2つの映像 (バルトーク)
作曲の経緯
編集ドイツ音楽の影響から出発したバルトークは、その影響から脱した自らの語法を確立するために、マジャール民謡の収集活動の中でとった民謡の特徴を分析し、自らの作品に生かしていく道を歩み始めていたが、同時に教会旋法や全音音階などを使用して新しい響きを打ち出したドビュッシーの作品にも強く影響されていた。
この作品は、そのドビュッシーに対する共感とドビュッシーの影響をも自分の語法の中に消化していこうという意識が前面に押し出された作品である。
構成
編集題名の通り、2つの曲から構成されているが、キャラクターがかなり異なっており、互いの関連性は必ずしも重視されていない。
- 第1曲 花ざかり
三部形式。冒頭にクラリネットが奏する主題が中心となり、これ自体が変奏されたり断片的な新しい楽句を挟みながら、最後は静かに終わっていく。その管弦楽法や全体の曖昧模糊とした雰囲気、全音音階の使用などドビュッシーの影響を強く感じさせる。
- なお、ハンガリー語のタイトル“Virágzás”は厳密には単に「花」という意味である。
- 第2曲 村の踊り
冒頭で弦楽器が力強く演奏する主題を中心とするロンド。同時期に書かれた『2つのルーマニア舞曲』や、後年になってもよく取り上げた舞踊風の曲のスタイルだが、所々で第1曲で見せた印象主義的な管弦楽法を見せ、また第1曲の主題が回想される分もある。
編成
編集参考文献
編集- 『バルトーク全集 管弦楽作品第2集』 フンガロトン社 ライナーノーツ(ヤーノシュ・カルパーティ解説)