GI (軍隊)
G.I.は、「アメリカ兵」を意味する俗語である。G.I.ジョー(G.I. Joe)で男性の下士官兵を指し、女性兵士の場合はG.I.ジェーン(G.I. Jane)という表現が使われる。そのほか、戦争花嫁を指すG.I.ブライド(G.I. bride)、従軍牧師を指すG.I.ジーザス(G.I. Jesus)などの用例も見られる[1]。
概要
編集G.I.は、しばしばGarrison issue(駐屯地支給品)、Government issue(官給品)、General infantry(一般歩兵)[nb 1]などの略語と解釈される。しかし、アメリカ軍における用語としては、Galvanized Iron(亜鉛めっき鉄板)を意味する略語として20世紀初頭に導入されたのが始まりで、当時はゴミ箱やバケツへのスタンプとして使用されていた[1]。
第一次世界大戦中、アメリカ兵らは砲爆弾をバケツに例え、ドイツ軍による激しい砲爆撃をG.I.缶(G.I. cans)、あるいは単にG.I.と称した[2]。その後、G.I.にGeneral Issue(一般支給品、一般的な厄介事)という解釈が加わり、兵士らは自嘲を込めて、例えばG.I.シューズ(G.I. shoes)、G.I.ソープ(G.I. soap)、G.I.ブラシ(G.I. brushes)といったように、身の回りのあらゆる品をG.I.と称するようになった[1]。Government issue(官給品)という解釈もこの時期から語られ始め、陸軍に関連するあらゆるものがG.I.と称されるようになった[3]。
アメリカ兵自体を指してG.I.という略語が使われるようになったのは、第一次世界大戦中から戦間期にかけてのことと言われているが、1935年に下士官兵を意味する略語として使用されたのが、記録にあるうちでは最も古い例である。また、使われ始めた頃には侮蔑的な意味合いも強かったとされ、ダグラス・マッカーサー将軍は、主治医だったロジャー・O・エグバーグ大佐が何気なく部下をG.I.と称したことに激怒し、「二度と私の前でその言葉を使うな。G.I.とはGeneral Issueという意味だろう。彼らを兵士(soldiers)と呼びたまえ」と述べたと伝えられている[1]。
G.I.ジョー(G.I. Joe)という表現は、ありふれた男性名である「ジョー[nb 2]」とG.I.を組み合わせることで、「ごく普通のアメリカ兵」を意味している。雑誌『Our Army』の1935年10月号にて初めて使用され、雑誌『Yank, the Army Weekly』でデイブ・ブレガーの漫画『G.I. Joe』の連載が始まった1942年頃から広く使われるようになった[2]。
いずれにせよ、第二次世界大戦中には多くの兵士がG.I.を自称し、「アメリカ兵」という意味で広く普及した。この言葉に「自らも大量調達された官給品の1つである」という自嘲を込める者もあった[3]。
脚注
編集出典
編集関連項目
編集- GIの用例
- G.I.ジョー
- 最も偉大な世代 - アメリカにおいて、1900年代前半から1920年代後半に掛けて生まれた人々を指す語。第二次世界大戦従軍者の大部分がこの世代の人々であることから、G.I.世代(G.I. Generation)とも呼ばれる。
- GI法 - 1944年に制定された復員兵援護法の通称。
- GIベビー - 第二次世界大戦後に連合国の兵士と日本人女性の間に産まれた子供を指す和製英語。
- G.I. ジョー (ハト) - 第二次世界大戦中に活動したアメリカ陸軍の軍鳩。
- 類似の用語
- ダウボーイ (軍隊) - 第一次世界大戦頃までアメリカ兵を指して使われていた俗語。
- ドッグフェイス (軍隊) - 第二次世界大戦頃のアメリカ陸軍の歩兵を指す俗語。
- トミー・アトキンス - 第一次世界大戦頃からイギリス兵を指して使われた俗語。
- メフメトチク - トルコ陸軍で歩兵を指して使われた俗語。
- ポワル - フランス兵を指す俗語。
- ディガー (軍隊) - オーストラリア兵およびニュージーランド兵を指す俗語。