2018年カンボジア国民議会選挙
2018年カンボジア国民議会選挙(2018ねんカンボジアこくみんぎかいせんきょ、クメール語: ការបោះឆ្នោតជ្រើសតាំងតំណាងរាស្ត្រ នីតិកាលទី៦ ឆ្នាំ២០១៨)は、カンボジア下院である国民議会の総選挙で、2018年7月29日に実施された[1]。
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地域別人民党得票率 60-70% 70-80% 80-90% | ||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
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概要
編集2013年の前回選挙で、与党カンボジア人民党が68議席と過半数を制する一方で、野党カンボジア救国党は55議席を獲得した。 野党は議席の大幅な増加にもかかわらず、人民党の選挙妨害を訴えて結果を認めなかった。救国党は選挙制度改革を求め、改革の実現まで議会活動のボイコットを宣言[2]。国民を巻き込んだ広範囲の反政府運動が始まった[3]。
反政府運動に対して首相のフン・センは、次期総選挙を5ヶ月早く施行する妥協案を提示したが、野党は拒否し2015年または2016年半ばでの総選挙実施を求めた[4]。
2014年7月22日、救国党が議会に復帰し、2018年に総選挙を実施することで与野党が合意、政治危機は終了した[5]。救国党党首のサム・ランシーも比例候補者名簿に追加することを認め、8月5日の議員就任宣誓式に救国党議員は出席した[6]。
ランシーは名誉棄損容疑をかけられ、2015年にフランスへ逃れ2017年には救国党党首を辞任し離党した。フン・セン政権は、政党指導者が罪を犯した場合政党を解散させることができる政党法改正を進めており、辞任は避けられない状態と見られていた[7]。後任の党首にはケム・ソカー副党首が就任した[8]。
救国党の解散命令により、主要野党が消滅し人民党の優位が確定、選挙では定数125の全議席を得て圧勝した[9][10]。ランシーは、選挙の不当を主張している[1]。
選挙データ
編集- 選挙事由:国民議会議員の任期満了
- 有権者:満18歳以上のカンボジア国民
- 被選挙権者;満25歳以上のカンボジア国民
- 議員定数:125議席
- 選挙制度:比例代表制(拘束名簿式)
- 選挙区:24選挙区
選挙活動
編集選挙結果
編集投票は7月29日の午前7時から午後3時まで全国で行われた。
政党 | 議席数 | 増減 | 得票数 | 得票率 | |
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カンボジア人民党 | 125 | 58 | 4,889,113 | 76.85% | |
フンシンペック | 0 | ± 0 | 374,510 | 5.89% | |
民主主義同盟党 | 0 | ± 0 | 309,364 | 4.86% | |
クメール未来党 | 0 | 新党 | 212,869 | 3.35% | |
クメール国民統一党 | 0 | 新党 | 99,377 | 1.56% | |
グラスルーツ民主党 | 0 | 新党 | 70,567 | 1.11% | |
蜂の巣社会民主党 | 0 | 新党 | 56,024 | 0.88% | |
クメール反貧困党 | 0 | ± 0 | 55,298 | 0.87% | |
クメール統一党 | 0 | 新党 | 48,785 | 0.77% | |
カンボジア国家党 | 0 | ± 0 | 45,370 | 0.71% | |
クメール共和党 | 0 | 新党 | 41,631 | 0.65% | |
カンボジア青年党 | 0 | 新党 | 39,333 | 0.62% | |
Dharmacracy党 | 0 | 新党 | 29,060 | 0.46% | |
クメール経済開発党 | 0 | ± 0 | 23,255 | 0.37% | |
クメール向上党 | 0 | 新党 | 22,002 | 0.35% | |
ポンルー・スメイ党 | 0 | 新党 | 13,509 | 0.21% | |
カンボジア先住民族民主党 | 0 | 新党 | 10,197 | 0.16% | |
祖国党 | 0 | 新党 | 9,174 | 0.14% | |
共和民主党 | 0 | ± 0 | 8,591 | 0.14% | |
Reaksmey Khemara党 | 0 | 新党 | 4,212 | 0.07% | |
総計 | 125 | 2 | 6,362,241 | 100.0% | |
有効票数(有効率) | - | - | 6,362,241 | 91.45% | |
無効票・白票数(無効率) | - | - | 594,659 | 8.55% | |
投票総数(投票率) | - | - | 6,956,900 | 83.02% | |
棄権者数(棄権率) | - | - | 1,423,317 | 16.98% | |
有権者数 | - | - | 8,380,217 | 100.0% | |
出典: National Election Committee |
脚注
編集- ^ a b “カンボジア総選挙 与党がほとんどの議席獲得する勢い”. NHKニュース. (2018年7月30日) 2018年7月30日閲覧。
- ^ Heng Reaksmey and Men Kimseng (7 March 2014). “Opposition Standing Firm on Election Reform Demand”. Voice of America. 18 July 2014閲覧。
- ^ Dara, Mech (23 December 2013). “CNRP Holds Biggest Demonstration in Decades”. The Cambodia Daily 18 July 2014閲覧。
- ^ “Hun Sen Agrees to Hold Early Election, Wants Deal Signed Before King”. Radio Free Asia (10 April 2014). 9 July 2014閲覧。
- ^ “Political deadlock broken”. The Phnom Penh Post (22 July 2014). 24 July 2014閲覧。
- ^ 初鹿野直美「2014年のカンボジア 与野党対話による膠着状態の解決」『アジア動向年報』第2015巻、日本貿易振興機構アジア経済研究所、2015年、285-286頁、CRID 1390858010059311232、doi:10.24765/asiadoukou.2015.0_283、ISSN 09151109。
- ^ “カンボジア最大野党、党首が辞任表明 サム・レンシー氏、海外に滞在中”. 産経新聞 (2017年2月11日). 2017年10月8日閲覧。
- ^ “カンボジア最大野党の新党首にケム・ソカ氏”. 産経新聞 (2017年3月2日). 2017年10月8日閲覧。
- ^ カンボジア人民党は125全ての議席を確保か 選挙委員会の予備結果 カンボジアニュース 2018年8月24日閲覧。
- ^ “Hun Sen's CPP wins all parliamentary seats in Cambodia election”. Al Jazeera (15 August 2018). 2018年9月23日閲覧。
- ^ “Supreme Court rules to dissolve CNRP”. The Phnom Penh Post. (16 November 2017) 16 November 2017閲覧。
- ^ “Rights Groups Call Out Cambodia’s ‘Sham’ Election”. VOA Cambodia (Voice of America). (29 July 2018)