IBM メインフレーム ユーティリティプログラム
IBM Mainframe Utility Programs(IBMメインフレーム ユーティリティ・プログラム)は、IBMのメインフレーム用のユーティリティ・プログラム。ここではオペレーティングシステムのうちOS/360およびその後継であるMVSやz/OS用について記述する。
IBMはこれらのプログラムをユーティリティ[1]やサービスエイド(service aids)[2]と呼ぶが、その相違は曖昧で、多くはユーティリティ・ソフトウェアと言える。
ICKDSF
編集ICKDSF はDASDをインストールしたり、初期化したり、保守するのに用いられる。オペレーティングシステムに繋いでいても、切り離されていても使用できる。
サンプル (VTOCをデフォルトサイズで作成) //ICKDSF1 JOB (ICKDSF,,TEST),'DISK INIT',CLASS=A,MSGCLASS=A, // MSGLEVEL=(1,1) //ICKDSF01 EXEC PGM=ICKDSF //SYSPRINT DD SYSOUT=* //SYSIN DD * INIT UNIT(unitaddr) NOVERIFY VOLID(volume) VTOC(END) /*
IDCAMS
編集IDCAMS は VSAM データセットを生成したり、変更を加えたりするのに用いる。
サンプル(DB2の一時表領域の作成をしている) //WRKFILE EXEC PGM=IDCAMS //SYSPRINT DD SYSOUT=* //SYSIN DD * DEFINE CLUSTER - ( NAME(DSNCAT.DSNDBC.WRKFILE.DSN4K01.I0001.A001) - LINEAR - REUSE - VOLUMES(volume) - CYLINDERS(1000 50) - SHAREOPTIONS(3 3) ) - DATA - ( NAME(DSNCAT.DSNDBD.WRKFILE.DSN4K01.I0001.A001) ) - CATALOG - ( DSNCAT )
IEBCOMPR
編集IEBCOMPR は順次データセットまたは区分データセットを比較(コンペア)するのに用いる。
サンプル(順編成ファイルの比較している) //STEP001 EXEC PGM=IEBCOMPR //SYSPRINT DD SYSOUT=* //SYSUT1 DD DISP=SHR,DSN=COMPARE.DATA // UNIT=3390,VOL=SER=WRKVOL //SYSUT2 DD DISP=SHR,DSN=TARGET.DATA // UNIT=3390,VOL=SER=GYOVOL //SYSIN DD * COMPARE TYPORG=PS /*
IEBCOPY
編集IEBCOPY は区分データセットをコピー、圧縮(コンプレス)、合併(マージ)するのに用いられる。コピーする際、メンバーの選択 (select, exclude)、メンバー名の変更 (rename)、メンバーの置換 (replace) ができる。
サンプル(メンバーコピー) //STEP01 EXEC PGM=IEBCOPY,REGION=4M //SYSPRINT DD SYSOUT=* //SYSUT3 DD SPACE=(CYL,400),UNIT=SYSDA //SYSUT4 DD SPACE=(CYL,400),UNIT=SYSDA //I1 DD DISP=SHR,DSN=USER.LIBRARY1 //O1 DD DISP=SHR,DSN=USER.LIBRARY2 //SYSIN DD * COPY I=I1,O=O1 S M=(PGM001) /*
IEBDG
編集IEBDG ('Data Generator') は、パターン化されたデータから成るテストデータセットを作成する。
IEBEDIT
編集IEBEDIT は、JCL の一部分をコピーする。
IEBGENER
編集IEBGENER は、順次データセットのレコードをコピーする。あるいは、区分データセットに格納する。
サンプル(順次データのコピー) //STEP01 EXEC PGM=IEBGENER,REGION=4M //SYSPRINT DD SYSOUT=* //SYSUT1 DD DISP=SHR,DSN=USER.SEQDETA1 //SYSUT2 DD DSN=USER.SEQDATA2, // DISP=(NEW,KEEP,DELETE),UNIT=3390,VOL=SER=volume, // SPACE=(TRK,(850,100),RLSE) //SYSIN DD DUMMY
IEBIMAGE
編集IEBIMAGE は IBM 3800 プリントサブシステムのロードモジュールを扱う。
IEBISAM
編集IEBISAM は ISAM データセットの印刷やデータのロード、アンロードを行う。
IEBPTPCH
編集IEBPTPCH は順次データセットまたは区分データセットを印刷、またはパンチする。
IEFBR14
編集IEFBR14 はダミープログラムで、通常はデータセットのアロケーション(作成)やデリート(削除)に使用する。IEFBR14 は最初、機械語の命令の1つ "Branch to Register" 14 のみで出来ていた。IBMのアセンブリ言語では記憶するのに BR 命令を使用した。そこから、IEF BR 14 の名が付いた。この命令が1つだけのプログラムは、エラーを内包する。それはリターンコードをセットしない、というものだ。そこで、リターンコードをクリアするために2つめの命令が付け加えられた。現在では、正しいステータスとともに終了する。
IEBUPDTE
編集IEBUPDTE は順次データセットと区分データセットの変換を実施する。
IEHINITT
編集IEHINITT ('INIT Tape') は、ラベルを書き込むことによってテープを初期化する。
IEHLIST
編集IEHLIST はデータセットのリストを取る。
IEHMOVE
編集IEHMOVE は、データの集まりを移動したりコピーしたりするのに用いる。
IEHPROGM
編集IEHPROGM はシステム制御データを作成したり (build) 保守したりするのに用いる。また、データセットを消したり (scratch) 、名前を変更する (rename) のに用いられる。
脚注
編集- ^ IBM System/360 Operating System: Utilities (Twelfth ed.). IBM Corporation. (June 1970). GC28-6586-11
- ^ IBM System/360 Operating System: Service Aids OS Release 21 (Third ed.). IBM Corporation. (March 1972). GC28-6719-2