Hypebeast
ハイプビースト(Hypebeast Ltd.) は、香港を拠点とする若者文化にフォーカスしたデジタルメディアである。もともとオンラインマガジン『HYPEBEAST』で知られていた同社は、2005年にケヴィン・マーによってスニーカーブログとして設立された。その後、大手オンラインマガジンに拡大し、さらに「Hypebeast」を設立するまでに至った[1]。
URL |
hypebeast |
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言語 | 英語/日本語/中国語/韓国語 |
タイプ | ファッション/ライフスタイル |
運営者 | Hypebeast Ltd. |
開始 | 2005年 |
現在の状態 | 運営中 |
同社のメディアプラットフォーム『HYPEBEAST』は現在、ストリートウエアからハイブランドに至るまで広範囲にまたがりカバーし、最大かつ最も訪問されたオンラインエディトリアル・ファッションサイトのひとつである[2][3]。サイトでは、ファッション、音楽、ポップカルチャー、ライフスタイル、その他様々なコンテンツを配信している[4]。長年にわたり、『HYPEBEAST』はルーペ・フィアスコやカニエ・ウェストなどの有名人によって広く知られるようになった[5]。
概要
編集ケビン・マ(Kevin Ma)が2005年に創業。香港を本社としアメリカ、ロンドン、日本の4都市に運用拠点を持つ[6]。2016年に上場。多言語で展開する本体のハイプビーストに加えて、女性版のWEBサイトであるハイプベイ(HYPEBAE)、紙媒体のハイプビースト・マガジン(HYPEBEAST MAGAZINE)、ECサイトのエイチビーエックス(HBX)などビジネスは多岐にわたる。SNSの累計フォロワーは2千万人、月間7千万PV、月間ユニーク訪問者数は1320万人。2018年にはニューヨークで自社主催のフェス、ハイプフェスト(HYPEFEST)を開催[7]。2020年9月にはエイベックス・エンタテインメント株式会社と戦略的パートナーシップの締結[8]。
日本法人のハイブビースト・ジャパン(HYPEBEAST JAPAN)は2019年3月に設立された。当時のマネージングディレクター/社長の和島昭裕は2020年12月31日付で退社した[9]。編集長は阿部勇紀[10][11]。2021年にはハイプベイ ジャパン(HYPEBAE JAPAN)とハイプゴルフ ジャパン(HYPEGOLF JAPAN)をローンチした[12]。
ハイプビーストの文化
編集ハイプビーストという用語(英:Hype + beast)は、ケヴィン・マーが自身のファッションブログのために使うまでは、自分を格好良く見せるために一流ブランドの衣服、靴、アクセサリーなどを買い集めることに取りつかれている人を指す軽蔑的な言葉であった[13][14]。多くのハイプビーストたちは、(日本のオタクという言葉が進化したように) 愛情を込めて自分たち自身をそう呼んでいる[15]。
ブランド名やロゴが入ったデザインのトレンドが高まる中、2000年代半ば以降は、ストリートウェアとつながりがあるハイプビーストカルチャーが発展している[16]。このトレンドは、ブランド名のロゴが施された服が流行っていた1990年代のファッションに影響されている[17]。ハイプビーストカルチャーの発展は、ベイプ、シュプリーム、オフホワイト、パレス、ルイ・ヴィトン、バレンシアガ、グッチなどを含む多くのブランド品の消費につながっている。ハイプビーストカルチャーは、需要によって異なる価格のブランドアイテムの購入・転売の成長へと導いた[15]。
「Hypebeast」は、ストリートファッション愛好家を対象とした『Hypefest』というフェス型イベントも開催している[18]。『Hypefest』は、2018年10月にニューヨークで初めて開催された[19][20]。
歴史
編集2005年、ケヴィン・マーはカナダのバンクーバーで学生だった頃にスニーカーブログとして『HYPEBEAST』を設立した[21][22]。2012年の『Hypebeast Magazine』のデビュー以来、マーの事業は『HYPEBAE』、『hypekids』、『Popbee』などを含むサイトへと規模を拡大していった。2008年に、現代アジア人女性を対象としたWEBメディア『Popbee』、さらに2012年にはグローバルECプラットフォームの『HBX』が立ち上げられた[23]。過去10年間で、「Hypebeast」は、デジタルメディア、eコマース、クリエイティブサービスなど、多くのニッチ市場をカバーするために拡大してきた[24]。また、メディア事業と合わせて、2016年にはクリエイティブエージェンシー事業の『HYPEMAKER』を展開した[25][26]。
2019年に日本法人「Hypebeast Japan株式会社」を設立[27]。
HBX
編集当初、HYPEBEASTストアとして知られていたHBXは、2012年にケヴィン・マーによって設立されたファッションのオンラインストア[1]。Hypebeast Limitedの子会社であるHBXは、アパレル、アクセサリー、その他のプロダクトを販売するセレクトショップとなる[1][4]。2018~2019年には3100万ドルを超える収益を記録[11]。現在、HBXのサイトでは200を超える数のブランドを取り扱っている。
オンラインのプラットフォームに加えて、同社は2015年に香港最大のショッピンモールであるランドマークに実店舗をオープン。2020年にHBXストアは改装されており、FOOD NEW YORKの創設者であり、カニエ・ウェストやヴァージル・アブローなどのミュージシャンやデザイナーと協業経験のあるドン・ピン・ウォン[5]が共同設計に参加している。
脚注
編集- ^ a b c Zax, David (Feb 27, 2012). “Fast Talk: How This “Sneakerhead” Built A Major Online Magazine”. Fast Company April 5, 2020閲覧。
- ^ Newton, Matthew (Sep 8, 2011). “Hypebeast Founder Talks 'Influencers' and Authenticity”. South China Morning Post April 5, 2020閲覧。
- ^ Bain, Mark (May 22, 2019). “Streetwear is what happens to fashion when consumers start dictating the terms”. Quartz April 5, 2020閲覧。
- ^ a b Biron, Bethany (May 4, 2016). “Sneakers and ‘featured hotties’: A guide to streetwear media”. Digiday April 5, 2020閲覧。
- ^ a b Newton, Matthew (Sep 8, 2011). “Hypebeast Founder Talks 'Influencers' and Authenticity”. Forbes April 5, 2020閲覧。
- ^ “香港発「ハイプビースト」 CEOと日本法人社長に聞く | 繊研新聞”. senken.co.jp. 2021年1月16日閲覧。
- ^ “「ハイプビースト」創業者が明かすメディア誕生秘話とNYの「ハイプフェスト」”. WWDJAPAN.com (2018年9月17日). 2021年1月16日閲覧。
- ^ “エイベックス、香港ファッションメディアと提携”. 日本経済新聞. 2021年1月16日閲覧。
- ^ “ハイプビーストジャパンの和島昭裕社長が退社”. WWDJAPAN.com (2021年1月2日). 2021年1月16日閲覧。
- ^ “BerBerJin や Dog など渋谷・原宿の古着屋が集結する一夜限りの “Vintage Fashion Show” が開催”. HYPEBEAST.JP. 2021年1月16日閲覧。
- ^ a b “adidas Originals がサステナブル仕様に生まれ変わった Stan Smith を祝したトークセッションを開催”. HYPEBEAST.JP (2021年4月14日). 2021年4月26日閲覧。
- ^ “日本版「ハイプビースト」が新規事業に見出す勝機 女性向け「ハイプベイ」などで”. WWDJAPAN.com (2021年4月23日). 2021年4月26日閲覧。
- ^ Bain, Marc. “Streetwear is what happens to fashion when consumers start dictating the terms” (英語). Quartzy. 2019年11月20日閲覧。
- ^ Weissburg, Josie. “Hypebeast Culture”. The Register Forum. 2019年11月20日閲覧。
- ^ a b “The Evolution of the Hypebeast: An Illustrated Guide” (英語). Complex. 2019年11月20日閲覧。
- ^ “All Your Questios About Hypebeasts, Answered” (英語). Bustle. 2019年9月7日閲覧。
- ^ Groce, Nia (2018年3月15日). “Will the ’90s Logo Trend Last? Here’s What the Experts Have to Say” (英語). Footwear News. 2019年9月7日閲覧。
- ^ Ortved, John (Oct 12, 2018). “What 9 Hypebeasts Wore to Hypefest”. The New York Times April 5, 2020閲覧。
- ^ Witte, Rae (Sep 26, 2018). “HYPEBEAST Is The Latest Media Site To Jump On The Conference Bandwagon”. Forbes April 5, 2020閲覧。
- ^ Penny, Daniel (October 17, 2018). “Gucci Mane Among the Hypebeasts”. The New Yorker April 5, 2020閲覧。
- ^ Engvall, Nick (Oct 29, 2015). “The 25 Best Sneaker Blogs Right Now”. Complex April 5, 2020閲覧。
- ^ Bromwich, Jonah Engel (2018年9月12日). “If You Hype It, Will They Come?”. New York Times April 5, 2020閲覧。
- ^ “Se vuole sopravvivere, la moda deve diventare sostenibile”. Esquire. (2018年11月15日) April 5, 2020閲覧。
- ^ Ap, Tiffany (February 12, 2018). “Hypebeast Ltd. Stock Surges 45 Percent on Third-Quarter Results”. WWD April 5, 2020閲覧。
- ^ “Hypemaker” April 5, 2020閲覧。
- ^ “Crocs, KFC’s new partnership is ‘deep-fried’ footwear”. Free Malaysia Today. (February 14, 2020) April 5, 2020閲覧。
- ^ Ap, Tiffany (March 14, 2019). “Hypebeast to Debut Japan Subsidiary Led by Akihiro Wajima”. Yahoo! Finance April 5, 2020閲覧。