数学グラフ理論の分野における頂点推移グラフ(ちょうてんすいいグラフ、: vertex-transitive graph)とは、与えられた任意の二頂点 v1 および v2 に対して

であるような自己同型英語版

が存在するグラフ G のことを言う。

言い換えれば、グラフが頂点推移的であるとは、その自己同型群が各頂点の上で可移的(transitively)に作用することを言う[1]。グラフが頂点推移的であるための必要十分条件は、その補グラフが頂点推移的であることである(なぜならば、それらの群作用は等しいため)。

孤立頂点を含まない対称グラフは、頂点推移的である。また、頂点推移グラフは正則である。しかし、すべての頂点推移グラフが対称であるとは限らない(例えば、切頂四面体の辺から成るグラフ)。また、すべての正則グラフが頂点推移的であるとは限らない(例えば、フルフトグラフ英語版)。

有限の例

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切頂四面体の辺から成るグラフは、頂点推移的である(ケイリーグラフでもある)が、対称でない。

対称グラフ(例えば、ピーターセングラフヒーウッドグラフ正多面体の頂点と辺から成るグラフなど)であれば、有限の頂点推移グラフである。有限のケイリーグラフ(例えば、キューブ連結サイクル英語版など)もまた、頂点推移的である。なぜならば、それは半正多面体の頂点と辺から成るため(それらのうち対称であるものは二つしかないが)である。Potočnik、Spiga および Verret は、最大 1280 個の頂点を含む全ての連結立体頂点推移グラフの調査を行った[2]

性質

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頂点推移グラフの辺連結度英語版は、その次数 d に等しい。一方、その頂点連結度英語版は少なくとも 2(d+1)/3 である[3]。そのグラフの次数が 4 以下であるか、グラフが辺推移的であるか、あるいは最小のケイリーグラフであるなら、その頂点連結度も次数 d と等しくなる[4]

無限の例

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無限な頂点推移グラフは次を含む:

二つの可算な頂点推移グラフが準等距離同型(quasi-isometric)であるとは、それらの距離函数の比が上下ともに有界であることを言う。有名な予想に、全ての無限な頂点推移グラフはケイリーグラフと準等距離同型である、というものがあったが、その反例はディエステルリーダー英語版によって提唱され[5]、近年、エスキン、フィッシャーおよびホワイトによってその確証が得られた[6]

関連項目

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参考文献

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  1. ^ Godsil, Chris; Royle, Gordon (2001), Algebraic Graph Theory, Graduate Texts in Mathematics, 207, New York: Springer-Verlag .
  2. ^ Potočnik P., Spiga P. and Verret G. (2012), Cubic vertex-transitive graphs on up to 1280 vertices, Journal of Symbolic Computation .
  3. ^ Godsil, C. and Royle, G. (2001), Algebraic Graph Theory, Springer Verlag 
  4. ^ Babai, L. (1996), Technical Report TR-94-10, University of Chicago [1]
  5. ^ Diestel, Reinhard; Leader, Imre (2001), “A conjecture concerning a limit of non-Cayley graphs”, Journal of Algebraic Combinatorics 14 (1): 17–25, doi:10.1023/A:1011257718029, http://www.math.uni-hamburg.de/home/diestel/papers/Cayley.pdf .
  6. ^ Eskin, Alex; Fisher, David; Whyte, Kevin (2005). "Quasi-isometries and rigidity of solvable groups". arXiv:math.GR/0511647.

外部リンク

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