鳥居清光
鳥居 清光(とりい きよみつ、1938年1月27日[1] -2021年5月24日)は、日本の女性画家、浮世絵師、舞台美術家。鳥居派9代目当主。本名は、鳥居せつ子[2]。鳥居派8代目・5代清忠の娘で、鳥居派で初の女性浮世絵師である[3][4]。東京都町田市在住。日本舞台美術家協会会員、国際浮世絵学会会員、日本演劇協会会員[1]
木版画や鳥居派伝統の歌舞伎絵看板だけでなく、歌舞伎の衣裳や舞台美術も手がけ、舞台装置図のような立体図も制作[2][5]。鈴本演芸場番組表の表紙絵も描いていた。
来歴
編集東京都出身。鳥居派8代目・5代清忠(言人)の娘として生まれる。幼少より家業の手伝いをしていたが[2]、兄・元宏が映画監督の道に進んだため、鳥居派を滅ぼすまいとした父から画法を伝授された[3]。高校時代には洋画家の伊藤清永に師事し、油彩画を学ぶ[2]。東京芸術大学日本画科卒業後[6]、日生劇場のデザイン室や技術部に勤務する[2]。また、父について鳥居派の画法を習得する[2]。1976年7月に父が没した後、父の画業を引き継いて女性浮世絵師として正式に発足[3]、1982年11月27日に鳥居派9代目を襲名し、清光を名乗る[6]。襲名披露には、六代目中村歌右衛門、二代目尾上松緑、松竹社長の永山武臣、楢崎宗重、山口桂三郎らが列席した[6]。
その画風は、「浮世絵に留まらず、美人画は鏑木清方に学んだ父譲りの画風があり、また大和絵の味も加わった独自なものがある」[2]と評される。
舞台装置(美術)の代表作は、1985年5月歌舞伎座上演ほか『外郎売』・1992年1月国立劇場上演『解脱』・1987年1月国立劇場上演『成田山分身不動』など[1][7]。
1986年エイボン芸術賞[8][1]。1988年長谷川伸賞[1][7]。1995年度日本演劇興行協会賞[2][1][9]。1998年文化庁長官表彰[1][10]。2005年黄綬褒章受章[2][7]。2016年第37回松尾芸能賞特別賞受賞[11][7]。同年、国立劇場50周年表彰[7]。
作品
編集- 「雪月花」木版画 大判 美人画 1980年
- 「春」 木版画 美人画 1982年 兜屋画廊版
- 「弁慶」 木版画 1999年
- 「娘道成寺」 リトグラフ 1999年
- 「鳴神上人」 肉筆画 1982年
展覧会図録
編集著書
編集- 『絵本歌舞伎』中山幹雄著、鳥居清光絵(アリス館、1985)
脚注
編集注釈
編集出典
編集- ^ a b c d e f g 日本演劇協会 2010, p. 55, 演劇人人名録
- ^ a b c d e f g h i 町田市ゆかりの美術家たち 2008
- ^ a b c 戸坂康二 1990.
- ^ “筋書 いまむかし その壱 江戸歌舞伎と言えば、鳥居派の絵看板”. 松竹(歌舞伎美人). 2021年5月27日閲覧。
- ^ 阿部説子 1990.
- ^ a b c 有光次郎 1990.
- ^ a b c d e “鳥居清光”. JATDT舞台美術作品データベース. 舞台美術家一覧. 一般社団法人 日本舞台美術家協会 (n.d.). 2024年3月17日閲覧。
- ^ エイボン女性年度賞 1979
- ^ “年度別交付者一覧:1995年度(平成7年度)”. 助成金の交付. 公益社団法人 日本演劇興行協会 (n.d.). 2024年3月17日閲覧。 “江戸時代の様式を守り伝承している業績”
- ^ “新しい文化立国の創造をめざして(文化庁30年史):第5部 資料” (PDF). 文化政策アーカイブ. 文化庁. p. 68 (1999年3月25日). 2024年3月17日閲覧。 “文化関係の顕彰制度:文化庁長官表彰者名簿(平成10年度)”
- ^ ステージナタリー 2016
- ^ “浮世絵師の鳥居清光さん83歳で死去 歌舞伎座正面の絵看板など手掛ける”. 日刊スポーツ. 2021年5月26日閲覧。
参考文献
編集- 有光次郎「鳥居家九代目鳥居清光さんのこと」『「鳥居派三百年と九代目清光展」図録』、読売新聞社・日本浮世絵協会、1990年1月、6頁、NCID BA67704411。
- 戸坂康二「鳥居家明治・大正・昭和」『「鳥居派三百年と九代目清光展」図録』、読売新聞社・日本浮世絵協会、1990年1月、7頁、NCID BA67704411。
- 阿部説子「「象引」図版解説」『「鳥居派三百年と九代目清光展」図録』、読売新聞社・日本浮世絵協会、1990年1月、58頁、NCID BA67704411。
- “鳥居清光”. 町田市ゆかりの美術家たち. 和光大学 (2008年10月). 2019年6月16日閲覧。
- ““ジャンルに留まらない部類の表現力”で、平幹二朗が松尾芸能賞大賞受賞”. ステージナタリー. ナターシャ (2016年2月16日). 2019年6月16日閲覧。
- “エイボン女性年度賞 1979年〜2013年 受賞者一覧”. エイボン・プロダクツ. 2019年6月16日閲覧。
- 日本演劇協会(監修・編集)『演劇年鑑2010別冊』日本演劇協会〈平成21年度文化庁芸術団体人材育成支援事業〉、2010年(2010年3月31日発行)、全127頁。ISBN 978-4-09-671030-2。「芸名・①本名・②職種・③住所・⑤生年月日・出生地・⑥卒業・⑦現職及び所属団体・⑧代表的作品等・⑨受賞等」