1979年のナショナルリーグチャンピオンシップシリーズ

メジャーリーグベースボールの第11回ナショナルリーグ優勝決定シリーズ

1979年の野球において、メジャーリーグベースボール(MLB)ポストシーズンは10月2日に開幕した。ナショナルリーグの第11回リーグチャンピオンシップシリーズ英語: 11th National League Championship Series、以下「リーグ優勝決定戦」と表記)は、同日から5日にかけて計3試合が開催された。その結果、ピッツバーグ・パイレーツ東地区)がシンシナティ・レッズ西地区)を3勝0敗で下し、8年ぶり9回目のリーグ優勝および7回目のワールドシリーズ進出を果たした。

1979年ナショナルリーグ
チャンピオンシップシリーズ
チーム 勝数
ピッツバーグ・パイレーツ 3
シンシナティ・レッズ 0
シリーズ情報
試合日程 10月2日–5日
観客動員 3試合合計:15万2246人
1試合平均:05万0749人
MVP ウィリー・スタージェル(PIT)
殿堂表彰者 バート・ブライレブン(PIT投手)
デーブ・パーカー(PIT外野手)
ウィリー・スタージェル(PIT内野手)
ジョニー・ベンチ(CIN捕手)
ジョー・モーガン(CIN内野手)
トム・シーバー(CIN投手)
チーム情報
ピッツバーグ・パイレーツ(PIT)
シリーズ出場 4年ぶり6回目
GM ハーディング・ピーターソン
監督 チャック・タナー
シーズン成績 98勝64敗・勝率.605
東地区優勝

シンシナティ・レッズ(CIN)
シリーズ出場 3年ぶり6回目
GM ディック・ワグナー
監督 ジョン・マクナマラ
シーズン成績 90勝71敗・勝率.559
西地区優勝

 < 1978
NLCS
1979

1980 > 

 < 1978
ALCS
1979

1980 > 
ワールドシリーズ

この年のレギュラーシーズンでは両球団は12試合対戦し、レッズが8勝4敗と勝ち越していた[1]。両球団がリーグ優勝決定戦で対戦するのは1970年1972年1975年に次いで4度目で、過去3度は全てレッズが制していたが、今回初めてパイレーツが勝利した[2]。レッズは1970年代の10年間でポストシーズン進出6回・ナショナルリーグ優勝4回・ワールドシリーズ優勝2回を果たし "ビッグレッドマシン" の異名をとっていた。しかし今シリーズを最後にチームは衰退期に入り、次のポストシーズン進出までは11年待つこととなる[3]シリーズMVPには、第1戦の延長11回に決勝の3点本塁打を放つなど、3試合で打率.455・2本塁打・6打点OPS 1.753という成績を残したパイレーツのウィリー・スタージェルが選出された。このあとパイレーツは、ワールドシリーズでもアメリカンリーグ王者ボルチモア・オリオールズを4勝3敗で下し、8年ぶり5度目の優勝を成し遂げた。スタージェルはワールドシリーズとレギュラーシーズンでもMVPを受賞し、1年で3つのMVPを総なめにした史上初の選手となる[注 1][4]

試合結果

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1979年のナショナルリーグ優勝決定戦は10月2日に開幕し、途中に移動日を挟んで4日間で3試合が行われた。日程・結果は以下の通り。

日付 試合 ビジター球団(先攻) スコア ホーム球団(後攻) 開催球場
10月02日(火) 第1戦 ピッツバーグ・パイレーツ 5-2 シンシナティ・レッズ リバーフロント・スタジアム
10月03日(水) 第2戦 ピッツバーグ・パイレーツ 3-2 シンシナティ・レッズ
10月04日(木) 移動日
10月05日(金) 第3戦 シンシナティ・レッズ 1-7 ピッツバーグ・パイレーツ スリー・リバース・スタジアム
優勝:ピッツバーグ・パイレーツ(3勝0敗 / 8年ぶり9度目)

第1戦 10月2日

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映像外部リンク
MLB.comによる動画(英語)
  延長11回表、パイレーツがウィリー・スタージェルの3点本塁打で勝ち越し(51秒)
  1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 R H E
ピッツバーグ・パイレーツ 0 0 2 0 0 0 0 0 0 0 3 5 10 0
シンシナティ・レッズ 0 0 0 2 0 0 0 0 0 0 0 2 7 0
  1. 勝利グラント・ジャクソン(1勝)  
  2. セーブドン・ロビンソン(1S)  
  3. 敗戦トム・ヒューム(1敗)  
  4. 本塁打
    PIT:フィル・ガーナー1号ソロ、ウィリー・スタージェル1号3ラン
    CIN:ジョージ・フォスター1号2ラン
  5. 審判
    [球審]ジョン・キブラー
    [塁審]一塁: エド・モンタギュー、二塁: ジェリー・デイル、三塁: フランク・プーリ
    [外審]左翼: ディック・ステーロ、右翼: ジム・クイック
  6. 夜間試合 試合時間: 3時間14分 観客: 5万5006人
    詳細: MLB.com Gameday / Baseball-Reference.com
両チームの先発ラインナップ
ピッツバーグ・パイレーツ シンシナティ・レッズ
打順 守備 選手 打席 打順 守備 選手 打席
1 O・モレノ 1 D・コリンズ
2 T・フォーリ 2 J・モーガン
3 D・パーカー 3 D・コンセプシオン
4 W・スタージェル 4 G・フォスター
5 J・ミルナー 5 J・ベンチ
6 B・マドロック 6 R・ナイト
7 E・オット 7 D・ドリーセン
8 P・ガーナー 8 H・クルーズ
9 J・キャンデラリア 9 T・シーバー
先発投手 投球 先発投手 投球
J・キャンデラリア T・シーバー

3回表、パイレーツは先頭打者フィル・ガーナー本塁打で先制する。さらに一死後、1番オマー・モレノ打球が右翼手デーブ・コリンズの後逸により三塁打となると、2番ティム・フォーリ犠牲フライでモレノを還し、もう1点を加えた。4回裏、レッズは先頭打者デーブ・コンセプシオンが左前打で出塁し、次打者ジョージ・フォスターが2点本塁打を放って同点に追いついた。その後は両チームの先発投手、レッズのトム・シーバーとパイレーツのジョン・キャンデラリアがともに二塁も踏ませず、2-2のまま試合が進んだ。8回裏、パイレーツはキャンデラリアからエンリケ・ロモに継投し、レッズは先頭打者シーバーの代打リック・アワーバックを送った。アワーバックが三振のあと一死一・二塁となったが、パイレーツはロモに代えてケント・テカルヴをマウンドへ送り、テカルヴは3番コンセプシオンを三ゴロ併殺に打ち取って危機を凌いだ。

そのまま試合は延長戦へ突入し、11回表、レッズの2番手投手トム・ヒュームが3イニング目のマウンドに上がった。パイレーツは先頭打者ティム・フォーリからの連打で無死一・二塁と走者を溜めると、4番ウィリー・スタージェルが初球を本塁打にして3点を勝ち越した。その裏、パイレーツの4番手投手グラント・ジャクソンが二死をとったあと、3番コンセプシオンと4番フォスターを出塁させる。さらに代わって登板したドン・ロビンソンも、5番ジョニー・ベンチ四球を与えて満塁とした。しかし最後はレイ・ナイトを空振り三振に仕留め、パイレーツが逃げ切った。

第2戦 10月3日

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  1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 R H E
ピッツバーグ・パイレーツ 0 0 0 1 1 0 0 0 0 1 3 11 0
シンシナティ・レッズ 0 1 0 0 0 0 0 0 1 0 2 8 0
  1. 勝利ドン・ロビンソン(1勝1S)  
  2. 敗戦ダグ・ベアー(1敗)  
  3. 審判
    [球審]エド・モンタギュー
    [塁審]一塁: ジェリー・デイル、二塁: フランク・プーリ、三塁: ディック・ステーロ
    [外審]左翼: ジム・クイック、右翼: ジョン・キブラー
  4. 昼間試合 試合時間: 3時間24分 観客: 5万5000人
    詳細: MLB.com Gameday / Baseball-Reference.com
両チームの先発ラインナップ
ピッツバーグ・パイレーツ シンシナティ・レッズ
打順 守備 選手 打席 打順 守備 選手 打席
1 O・モレノ 1 D・コリンズ
2 T・フォーリ 2 J・モーガン
3 D・パーカー 3 D・コンセプシオン
4 W・スタージェル 4 G・フォスター
5 J・ミルナー 5 J・ベンチ
6 B・マドロック 6 D・ドリーセン
7 E・オット 7 R・ナイト
8 P・ガーナー 8 C・ジェロニモ
9 J・ビビー 9 F・パストーレ
先発投手 投球 先発投手 投球
J・ビビー F・パストーレ

2回裏、レッズは先頭打者ダン・ドリーセンからの連打で一・三塁とすると、一死後に9番・先発投手フランク・パストーレ犠牲フライでドリーセンを還して先制した。パストーレは、4回表一死満塁から6番ビル・マドロックの遊ゴロが併殺崩れとなる間に同点とされ、5回表には二死二塁から2番ティム・フォーリの適時二塁打で逆転を許した。1点を追うレッズ打線は、5回裏に二死二塁、7回裏に一死二塁、8回裏に二死満塁、と走者を得点圏へ進めるものの、なかなか同点には追いつけない。しかし9回裏、一死から代打ヘクター・クルーズと1番デーブ・コリンズの連続二塁打で同点とし、試合を前日に続く延長戦にもつれ込ませた。

10回表、レッズの投手はダグ・ベアーに代わった。パイレーツは先頭打者オマー・モレノが右前打で出塁し、次打者フォーリが犠牲バントで走者を進める。そして3番デーブ・パーカーの適時打でモレノが勝ち越しのホームを踏んだ。その裏、5番ジョニー・ベンチから始まるレッズ打線をドン・ロビンソンが三者凡退に抑え、パイレーツが連勝でシリーズ突破へ王手をかけた。

第3戦 10月5日

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映像外部リンク
MLB.comによる動画(英語)
  3回裏、パイレーツが先頭打者ウィリー・スタージェルの本塁打でリードを3点に広げる(40秒)
  9回表、バート・ブライレブンがシーザー・ジェロニモを見逃し三振に仕留めて試合終了、パイレーツのリーグ優勝が決定(34秒)
  1 2 3 4 5 6 7 8 9 R H E
シンシナティ・レッズ 0 0 0 0 0 1 0 0 0 1 8 1
ピッツバーグ・パイレーツ 1 1 2 2 0 0 0 1 X 7 7 0
  1. 勝利バート・ブライレブン(1勝)  
  2. 敗戦マイク・ラコス(1敗)  
  3. 本塁打
    CIN:ジョニー・ベンチ1号ソロ
    PIT:ウィリー・スタージェル2号ソロ、ビル・マドロック1号ソロ
  4. 審判
    [球審]ジェリー・デイル
    [塁審]一塁: フランク・プーリ、二塁: ディック・ステーロ、三塁: ジム・クイック
    [外審]左翼: ジョン・キブラー、右翼: エド・モンタギュー
  5. 試合開始時刻: 東部夏時間UTC-4)午後4時4分 試合時間: 2時間45分 観客: 4万2240人
    詳細: MLB.com Gameday / Baseball-Reference.com
両チームの先発ラインナップ
シンシナティ・レッズ ピッツバーグ・パイレーツ
打順 守備 選手 打席 打順 守備 選手 打席
1 D・コリンズ 1 O・モレノ
2 J・モーガン 2 T・フォーリ
3 D・コンセプシオン 3 D・パーカー
4 G・フォスター 4 W・スタージェル
5 J・ベンチ 5 J・ミルナー
6 D・ドリーセン 6 B・マドロック
7 R・ナイト 7 E・オット
8 C・ジェロニモ 8 P・ガーナー
9 M・ラコス 9 B・ブライレブン
先発投手 投球 先発投手 投球
M・ラコス B・ブライレブン

初回裏、パイレーツは先頭打者オマー・モレノ四球で出塁し、2番ティム・フォーリの打席の初球に盗塁を決める。さらにフォーリの遊ゴロで相手の野手選択を誘って三塁へ進むと、3番デーブ・パーカーの左飛でタッチアップして生還、先制点を奪った。その後、2回裏には一死一・三塁から2番フォーリの犠牲フライで2点目を挙げ、3回裏には4番ウィリー・スタージェルと6番ビル・マドロックのソロ本塁打で2点を追加、4回裏にも二死一・二塁から4番スタージェルの適時二塁打で6-0とした。パイレーツの先発投手バート・ブライレブンに対しレッズは、6回表にジョニー・ベンチのソロ本塁打で1点を返したのみに終わる。ブライレブンは9回表、先頭打者ダン・ドリーセンと次打者レイ・ナイトを続けて内野ゴロに打ち取ったあと、最後は8番シーザー・ジェロニモ三振に仕留め、9奪三振完投勝利でパイレーツのリーグ優勝を決めた。

脚注

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注釈

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  1. ^ レギュラーシーズンMVPはワールドシリーズ終了後の11月に発表され、セントルイス・カージナルスキース・ヘルナンデスと同点により共同受賞となった。

出典

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  1. ^ "1979 Cincinnati Reds Schedule," Baseball-Reference.com. 2021年1月1日閲覧。
  2. ^ Pohla Smith, "Reds, Pirates ruled playoffs in '70s," UPI Archives, October 3, 1990. 2021年1月1日閲覧。
  3. ^ Matt Yallof, "Reds-Bucs playoff race reminiscent of '70s showdowns / NL Central foes in midst of resuming rich history of postseason play," MLB.com, September 6, 2013. 2021年1月1日閲覧。
  4. ^ Craig Muder, "Stargell named 1979 co-NL MVP," Basenall Hall of Fame. 2021年1月1日閲覧。

外部リンク

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