Jリーグ・アンダー22選抜

Jリーグ・アンダー22選抜(ジェイリーグ・アンダートゥエンティツーせんばつ、英語: J.League U-22 Selection)は、日本プロサッカーリーグの2014年・2015年にJ3リーグ(J3)に参加していた、J1リーグ(J1)およびJ2リーグ(J2)に所属する22歳以下の選手で構成されるサッカーチーム。

Jリーグ・アンダー22選抜
原語表記 Jリーグ・アンダー22選抜
愛称 J-22選抜
クラブカラー  [1] [1]
創設年 2014年
解散年 2015年
所属リーグ 日本プロサッカーリーグ
所属ディビジョン J3リーグ
ホームスタジアム なし
テンプレート(ノート)サッカークラブPJ

構想発表当時は「JFA/JリーグU-22選抜チーム」の仮称が与えられていた。

創設の経緯

編集

サッカー界に於いて、若手選手の育成のため世界各国では様々な施策による取り組みがなされている。

一方、日本においては大学サッカーが育成に一定の役割を果たす一方で、Jサテライトリーグが2009年に休止となるなど対策が遅れていた。Jサテライトリーグの休止の原因となった大きな理由としては、サテライトリーグがシーズン末に駆け込みで行われ形骸化していることや、ユース組織の選手が高円宮杯U-18サッカーリーグプレミアリーグプリンスリーグおよび県リーグ)やクラブユース選手権Jユースカップ国体といった高校生が出場可能な2種公式戦を優先する傾向、さらにクラブの経費の問題などから選手の保有人数を削減するなどといった問題点が指摘されていた。[2]

日本サッカー協会(JFA)および日本プロサッカーリーグ(Jリーグ)は、育成型期限付移籍制度[注 1] を導入した。また、スポーツ報知は、サテライト(セカンド)チームのJ3への加入を促そうとする動きがあると報じた[3](なお、サテライト(セカンド)チームの例についてはJリーグ所属クラブの下部組織チーム一覧を参照のこと)。

2013年7月12日、JFA強化担当技術委員長(当時)の原博実は、若手育成を目的として、2014年から開始されるJ3に、J1とJ2のU-22(22歳以下)の選抜チームの参加を検討していることを報告し、担当者の間で方向性が確認された。原は「高校卒業後の数年は出場機会が少ないため、こうした年代の選手に試合経験を積ませることが狙い」「育成はクラブがやるべきというところもあったが(選手を)出したいというクラブの方が多かった。いろんな意見はあったが、大筋としては理解してくれた」とした上で、「高卒1、2年目の選手を中心に考える。協会で伸びる人材を選んで使いたい」とコメントしている[4][5][6][7][8]

2013年7月16日の理事会で、J3参加クラブの中に「特別参加枠」(仮称)を1チーム加えることが検討され[9]、2013年11月19日に「JFA/Jリーグ U-22選抜チーム(仮称)」としてJ3に参加することが決定した[10]

チーム編成等

編集

チームの概要については、2014年1月29日の公式発表で正式に明らかになった[1]。2014年1月26日施行の「J3リーグへの特別参加枠チームに関する特則 (PDF) 」(以下「特則」と記す。)に基づき運営される。

J1・J2の各クラブとプロ契約し、JFA登録を行っている、1992年1月1日以降に生まれた選手(2014年シーズンの場合[注 2])を対象とし、各クラブの了承の元でチームに登録される。通常の練習は各クラブで行い、メンバーは試合ごとに試合前々日の金曜日に招集を受けて土曜日に前日練習を行い、日曜日の試合に臨んだ後、解散となる[11](特則第10条[12])。J-22選抜に登録されてもクラブとの登録は抹消されず、J-22選抜での出場試合時間はプロA契約の締結の権利を得るための出場試合時間には算入されない(特則第11条[12])。

なお、選手の登録メンバーについては「第1ウィンドー期間」(2014年度は1月3日-3月28日)までに当初の登録エントリー手続きを終えた後、「第2ウィンドー期間」(同7月18日-8月15日)に限りメンバーの変更をすることができるが、J3へのエントリーをされても選手の移籍は可能とする[1]。また懲罰行為(出場停止他)については、選抜チーム内においては日本サッカー協会基本規定第12章「懲罰」を適用するが、選手所属元クラブについては影響しないとしている[1]

またチーム賞、個人賞の成績についてはJ3リーグの公式記録として残るが、賞金の支給はしない[1](特則第8条[13])。J2への昇格も対象外であり、J3クラブのJ2昇格における成績要件においては、J-22選抜の順位を除外し他チームの順位を繰り上げる[14]

同日に元川崎フロンターレ監督で、U-17サッカー日本代表コーチの高畠勉が初代監督に就任した[1]

チーム運営については「JFAの単独の責任と費用負担において管理するもの」と定められており(特則第4条[15])、J3リーグ戦への参加料はJFAより拠出される。ただし、実際の試合登録にあたっては「試合参加料」として、所属クラブがJFAに対して1試合ごとに選手1名につき35,000円(税抜)を支払うものとされている(特則第10条第2項[12])。

ホームタウン、ホームスタジアムは持たず、試合は全て相手クラブのホームスタジアムにおいてアウェー試合として開催される[14](特則第6条第2項[13])。

活動終了

編集

J-22は2014年2015年の2シーズンにわたって活動をしたが、上述の通り「毎節試合直前に招集、試合後解散」という形式をとったこともあり、2016年のリオデジャネイロオリンピックに向けた若手選手の試合経験確保という意味では一定の成果は上がったものの、Jクラブの関係者の間で「試合前日までメンバーを確定できない」「選手のモチベーションを維持することが難しい」といった意見が挙がり[16]、中には、はっきりと「行きたくない」と漏らす選手もいた[17]。これらの点から活動に継続性がなく、育成という観点からは十分な成果があがっていないという見方があった[18]

こういった観点を踏まえ、2015年11月17日に行われたJリーグ理事会で、2016年シーズンからは新たにJ1・J2に参戦するクラブが所属選手で結成した「U-23チーム」(セカンドチーム)がJ3に最大4チーム[注 3]参戦し、併せて各クラブの控え組同士による準公式戦(仮称「育成マッチデー」→のちに正式に「Jサテライトリーグ」再開決定に至る)を行うことで将来有望な選手の強化・育成を図る方策をとることが発表され[19]、これに伴ってJ-22の活動を終了する方針を固め、11月19日に行われた2015年度JFA第10回理事会にて2016年シーズン以降はJ-22を編成しないこと(2015年シーズンをもって活動終了)が正式に承認された[16]

スタッフ

編集

前述の通り、チームスタッフはJFAから派遣するものと定められており、実行委員に関してはJFA技術委員長による充て職となっている(特則第4条[15])。

役職 氏名 兼職 備考
監督 高畠勉 U-21日本代表コーチ
コーチ 内山篤 U-19日本代表コーチ
GKコーチ 浜野征哉 U-19日本代表GKコーチ
GKコーチ 川俣則幸 JFAユースサブダイレクター
コンディショニングコーチ 早川直樹
代表テクニカルコーディネーター 霜田正浩 JFA技術委員会
テクニカルスタッフ 寺門大輔 日本スポーツ振興センターマルチサポート事業担当
実行委員 原博実 JFA専務理事

登録選手リスト

編集

成績

編集
年度 所属 順位 勝点 試合 得点 失点 得失 監督
2014 J3 10位 33 33 9 6 18 37 63 -26 高畠勉
2015 12位 28 36 7 7 22 28 71 -43

通算対戦成績

編集

ユニフォーム

編集
ユニフォームの色
カラー シャツ パンツ ストッキング
FP(1st)
FP(2nd)
GK(1st)
GK(2nd)
 
 
 
 
 
 
 
 
 
FP 1st
 
 
 
 
 
 
 
 
 
FP 2nd
 
 
 
 
 
 
 
 
 
GK 1st
 
 
 
 
 
 
 
 
 
GK 2nd

チームカラー

編集
  •   白、 
    • 白は「将来の日本サッカー界を担うであろう選手たちの大きな可能性を表現」、赤は「Jリーグのロゴにも使われている色」を表している[1]

ユニフォームスポンサー

編集
掲出箇所 スポンサー名 表記 備考
なし -
背中 スカパーJSAT スカパー!
日本航空 (鶴マーク)JAL
パンツ 日本スポーツ振興センター toto

ユニフォームサプライヤー

編集

脚注

編集
注記
  1. ^ 上位リーグ所属の若手選手が下位リーグに期限付き移籍する場合、移籍期間外でも移籍を可能とする制度。2013年シーズンから導入。
  2. ^ この年齢設定について、Jリーグは「2016年のリオのメンバーになれる人を積極的に使っていきたい」との意向からであると説明している[11]
  3. ^ これは「J2以上のU-23チームの参加数はJ3の一般加盟クラブから数えて3分の1を超えない範囲(2016年度の一般枠は13)とする」とした取り決めによるもの。[19]
出典
  1. ^ a b c d e f g h 2014 明治安田生命J3リーグ 参加チーム Jリーグ・アンダー22選抜 概要』(プレスリリース)日本プロサッカーリーグ、2014年1月29日http://www.j3league.jp/pr/2014/pdf/20140129-3.pdf2014年1月29日閲覧 [リンク切れ]
  2. ^ 22歳以下の若手選手育成施策について ~J3特別参加枠「JFA/Jリーグ U-22選抜チーム(仮称)」のJ3参加決定~ - Jリーグ機構
  3. ^ “新設J3にJ1セカンドチーム参戦も! 若手育成へバルサ方式”. スポーツ報知. (2013年1月24日). オリジナルの2013年1月30日時点におけるアーカイブ。. https://web.archive.org/web/20130130121240/http://hochi.yomiuri.co.jp/soccer/jleague/news/20130123-OHT1T00260.htm 2013年7月13日閲覧。 
  4. ^ “J強化担当会議で原委員長 U-22選抜のJ3参加検討を報告”. スポーツニッポン. (2013年7月12日). https://www.sponichi.co.jp/soccer/news/2013/07/12/kiji/K20130712006204140.html 2013年7月20日閲覧。 
  5. ^ “J3にJ1&J2のU22選抜参加を検討”. 日刊スポーツ. (2013年7月12日). https://www.nikkansports.com/soccer/news/f-sc-tp0-20130712-1156350.html 2013年7月20日閲覧。 
  6. ^ “J3:Jクラブの選抜チーム参加提案”. 毎日新聞. (2013年7月12日). https://web.archive.org/web/20131202233758/http://mainichi.jp/sports/news/20130713k0000m050108000c.html 2013年7月20日閲覧。 
  7. ^ “J3に若手選抜の参加案=原強化委員長 - Jリーグ”. 時事通信社. (2013年7月12日). http://www.jiji.com/jc/zc?k=201307/2013071200968 2013年7月20日閲覧。 
  8. ^ “U-22選抜がJ3参戦へ! Jリーグ強化会議で確認”. スポーツニッポン. (2013年7月12日). https://www.sponichi.co.jp/soccer/news/2013/07/13/kiji/K20130713006205030.html 2014年1月12日閲覧。 
  9. ^ JリーグニュースVol.207” (PDF). Jリーグ (2013年8月5日). 2013年8月5日閲覧。[リンク切れ]
  10. ^ 22歳以下の若手選手育成施策について 〜J3特別参加枠「JFA/Jリーグ U-22選抜チーム(仮称)」のJ3参加決定〜』(プレスリリース)日本プロサッカーリーグ、2013年11月19日http://www.jleague.jp/release/article-00005488/2013年11月23日閲覧 
  11. ^ a b 公益財団法人日本サッカー協会 原博実 専務理事兼技術委員長 会見コメント”. J3リーグ公式サイト. 日本プロサッカーリーグ (2014年1月29日). 2014年1月31日閲覧。[リンク切れ]
  12. ^ a b c 特則 2014, p. 3.
  13. ^ a b 特則 2014, p. 2.
  14. ^ a b 2014 J3リーグ 大会方式および試合方式について』(プレスリリース)日本プロサッカーリーグ、2013年12月17日http://www.jleague.jp/release/article-00005559/2014年3月29日閲覧 
  15. ^ a b 特則 2014, p. 1.
  16. ^ a b 2015年度JFA第10回理事会を開催”. 日本サッカー協会 (2015年11月19日). 2015年11月21日閲覧。
  17. ^ 川端暁彦 (2015年11月20日). ““育成”への危機感…J3へのセカンドチーム参戦がもたらす日本サッカーの未来”. サッカーキング. フロムワン. 2015年11月20日閲覧。
  18. ^ 川端暁彦 (2015年11月17日). “U23チームのJ3参加と育成マッチデー、Jリーグが承認した若手成長促進の施策とは”. サッカーキング. フロムワン. 2015年11月18日閲覧。
  19. ^ a b 【Jリーグ】来季のJ3リーグにJ1・J2クラブの「U-23チーム」が参加”. J.LEAGUE.jp. 日本プロサッカーリーグ (2015年11月17日). 2015年11月18日閲覧。
参考資料

関連項目

編集

外部リンク

編集