味を帯びることになった[6]。
2022年12月20日、Jリーグはリーグの掲げた成長戦略に基づき、2024年シーズンからJ1/J2/J3のクラブ数を20クラブずつに統一する(J1が2増、J2が2減)ことを発表し[7]、この記者会見の席上でJリーグの窪田慎二専務理事が別組織であるJリーグとJFLそれぞれの意思決定が必要であることを説明し、「JFLの意思決定を待っている」「来季の入れ替わりがあると思ってもらっていい」と2023年からの入れ替え導入を示唆していた[8]。
2023年1月6日、JFLの2022年度第7回理事会が行われ、Jリーグの提示した入れ替え制度案を受け入れる決定を下し[9]、J3とJFLの入れ替え制度が正式に導入されることが決まった。
レギュレーション
編集以下は、Jリーグが2023年1月6日に発表したJ3・JFLの入れ替えに関するレギュレーション[1]に基づく。制度としては2012年から2016年まで行われたJ2・J3入れ替え戦に準拠している。
入れ替えの条件
編集JFL所属のクラブのうち、以下の条件を満たしたクラブが入れ替え(J3入会)の対象となり、J3所属クラブのうち年間成績下位2クラブ(19位および20位)が入れ替え(公益社団法人日本プロサッカーリーグ定款第10条第3号に基づくJ3クラブの会員資格喪失)の対象となる。
- Jリーグクラブライセンス制度に基づき、クラブライセンス審査を受け、J3ライセンス交付判定を受けていること。
- 当該年度のJFLにおいて年間成績が2位以内であること[注釈 2]。
- Jリーグ理事会においてJリーグ入会承認を得ていること。
- ホーム戦の有料観客数平均2,000人超であること
- 年間入場料収入が1,000万円に到達していること[10]。
- 4.5の項目にはクラブのスポンサーによるチケット買取での招待券による入場者数は広告収入とみなされ、公式記録上の観客数には含まれるが有料観客数には含まれない。
JFL所属クラブが上記の条件を満たした場合、当該クラブがJFLにおいて年間1位の場合は自動入れ替え、年間2位の場合は入れ替え戦出場となる。この場合、年間1位のクラブがJ3入会条件を満たさない場合でも年間2位のクラブが自動昇格になることはなく、また年間3位以下のクラブが自動昇格ないし入れ替え戦に繰り上げられることはない。
一方、J3所属クラブについては、基本的にJ3年間最下位(20位)が自動降格、J3年間19位が入れ替え戦出場となるが、JFLからの自動入れ替え対象クラブがいない場合(即ち1位クラブはJ3ライセンスがなく、2位のみがライセンス保有である場合)は年間最下位が入れ替え戦に出場する。また、JFLにおいて上位2クラブが入れ替え条件を満たしていない(2クラブともライセンスがない)場合はJ3との入れ替えは行われない。
JFL上位の 入れ替え要件 |
J3・20位 | J3・19位 | |
---|---|---|---|
1位○ | 2位○ | JFL年間1位との自動入れ替え | JFL年間2位との入れ替え戦 |
2位× | J3残留 | ||
1位× | 2位○ | JFL年間2位との入れ替え戦 | |
2位× | J3残留 |
入れ替え戦
編集前述の通り、JFLの年間成績2位クラブがJ2参入資格を有する場合は、入れ替え戦が行われる[1]。入れ替え戦の試合形式および勝敗決定方法は2004年から2008年まで行われたJ1・J2入れ替え戦、並びに2012年から2016年まで行われたJ2・J3入れ替え戦に準じている。
ホーム・アンド・アウェーでの2回戦制(第1戦はJFL所属クラブ、第2戦はJ3所属クラブのホームでの開催)で行われ、勝利数の多い方が勝者となり、次年度J3所属となる。2試合とも90分終了時点で同点の場合は引き分けとなり、2試合における勝利数が同数となった場合は下記の順に勝敗を決定する。
なお、アウェーゴールルールは採用されない。
選手交代は試合中の選手交代は5名以内(交代回数はハーフタイムを除き3回まで)。ただし、延長戦を実施する場合は、最大6名以内(交代回数はハーフタイム、延長戦開始前および延長戦のハーフタイムを除き4回まで)。また脳震盪またはその疑いのある選手が発生した場合の取り扱いはリーグ戦同様とする(通常の交代とは別に両チームに1回1人追加される。)。
各年の入れ替え状況
編集2023年
編集入れ替え戦を実施する場合の開催日は、第1戦が12月9日、第2戦が12月16日とされた[1]。
この年は11月12日に行われたJ3第35節でギラヴァンツ北九州のJ3最下位が確定[11]。しかし同日に行われたJFL第28節でJ3参入資格を持たないHonda FCがJFL優勝[12]、11月26日に行われたJFL最終節の結果、J3参入の可能性があったレイラック滋賀が3位に後退しJ3参入資格を持たないブリオベッカ浦安が2位となったため、この年のJFLからJ3への入会は無く、入れ替え戦も行われなかった[11]。
2024年
編集入れ替え戦を実施する場合の開催日は、第1戦が12月1日、第2戦が12月7日とされた[13]。
11月17日に行われたJFL第29節第2日の結果、栃木シティFCのJFL優勝と高知ユナイテッドSCの2位が確定。両クラブは2024年10月29日に行われたJリーグ理事会で「条件付きJリーグ入会」が承認されており[14]、両クラブとも同日までにその他のJ3入会審査項目を充足したことから、栃木シティFCのJリーグ(J3)への入会・加盟が決定[15]。これにより、J3第35節第2日(11月3日)の時点でJ3・20位が確定していたいわてグルージャ盛岡のJリーグ退会(JFL参入)が確定した[16]。
一方、11月17日に行われたJ3第37節第3日の結果、Y.S.C.C.横浜のJ3・19位が確定したことから、Y.S.C.C.横浜と高知ユナイテッドSCの間で入れ替え戦が開催されることが決定した[17]。なお、高知はホームゲーム(第1戦)の行われる12月1日にホームスタジアムの高知県立春野総合運動公園陸上競技場で別の行事が予定されており[18]、ナイトゲームでの開催を模索するもJリーグ側から夜間照明の照度が基準を満たさないことを指摘された[注釈 3]ことから、香川県丸亀市のPikaraスタジアムで開催することとなった[20]。
2024年12月1日 第1戦 | 高知ユナイテッドSC (JFL・2位) | 1 - 1 | Y.S.C.C.横浜 (J3・19位) | 香川県丸亀市 |
13:03 | 上月翔聖 33分 | レポート | 冨士田康人 5分 | 競技場: Pikaraスタジアム 観客数: 3,056 人 主審: 井上知大 |
2024年12月7日 第2戦 | Y.S.C.C.横浜 | 0 - 2 | 高知ユナイテッドSC | 横浜市 |
15:03 | レポート | 競技場: ニッパツ三ツ沢球技場 観客数: 5,101人 主審: 上原直人 |
高知ユナイテッドSCの1勝1分により、高知がJリーグ入会(J3参入)、YS横浜はJリーグ退会(JFL参入)。
脚注
編集備考
編集出典
編集- ^ a b c d 『2023シーズン以降のJ3クラブ・JFLクラブの入れ替えについて』(プレスリリース)、日本プロサッカーリーグ、2023年1月6日。2024年12月7日閲覧。
- ^ “トップページ”. 日本プロサッカーリーグ (2024年11月24日). 2024年11月28日閲覧。
- ^ "2024 J3/JFL Play-Offs – Tournament and Match Format-" (Press release) (english). J.League. 20 December 2023. 2024年1月6日閲覧。
- ^ a b “東京23区の新スタ構想も! Jリーグが「リプランニング推進チーム」発足、10テーマを議論へ”. ゲキサカ (2021年4月6日). 2021年4月6日閲覧。
- ^ “【独自】Jリーグのクラブ数、上限を60に…競技レベル維持へ拡大路線見直し”. 読売新聞 (2021年8月26日). 2021年8月28日閲覧。
- ^ 北川信行 (2022年11月1日). “禁断の「Jリーグ落第制度」がもたらす影響は…J3、JFL間で働く競争原理”. 産経新聞 2023年1月6日閲覧。
- ^ 『2024シーズン以降のリーグ構造・大会方式について 各カテゴリーのクラブ数を20に統一 リーグカップ戦をJ1・J2・J3全クラブ参加のノックアウト方式に変更』(プレスリリース)、日本プロサッカーリーグ、2022年12月20日。2024年12月8日閲覧。
- ^ “J3とJFLも入れ替えが濃厚に「JFLの意思決定を待っている」”. ゲキサカ (2022年12月20日). 2023年1月6日閲覧。
- ^ 『2022年度第7階JFL理事会報告事項(2023シーズンの入れ替えについて)』(プレスリリース)、日本フットボールリーグ、2023年1月6日。2023年1月6日閲覧。
- ^ 『Jリーグ入会要件の改定について』(プレスリリース)、日本プロサッカーリーグ、2024年2月27日。2024年12月7日閲覧。
- ^ a b “J3最下位に沈むも…北九州の残留が決定! JFL最終節でレイラック滋賀が3位に転落”. サッカーキング (2023年11月26日). 2023年11月29日閲覧。
- ^ ““Jへの門番”Hondaが4年ぶりJFL優勝! 昇格組浦安が無敗「16」試合でストップ、最下位沖縄SVは入替戦行き濃厚に…【JFL第28節】”. 超ワールドサッカー (2023年11月12日). 2023年11月12日閲覧。
- ^ 『2024 J3・JFL入れ替え戦 大会方式および試合方式について』『J.LEAGUE.jp』(プレスリリース)、2023年12月19日。2024年5月9日閲覧。
- ^ 『Jリーグ入会審査(J3)結果について』(プレスリリース)、日本プロサッカーリーグ、2024年10月29日。2024年10月29日閲覧。
- ^ 『Jリーグ入会(J3)について』(プレスリリース)、日本プロサッカーリーグ、2024年11月17日。2024年11月17日閲覧。
- ^ “栃木シティがJ3自動昇格! 6発大勝でJFL優勝&入場者数達成…岩手のJFL自動降格が決定”. サッカーキング. (2024年11月17日) 2024年11月17日閲覧。
- ^ 『2024 J3・JFL入れ替え戦 開催決定のお知らせ』(プレスリリース)、日本プロサッカーリーグ、2024年11月17日。2024年11月17日閲覧。
- ^ “第10回 HiSix 42.195mリレーマラソン”. FM高知. 2024年11月18日閲覧。
- ^ “春野総合運動公園(陸上競技場)夜間照明設備改修工事(高単公 第1-1-5号)”. 高知県 土木部 土木政策課. 2024年11月19日閲覧。
- ^ “JFL高知のJリーグ参入を懸けた入替戦、ホーム1stレグは香川県開催に 本拠地の照明整備間に合わずJ3讃岐からピカスタを拝借”. 超ワールドサッカー. (2024年11月18日) 2024年11月18日閲覧。
関連項目
編集- Jリーグ百年構想クラブ
- J1昇格プレーオフ(入れ替え戦ではなくJ2上位によるトーナメント戦、2012年 - 2017年および2023年以降)
- J1参入プレーオフ(2018年 - 2022年)
- J1・J2入れ替え戦(2004年 - 2008年)
- J2・JFL/J3入れ替え戦(2012年 - 2016年)
- J2昇格プレーオフ(2024年導入、J3上位によるトーナメント戦)