92式地雷原処理車(きゅうにいしきじらいげんしょりしゃ)は、広範囲に地雷が敷設された地雷原を啓開することを目的としている陸上自衛隊の車両。1988年から開発が始まり、1992年に制式採用され、主に施設科・戦車連隊本部管理中隊に配備されている。略称はMBRS、愛称は「マインスィーパー」。

92式地雷原処理車
(発射装置を展開した状態)

概要

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処理車から発射される地雷原処理用ロケット

73式けん引車を改良した車体の上に2連装の92式地雷原処理用ロケット弾の箱型発射装置が装備されている[1]。地雷原処理用ロケット弾内には、ワイヤーで数珠繋ぎにされた26個の爆薬(導爆索)が収納されている[1]

地雷原を処理する際には、まず発射装置に仰角をかけ、ロケット弾を発射し、空中で末端部のパラシュートが開き、ロケット弾本体の中から数珠繋ぎ状になった爆薬がパラシュートに引き出される。爆薬は縦一列に地雷原上に落下し、26個が同時に起爆して付近に埋設された地雷を爆破処理する。この作業により、地雷原内に車両が通行可能な通路を確保する事ができる[2]

ロケット弾で紐状の爆発物を引き伸ばし、地雷原を爆破する処理機材は従来から存在するが、専用車両として開発されたのは92式が初となる。車両による地雷原処理には、戦車などの前方に取り付けたローラー型機材で地雷を踏み潰して起爆させたり、ローラーから磁気を発して地雷を反応させる方式が第二次世界大戦中から確立されており、陸上自衛隊では92式地雷原処理ローラが存在するが、ローラー型処理機材は装備した車両の戦闘力を低下させる欠点があった。92式地雷原処理車は、地雷処理専用の車両を導入することで戦闘車両に地雷処理の負担をかけず、ローラー型よりもさらに広範囲にわたって迅速に通路を確保することができる。

技術研究本部における部内研究は1982年には開始されており、1988年より試作が行われている[2]。92式地雷原処理ローラとの同時開発でもあった[2]

諸元・性能

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92式地雷原処理用ロケット弾[2]
  • 長さ:4.7m
  • 外形:0.4m
  • 重量:1.0t
  • ロケットモーター4基[1]

ギャラリー

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脚注

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  1. ^ a b c d PANZER 臨時増刊 陸上自衛隊の車輌と装備2012-2013 2013年1月号,アルゴノート社,P108
  2. ^ a b c d 技術開発官(陸上担当),技術研究本部50年史P40-41

参考文献

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  • 自衛隊装備年鑑 2006-2007 朝雲新聞社 P100 ISBN 4-7509-1027-9

関連項目

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外部リンク

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