BDMV
(BD-MVから転送)
BDMV(Blu-ray Disc Movie、BD-MV)とは光ディスクメディアで利用されるアプリケーションフォーマットの一種で、Blu-ray Disc(BD)の読み出し専用規格である「BD-ROM」で用いられている[1]。
DVD規格でのDVD-Videoフォーマットに相当する。なお、BDMVの同意義語と言えるものにBD-Videoがある。市販BDソフトの規格の表現ではBD-Video(BDビデオ)と通称で呼ぶこともあるが、記録形式(記録フォーマット)などの分野ではBDMVと呼ぶことが一般的である[注 1]。
使用できるコーデック及びプロファイル
編集- MPEG-2: MP@HL and MP@ML
- MPEG-4AVC: HP@4.1/4.0 and MP@4.1/4.0/3.2/3.1/3.0
- VC-1: AP@L3 and AP@L2
使用できる解像度
編集- HD(16:9)
- 1920x1080/59.94i,50i (59.94,50Hzフィールド走査。フレーム換算29.97,25fps、1フレーム=2フィールドインタレース)
- 1920x1080/24p,23.976p (24,23.976フレーム/秒、1フレーム=1プログレッシブ。)
- 1440x1080/59.94i,50i (59.94,50Hzフィールド走査。フレーム換算29.97,25fps、1フレーム=2フィールドインタレース)
- 1440x1080/24p,23.976p (24,23.976フレーム/秒、1フレーム=1プログレッシブ。)
- 1280x720/59.94p,50p (59.94,50フレーム/秒、1フレーム=1プログレッシブ。)
- 1280x720/24p,23.976p (24,23.976フレーム/秒、1フレーム=1プログレッシブ。)
- 1440x1080の場合は地デジの場合と同様、自動的にアナモフィックされ16:9にコンバートされたものが画面に映される[注 2]。
- SD
- 720x480/59.94i(4:3/16:9) NTSC
- 720x576/50i (4:3/16:9) PAL
使用できる音声フォーマット
編集リニアPCM、AC-3、DTSデジタルサラウンド、ドルビーデジタルプラス、ドルビーデジタルロスレス(Dolby TrueHD)、DTS-HDマスターオーディオ
※AACはサポート対象外。また、DVD-Video/DVD-VRの関係と同様、BDAVでは対象になっているデュアル2chステレオ形式[注 3]はBDMVでは許容されていない[注 4]。
特徴
編集映像および音声データの多重化記録フォーマットには、MPEG2システムのMPEG2 TSを採用している[注 5]。システムの総ビットレートの最大は54Mbps(うち映像ビットレートの最大は40Mbps)となっている。
DVDとの親和性がある「HDMV」(high definition movie mode)と高度なインタラクティブ機能をプログラム可能な「BD-J」(Blu-ray Disc Java)の2つの機能がある。
「BD-J」は欧米のデジタル放送用インタラクティブ規格、MHP、OCAP等で採用されているJava規格をベースに開発された。このため、特定のOSに依存しないで互換性を取ることができる。
規格仕様
編集- BD-ROM Profile 1/Standard Profile
- BD-ROM version 2 Profile 1 version 1.1/Final Standard Profile
- BONUS VIEW
- BD-ROM version 2 Profile 2/Full Profile
- BD-ROM version 2.4
脚注
編集注釈
編集- ^ DVDではビデオデータの記録形式(アプリケーションフォーマット)が「読み出し型/録画型」が「DVD-Video/DVD-VR」であったのに対してBDでは「BDMV/BDAV」となる。BD-VideoはDVDとBDの対比における場合の通称的なもので、技術分野における規格としてはBDMVがフォーマットの正式な名称となる。ちなみに、DVDとBDでは読み出し型と録画型の規格策定順が逆(BD分野の策定ではDVD規格の策定時の反省点を考慮した部分がある)であった。詳細はそれぞれの記事を参照の事。
- ^ 1920x1080解像度に対する1440x1080解像度の規格は、動作原理的にはDVD規格におけるD1以外の解像度(1/2D1など)の場合と同様。解像度において若干落ちるが情報量を節約できるメリットを狙ったもの。
- ^ デュアル2chステレオ形式は、本来アナログテレビ放送時代に2ヶ国語放送/解説放送を実現するために考案された形式で、デジタル放送においても踏襲されたもの。実質的にはテレビ放送に限定された音声切り替え方式であり、パッケージビデオソフトが前提のBDMVの規格には盛り込まれていない。
- ^ BDAVとBDMVのフォーマット規格の違いに伴い、再生機能としても、BDAVではデュアル2chステレオのほかにも通常の2chステレオ音声の左右音切り替えも可能になっている。一方、BD-Video(BDMV)の場合は通常の2chステレオの左右音切り替えは不可能になっているのが一般的で、BD-Video(BDMV)での音声切り替えをする場合は、音声ストリームを2つ以上収録することで実現している。
- ^ 次世代光ディスクの対抗規格であったHD DVDでは読み出し専用ディスクフォーマット(HD DVD-Video)の多重化システムにはDVD(DVD-Video、DVD-VR)と同じMPEG2 PSであった。このためHD DVDではレコーダーで録画したディスクの再生互換に一部制限がつく(TS録画したものはプレーヤーでの再生は出来ない)がBDでは読み出し専用規格であるBDMVと書き込み用規格であるBDAVが同様のMPEG2 TSを採用していること、DVDの規格策定時と異なり先にBDAVがBDMVに先立って策定され機器もレコーダーの方が商品展開が先立った事情があることなどからレコーダーで録画したBDは原則的にはプレーヤーでも再生可能となっている。