2012年ウクライナ最高議会選挙

2012年ウクライナ最高議会選挙は、ウクライナ立法府であるウクライナ最高議会(以下、最高議会)を構成する議員を全面改選するために行われる選挙で、2012年10月28日に投票が行われた。

2012年ウクライナ最高議会選挙
ウクライナ
2007年 ←
2012年10月28日 (2012-10-28)
→ 2014年

内閣 アザロフ内閣
改選数 450
選挙制度 小選挙区比例代表並立制
有権者 満25歳以上のウクライナ国民
有権者数 36,213,010
選挙後の党派別勢力図

  第1党 第2党 第3党
 
党首 ミコラ・アザロフ アルセニー・
ヤツェニュク
ビタリ・クリチコ
政党 地域党 全ウクライナ連合「祖国」 UDAR
前回選挙 175 156[注釈 1] 新党
獲得議席 185 101 40
議席増減 増加 10 減少 55 増加 40
得票率 30.0% 25.5% 14.0%
得票率増減 減少 4.4% 減少 5.2% 増加 14.0%

  第4党 第5党
 
党首 オレーフ・
チャフニボーク
ペトロ・
シモネンコ
英語版
政党 全ウクライナ連合「自由」 ウクライナ共産党
前回選挙 0 27
獲得議席 37 32
議席増減 増加 37 増加 5
得票率 10.4% 13.2%
得票率増減 増加 9.7% 増加 7.8%

上図:The leaders in multi-member district by constituency 
下図:Results of the election in single-mandate constituencies

選挙前首相

ミコラ・アザロフ
地域党

選出首相

ミコラ・アザロフ
地域党

概要

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親ロシアのヴィクトル・ヤヌコーヴィチ政権下、2004年の所謂「オレンジ革命」の主役で著名な野党政治家であるユーリア・ティモシェンコ元首相が収監されて以降、初となる議会選挙である。地政学的要衝に位置しているウクライナが欧州連合とロシアのどちらに接近するのか、占う意味合いも強い選挙となった[1]

選挙データ

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内閣

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投票日

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  • 2012年12月8日

改選数

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選挙制度

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2011年11月に選挙法が改正され、比例代表(全国一選挙区)から並立制となった。比例代表の議席阻止ラインは3%から5%に引き上げられた[2]
投票方法
選挙権
満18歳以上のウクライナ国民
被選挙権
満25歳以上のウクライナ国民
登録有権者数
36,213,010

選挙活動

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  • 候補者:5,771名[3]
    • 小選挙区:3,127名
    • 比例代表:22政党2,644名

主要政党

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この節では、世論調査(ラズムコフ研究所と民主イニシアチブ基金の共同調査)において5%以上の支持率を得た政党について紹介する。

ヤヌコーヴィチ大統領の与党で、親ロシア路線。ウクライナ東南部地域を主な支持基盤としている。
現在、収監中のティモシェンコ元首相派を中心とした政党。
ウクライナを代表するプロボクサーであるビタリ・クリチコが結成した政党で、正式名称は「改革を目指すウクライナ民主連合」。汚職撲滅を訴え、都市部や若年層を中心に高い支持を得ている[4]
1993年に結成。左派政党。ヤヌコーヴィチ大統領与党の一員。
1995年に結成。ウクライナ民族主義の政党。

出口調査

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選挙に参加した投票者の割合(2012年10月29日)
国民出口調査[5]
地域党
  
28.1%
連合「祖国」
  
24.6%
UDAR
  
15.4%
連合「自由」
  
12.2%
共産党
  
11.6%
Research&Branding[6]
地域党
  
31.6%
連合「祖国」
  
23.7%
UDAR
  
13.2%
連合「自由」
  
11.0%
共産党
  
13.0%
レーティング[7]
地域党
  
30.1%
連合「祖国」
  
22.8%
UDAR
  
14.8%
連合「自由」
  
12.6%
共産党
  
11.6%
5 Channel[8]
地域党
  
27.6%
連合「祖国」
  
23.4%
UDAR
  
14.3%
連合「自由」
  
12.5%
共産党
  
12.5%

選挙結果

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選挙の結果、親ロシア派の与党である地域党が第一党となった。一方で、ティモシェンコ前首相陣営を中心とする連合「祖国」や元プロボクサーであるクリチコのUDAR、民族主義政党の「自由」など親欧米派の野党も健闘した。選挙監視団を派遣した欧州安保協力機構(OSCE)は、与党側による「行政手段」の悪用や偏向報道、不透明な開票作業など、今回の選挙は「後退」した部分があったことを指摘した[9]。だが、有権者は異なる政党を選択することが出来、選挙当日の投票は平穏に行われた[10]

投票率:57.99%

党派別獲得議席

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e • d    2012年ウクライナ最高議会選挙 2012年12月8日施行
党派 得票数 得票率 議席数
比例代表 小選挙区 合計議席
地域党 6,094,365 30.03% 72 114 186
連合「祖国」 5,167,203 25.51% 61 42 104
UDAR 2,825,384 13.94% 34 6 40
ウクライナ共産党 2,676,036 13.18% 32 0 32
連合「自由」 2,114,877 10.44% 25 12 37
急進党 220,236 1.08% 0 1 1
統一センター 3 3
人民党 2 2
同盟 1 1
無所属 44 44
政党得票と党派別議席数[11][12]

脚注

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注釈

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  1. ^ BYuTとして。

出典

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  1. ^ “EUと露の狭間…ウクライナ最高会議選挙 「台風の目」はボクシング王者”. MSN産経ニュース. (2012年10月26日). https://web.archive.org/web/20121027092958/http://sankei.jp.msn.com/world/news/121026/erp12102620390004-n1.htm 2012年10月27日閲覧。 
  2. ^ 在ウクライナ日本大使館作成『ウクライナ週報』(2011年11月12日~11月18日) (PDF)
  3. ^ 『ウクライナ週報』(2012年8月18日~24日) (PDF)
  4. ^ “人気ボクサーの新党躍進確実視 28日投開票”. 毎日新聞. (2012年10月27日). https://web.archive.org/web/20121028063822/http://mainichi.jp/select/news/20121028k0000m030015000c.html 2012年10月27日閲覧。 
  5. ^ 2012年ウクライナ最高議会選挙の出口調査。ラズムコフ・センター
  6. ^ 2012年ウクライナ最高議会選挙の出口調査。Research&Branding
  7. ^ 2012年ウクライナ最高議会選挙の出口調査。レーティング
  8. ^ 2012年ウクライナ最高議会選挙の出口調査。5 Channel
  9. ^ “ウクライナ議会選 親露派が優勢 国際監視団は「後退」と酷評”. MSN産経ニュース. (2012年10月30日). https://web.archive.org/web/20121029200622/http://sankei.jp.msn.com/world/news/121030/erp12103001020000-n1.htm 2012年11月3日閲覧。 
  10. ^ 外務省:ウクライナ最高会議選挙について”. www.mofa.go.jp. 2022年5月25日閲覧。
  11. ^ “Вибори-2012. Результати голосування. Оновлюється”. Ukrainska pravda. (2012年10月29日). http://www.pravda.com.ua/articles/2012/10/29/6975859/ 2012年11月1日閲覧。 
  12. ^ Відомості про підрахунок голосів виборців по загальнодержавному багатомандатному виборчому округу”. ウクライナ中央選挙管理委員会 (2012年10月28日). 2012年11月1日閲覧。

参考文献

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