鳥の詩」(とりのうた)は、2000年Keyから発売されたゲームAIR』の主題歌である。歌唱はLia。この曲のヒットによりLiaの名が知られるようになった、実質的なデビュー曲である[1]

鳥の詩
Liaの楽曲
収録アルバムAIR ORIGINAL SOUNDTRACK
リリース2000年
録音パラマウントスタジオ
アメリカ合衆国の旗 アメリカ合衆国ロサンゼルス
ジャンルJ-POP/ゲームソング/アニメソング
レーベルKey Sounds Label
作詞者麻枝准Key
作曲者折戸伸治(Key)
高瀬一矢I've)(編曲)
その他収録アルバム
  • Lia/LIA COLLECTION ALBUM Special Limited Box
  • I've Girls Compilation 2「verge」(ショートバージョン)
  • Ornithopter (AIR初回限定版付属のBGMアレンジアルバム)
野道
(2)
鳥の詩
(3)
夏影
(4)
ミュージックビデオ
『AIR』オープニングムービー - YouTube

概要

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Lost Witnessの「Red Sun Rising」をモチーフとした曲であり[2]、『AIR』の家庭用ゲーム機移植版やテレビアニメ版でも主題歌として使われている。なお、ゲーム(移植版含む)内で実際に使用されたのはショートバージョンである。また、テレビアニメ版ではテレビ放送用に1分半に編集されたものが用いられていたが、後にテレビアニメ版がブルーレイディスクで発売された際には1番の歌詞をそのまま使ったオープニングがHDTV仕様で新規作成され、特典として収録された。

アメリカロサンゼルスパラマウントスタジオにてレコーディングが行われたことでも話題となった。

2000年9月8日のWindows初回版『AIR』の発売に先立ち、「鳥の詩」のショートバージョンが同年7月14日に発売されたI'veのコンピレーションアルバム『verge』に先行収録されている。また2000年12月発売のアダルトゲーム専門誌『PUSH!!』2001年2月号には、フルバージョンのMP3データおよびメロディのみの楽譜[3]が収録されていた。

この「鳥の詩」と同じ制作メンバーで、そのメロディを意識して作られた曲に『Light colors』(『智代アフター 〜It's a Wonderful Life〜』オープニングテーマ曲)がある。

ゲームのヒットにより、ニコニコ動画YouTubeなどの動画サイトで楽曲が話題となり、Liaの名が知られるようになった。

リミックス

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2009年現在、鳥の詩には以下のリミックスが存在する。作詞・作曲者名は原曲と同じため省略する。

ボーカルなし
羽根 -plume-
鳥の詩のオフボーカル・オルゴールアレンジ。ゲームBGMとして使用。
Lia名義
鳥の詩 2004 summer version 〜Relaxin' with lovers mix〜
編曲:Yuichi Kanatani
LIA名義
鳥の詩 〜StripE REMIX〜
編曲:StripE
鳥の詩・torino-uta [the speed freak's noise rave remix]
編曲:DJ SHARPNEL
その他
鳥の詩 〜Bossanova Version〜
編曲:清川伸 歌:みのもみな
「Humanity...」に収録
鳥の詩 -Cosmic Seekers Remix-
「OTSU Club Music Compilation Vol.1」に収録
鳥の詩 -Remix-
「OTSU:Blasterhead」に収録

AIR以外での使用

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  • 折戸伸治プロデュースのバンド「WORK-S」のアルバム『Humanity...』(Key Sounds Label、2001年8月10日発売)に「鳥の詩 〜Bossanova Version〜」がボーナストラックとして収録された。
  • Liaの歌声をデータベースとしたVOCALOID3、IA -ARIA ON THE PLANETES-には、鳥の詩の歌唱データファイルと伴奏用のインストゥルメンタル版の音楽データファイルが添付されている。
  • バンダイナムコゲームスのアイドル育成ゲーム『THE IDOLM@STER』のオフィシャルグッズショップ「765プロダクション商品企画部」において、所属アイドル(登場キャラクター)の歌うカバー曲のリクエストをユーザーから行ったところ、「如月千早(声:今井麻美)」のカバー曲として選考されている[4]。また、同シリーズの音楽ゲーム『アイドルマスター シンデレラガールズ スターライトステージ』ではKeyコラボの一環として、「高垣楓(声:早見沙織)」によるカバー版がプレイアブル楽曲として実装された。
  • テレビ番組『モテケン』の2007年10月15日放送分のエンディングテーマ
  • ラジオ番組『新らっきー☆ちゃんねる』のコーナー「拝啓・日下部みさお様」タイトルコールのジングル(本曲イントロ部分のアレンジ)としても使われた。
  • 2008年に遠藤正明が自身のアニソンカバーアルバム『ENSON2』でこの曲のカバーを行っている。
  • 2008年9月26日発売のLillianの『ティンクル☆くるせいだーす』のエミリナルートにて、彼女がこの曲を歌うシーンがある。
  • コラボレーションとして2009年8月28日発売のフロントウイングの3Dアイドル育成SLG『タイムリープぱらだいす』に楽曲提供。
  • ビジュアルアーツに電話をかけた際の保留音。
  • 2024年、中国のショートドラマ配信アプリ『TopShort』内の『キラキラお嬢様のリベンジ』でオリジナルバイオリン曲として演奏されているが許可を得ているのは不明。

カバー

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ラジオ放送

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NHK-FMの長時間特別番組「今日は一日○○三昧」シリーズのアニソン編では5回の放送全てで取り上げられている。1回目の「今日は一日 アニソン三昧」では126曲目、2回目の「今日は一日 アニソン三昧SS」では前年度に最もリクエストの多かった曲として1曲目に放送され、3回目の「今日は一日 アニソン三昧 ファイナル」では128曲目に放送されLia本人もゲスト出演した。4回目の「今日は一日“帰ってきたアニソン”三昧」では36曲目に放送され、Lia本人が電話出演した。また5回目となる「今日は一日“アニソン”三昧 Z(ゼット)」ではゲスト出演していたLiaが41曲目にライブで歌った。

批評・反響

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楽曲「鳥の詩」は「国歌」として形容されることがある[1][7]。株式会社タブロイドに所属するライターの坂本寛は、洋泉社が発行した『アニソンマガジン』のゲームソングレビュー集の中で2008年の時点でゲームソング・アニメソングの中において最も素晴らしい楽曲の1つと位置づけており、「壮大にして緻密なボーカル、打ち込み、コーラスとも完璧な出来映え」で視聴者に「太陽の光を想起させる」と批評した[7]

2019年3月1日には、ソニー・ミュージックエンタテインメントのアニメソング人気投票キャンペーン「平成アニソン大賞」においてユーザー投票賞(2000年 - 2009年)に選出された[8]

著作権管理

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「鳥の詩」は、JASRACなどの著作権管理団体に楽曲が登録されていないため、楽曲を使用する際には直接権利者から許可を得る必要がある。Key Sounds Labelの他の楽曲にも同様の例がある。

楽曲を耳コピーしてMIDIで再現したり、演奏や歌唱する場合(いわゆる「歌ってみた」動画など)は、非営利目的に限りファン活動として公開を許可されている[9][10]

ただしゲームやCDなどから直接録音した音源を使用したり(リミックスMAD動画なども含む)[9][10]、また耳コピーや演奏・歌唱などであっても他社コンテンツの二次創作のBGMとして無断使用することは禁じられている[9]

盗作事件

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2005年には、永邦(ヨン・バン、ショーン・ヨン)という華人シンガポール人アーティストのアルバムに収録された楽曲「melody」(作曲・ジー・ゾンピン)が「鳥の詩」の盗作ではないかとの疑惑が持たれ(アレンジMIDIを使用していた)、Keyが問題のアルバムの版権を持つSony BMGに抗議をしたため、同CDはSony BMGにより回収された[11][12]

脚注

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  1. ^ a b 国歌『鳥の詩』を歌ってLiaの直筆サインを当てよう♪”. マイナビニュース (2020年10月28日). 2020年12月15日閲覧。
  2. ^ 更科修一郎、麻枝准、涼元悠一「Keyシナリオスタッフロングインタビュー」『カラフルピュアガール』第2巻第3号、ビブロス、東京、2001年3月、25頁、2010年3月7日閲覧。「哀愁系トランスになるんですけど、これは『鳥の詩』のモチーフとなった曲です。」 
  3. ^ 当時の携帯電話は着信メロディが一般的であったため、利用者自身が着信音を自作できるよう楽譜が公開されるケースが多々見られた。
  4. ^ Your Song」収録、「THE IDOLM@STER MASTER ARTIST 05 如月千早」に再録。
  5. ^ bang_dream_gbpの2021年4月23日のツイート2021年4月24日閲覧。
  6. ^ アニソンカバーアルバムシリーズ第二弾が完成!名曲ぞろいの『ANISON COVERS 2』の制作について森口博子に聞く”. リスアニ!(株式会社ソニー・ミュージックソリューションズ) (2024年8月8日). 2024年8月8日閲覧。
  7. ^ a b 坂本寛「究極の"ゲームソング"50 後編」『アニソンマガジン』Vol.5、洋泉社、2008年7月10日、87頁。 
  8. ^ 平成アニソン大賞”. アニソン大賞. ソニー・ミュージックエンタテインメント. 2019年3月8日閲覧。
  9. ^ a b c 製品内の素材の使用に関するQ&A“『Kanon』や『AIR』のBGMを耳コピーして作ったMIDIデータをWEBページに載せたいのですが…
  10. ^ a b 製品内の素材の使用に関するQ&A”. Key Official HomePage. 2020年12月15日閲覧。
  11. ^ Key (2005年9月15日). “『鳥の詩』盗作に関する公式見解です。”. Key公式サイト. ビジュアルアーツ. 2005年9月16日時点のオリジナルよりアーカイブ。2010年3月7日閲覧。
  12. ^ Woody-Rinn (2005年9月20日). “「鳥の詩」盗作事件”. 2007年12月8日閲覧。