内視鏡的逆行性胆道膵管造影
内視鏡的逆行性胆道膵管造影(ないしきょうてきぎゃっこうせいたんどうすいかんぞうえい、英語:Endoscopic retrograde cholangiopancreatography, ERCP)は、内視鏡検査・治療の一つ。
一般に医療現場では、略語のERCPが主によく用いられている。
名称
編集「ERCP: Endoscopic retrograde cholangiopancreatography」の訳語は様々に存在し、「内視鏡的逆行性胆道膵管造影」のほか「内視鏡的逆行性胆管膵管造影」などがある[1][2]。日本消化器病学会・日本内科学会は「内視鏡的逆行性胆道膵管造影」、日本消化器内視鏡学会では「内視鏡的逆行性膵胆造影」を正式訳語としている[要出典]。日本消化器内視鏡学会の訳語は、旧来において「EPCG:Endoscopic retrograde pancreatocholangiography」と呼ばれていたことに対する経緯があってのことだが、現在では世界的に「ERCP」という呼称が一般的となっている[要出典]。
歴史
編集1968年にアメリカ・ジョージ・ワシントン大学のウィリアム・S・マッキューン (William S. McCune) [3]と、1969年に癌研究会附属病院の高木國夫[4]、東京女子医科大学の大井至[5]らによって、それぞれ膵管造影・胆管造影施行として報告された。
1970年には、ERCP用の側視鏡(十二指腸鏡)が開発市販され世界中に広まっていった。
1974年には、京都府立医科大学の川井啓市、ミュンヘン大学のマインハルト・クラッセン (Meinhard Classen) などによって「EST」が開発され、治療分野が発展してきた。
方法
編集主に「側視鏡」を用いて行い、十二指腸乳頭よりチューブを挿入させ、総胆管・肝内胆管・胆嚢管・胆嚢といった胆道系と膵管を造影する検査。術後再建消化管の場合等において、直視鏡(普通の上部消化管内視鏡)ないし、小腸内視鏡を用いて行われることもある。
手技
編集一般的な手技は以下がある。その他にもERCPを用いて様々な方法が開発されてきている。
- ERC: Endoscopic retrograde cholangiography(内視鏡的逆行性胆道造影)
- ERP: Endoscopic retrograde pancreatography(内視鏡的逆行性膵管造影)
- EST: Endoscopic sphincterotomy(内視鏡的乳頭括約筋切開術)
- EPBD: Endoscopic papillary balloon dilatation(内視鏡的乳頭バルーン拡張術)
- EML: Endoscopic Mechanical Lithotripsy(内視鏡的機械的砕石術)
- EHL: Electro‐hydraulic Lithotripsy(電気水圧砕石術)
- ERBD: Endoscopic retrograde biliary drainage(内視鏡的逆行性胆管ドレナージ)
- ENBD: Endoscopic nasobiliary drainage(内視鏡的経鼻胆管ドレナージ)
- ERGBD: Endoscopic retrograde gallbladder drainage(内視鏡的逆行性胆嚢ドレナージ)
- ENGBD: Endoscopic nasogallbladder drainage(内視鏡的経鼻胆嚢ドレナージ)
- ENPD: Endoscopic nasopancreatic drainage(内視鏡的経鼻膵管ドレナージ)
- ERPD: Endoscopic retrograde pancreatic drainage(内視鏡的逆行性膵管ドレナージ)
- EPS: Endoscopic pancreatic stenting(内視鏡的膵管ステント留置術)
- POCS: Peroral cholangioscopy(経口胆道鏡)
- POPS: Peroral pancreatoscopy(経口膵管鏡)
- IDUS: Intraductal ultrasonography(管腔内超音波検査)
合併症
編集脚注
編集- ^ “一般のみなさまへ:医学用語集:内視鏡的逆行性胆管膵管造影”. 日本消化器病学会. 2010年1月22日閲覧。
- ^ “市民のみなさまへ(内視鏡検査と内視鏡治療のご説明):3.3)胆・膵内視鏡検査と治療”. 日本消化器内視鏡学会. 2010年1月22日閲覧。
- ^ McCune, W.S. (1968). “Endoscopic cannulation of the ampulla of vater : a preliminary report”. Ann. Surg. 167: pp..752-756 2010年2月23日閲覧。.
- ^ 高木國夫、他「十二指腸ファイバースコピーによる逆行性総胆管および膵管造影の1例」『日医放会誌』第29巻、1969年、p.p.590。
- ^ 大井至「Fiberduodenscope (FDS-Lb) による内視鏡的膵管造影」『日消会誌』第66巻第8号、1969年8月、p.p.880-883。