AN/SQS-26は、アメリカ合衆国ゼネラル・エレクトリック社とEDO社が開発した軍用ソナー。3キロヘルツ級の低周波を使用し、また、捜索と攻撃用精密追尾の両機能を有するマルチモード・ソナーである[1]。また、のちに改良型のAN/SQS-53が開発され、配備された。

AN/SQS-26
AN/SQS-53を収容したバウ・ドーム(「シャイロー」)
種別 低周波マルチモード・ソナー
開発・運用史
開発国 アメリカ合衆国の旗 アメリカ合衆国
就役年 1963年
送振系
周波数 3.05-4.5キロヘルツ
音響出力 192 kW
ビーム幅 5度
送振方向 全周無制限
送受波器系
送受波器方式 チタン酸バリウム圧電素子
装備方式 円筒形アレイ
ステーブ数 72本(送受波器 各8個)
アレイ径 4.88 m (高さ1.52 m)
受振系
受振周波数 1.5 kHz
探知性能・その他諸元
探知距離 直接探知範囲:18.3 km (9.9 nmi)
海底反跳:64 km (35 nmi)
重量 27,216kg
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概要

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1950年代後半、長射程のアスロック対潜ミサイルの艦隊配備に伴い、アメリカ海軍では、5キロヘルツ級の低周波ソナーであるAN/SQS-23を採用した。これは、サンガモ社によりAN/SQS-29(AN/SQS-4 mod.1改良型、8キロヘルツ級)を発展させるかたちで開発されたもので、理想的な音響環境では40,000ヤード (37 km)の探知距離を発揮できた[2]。しかし当時、ソ連海軍は急速に潜水艦戦力の拡充を進めており、アメリカ海軍は、さらなる遠距離探知が可能な低周波ソナーを求めていた[1]。これに応じて、1955年よりEDOおよびゼネラル・エレクトリックによって開発されたのが本機である[3]1961年には試作機であるXN-1が製作され、同年には初期生産の契約がなされた[2]

探信儀としては3.05-4.5キロヘルツ、また聴音機として使った場合は1.5キロヘルツまでの音波を検知することができる。直接探知範囲(direct path)としては18.3キロメートル (9.9 nmi)、収束帯(CZ)や海底反跳(bottom bounce, BB)といった特殊な音響環境を活用できれば64キロメートル (35 nmi)近い探知可能距離を有するとされていた[3]。送振機は大型の艦首ドームに収容され、高さ1.68メートル、直径4.88メートル、重量27,216kgである。ステーブ(stave)は72本で、それぞれに8個の素子が備えられており、また、37個のコンピュータを備えている[2]

初期生産によるゼネラル・エレクトリックのAN/SQS-26 AXは、1963年中ごろより配備されはじめたが、同年、EDOは、ほぼ同一の設計によるAN/SQS-26 BXの発注を受け、これは、1966年より就役を開始した[3]

1964年、ゼネラル・エレクトリックに対し、改良型のAN/SQS-26 CXが発注され、これは1969年より就役した。また、1965年、既存のAN/SQS-26 AXを改修するAN/SQS-26 AXRの開発が開始され、のちに全ての装備艦が改修を受けた[3]

SQS-53

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SQS-26 CXをソリッドステート化するとともに、新型のMk.116 水中攻撃指揮装置に対応するように改修したものは、新たにAN/SQS-53の制式番号を付与された。アナログ式のAN/SQS-53A、デジタル化されたAN/SQS-53Bコンピュータ制御のAN/SQS-53C、53A及び53BをCOTS化したAN/SQS-53Dがある[2]

AN/SQS-26と同様、最大探知距離はCZ利用時の64km弱となるが、平均探知距離はダイレクトパスの9km以内であった[4]

なお、AN/SQS-53は後に、Mk.116 水中攻撃指揮装置、AN/SQR-19 戦術曳航ソナーとともに、AN/SQQ-89 統合対潜戦システム(ASWCS)のサブシステムとして統合された。

採用国と搭載艦

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SQS-26

  アメリカ海軍

SQS-53

  アメリカ海軍

  海上自衛隊

  ベネズエラ海軍

参考文献

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  1. ^ a b 香田洋二「国産護衛艦建造の歩み(第10回) 2次防艦に関わる外国製新装備」『世界の艦船』第785号、海人社、2013年10月、104-110頁、NAID 40019789703 
  2. ^ a b c d Norman Friedman (2006). The Naval Institute guide to world naval weapon systems. Naval Institute Press. ISBN 9781557502629. https://books.google.co.jp/books?id=4S3h8j_NEmkC 
  3. ^ a b c d Forecast International (1996年9月). “SQS-26 - Archived 9/97” (DOC) (英語). 2009年2月26日閲覧。
  4. ^ 橋本金平「原潜は海軍作戦をどう変えたか--その半世紀の歩み (特集・原潜の50年)」『世界の艦船』第632号、海人社、2004年10月、69-75頁、NAID 40006385232 

関連項目

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